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正月郷土料理「あん餅雑煮」.ラジオ#24

第24回目のラジオ配信。「あん餅雑煮」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

香川県は正月にあんこ入りの餅「あん餅」を雑煮にする
あんこ入りの餅「あん餅」を雑煮にする
音声の文字起こし

正月に食べる香川県の郷土料理とはなんでしょうか。

香川県と言えば讃岐うどんが有名ですが、あれは年がら年中たべるので、別に正月限定の食べ物ではありません。

香川県にはかつて、「讃岐三白」と言う名産品がありました。讃岐三白とは「塩・砂糖・綿」の白色の特産品のことです。でも現在では、和三盆という形で砂糖が残っているぐらいです。

私が大学に行って初めて知ったことのひとつに、「あん餅雑煮(あんもちぞうに)」が全国的にぜんぜん知られていない食べ物だったことです。

生まれも育ちも香川県の私にとっては、あん餅雑煮が当たり前のような食べ物でしたが、どうやらこれは香川の郷土料理のようで、あまり知られていないようでした。

あん餅雑煮と聞いて、どんな食べ物かすぐに想像つきますか?

要は、白みその雑煮の中に、餡子(あんこ)を包み込んだお餅をいれる食べ物のことです。トッピングに大根やニンジンやかつお節や小ねぎやあおさなどをのせたりしますが、トッピングは無くてもOKです。

大事なのは、白みそ仕立ての雑煮の中に餡餅をいれることです。餡餅とは、あんこが中に包まれている餅です。

和菓子や大福では餡子を中に入れるのは普通でしょうが、餡子が入ったお餅と言うのはひょっとしたら珍しいのかもしれません。でも香川県では「雑煮=あん餅の入った白みその雑煮」なのです。何も手を加えていない普通の餅は、雑煮の中に入れません。

私が大学にいた時に、餡餅雑煮の話をしたら「そんな甘いの食べられるわけがないじゃない」とバカにされたように言われました。

で実際に食べてもらうと、「すごくおいしい」と絶賛する人と、「思った通り、甘くて食べられない」人とに別れました。

香川県民の私からすると、お餅に餡子が入っているだけでも美味しく感じるのですが、そう思わない人もいるようです。

でどうして、あんもち雑煮が香川の郷土料理と言えるのでしょうか。

餡餅雑煮の由来について1つの説を紹介します。香川のお年寄りがよくする話です。

かつての香川の特産には、讃岐三白がありました。塩や砂糖は藩に納めなければならず、自分たちの口には入ってこない。

普段は食べられなくても、新年を祝うお正月だけは贅沢したかった。

だから正月に食べる雑煮に白みそを溶かすことを考え出した。

白みそを溶かすと、雑煮の中身が見えにくくなる。すると白いお餅をいれても分かりにくくなる。

さらにお餅の中に餡子を隠しいれることで、砂糖も気づかれずに食べることができる。

これが餡餅雑煮が香川県の郷土料理といわれる由縁です。

庶民の人がちょっとした贅沢をお正月の時だけにでもしたかったので、お餅の中に餡子を包み、そして白みその雑煮の中に入れた。こういう食べ物です。

今でもそうだと思いますが、香川の人は甘いものが大好きです。江戸時代に考案された食べ物らしいですが、現代でも愛されている食べ物です。

本当に美味しいのでおすすめします。

私の家でも正月一日にはあんいり雑煮を食べます。わざわざお餅の中に餡子をいれて食べるのですが、一年にこの時しか食べないので、なかなか上手に作れません。

餡子をお餅の中に綺麗に入れるのが難しいんですね。手作りすると、たいてい、餡子がはみ出してしまい餅の中に隠すことができません。

一番最初に、餡餅雑煮を考えた方は、きっと手先が器用だったのかなあ。あんこ職人あるいは和菓子職人だったんじゃないかなと勝手に想像します。

ちなみに香川の餡餅雑煮を手っ取り早く食べたい場合は、白みそ雑煮の中に、餡子とお餅を別々に入れても大丈夫です。無理に餡子を餅の中に入れる必要はありません。

あと、香川県に来れば、一年中「あん餅雑煮」を提供しているお店がいくらかあります。インターネットで調べればすぐにヒットすると思いますので、香川県に観光に来た時に、寄ってみてはどうでしょうか。

最近ではテレビの影響もあってか、あん餅雑煮も全国的に知られているようです。

でもご門徒さんにお餅屋さんがいらっしゃって、「あん餅は昔と比べてどれくらい売れているのですか?」と尋ねてみると、「半分の半分の半分以下しか出ない」と嘆いていました。

昔と比べて、甘い食べ物があふれていて、手間をかけてあん餅雑煮を食べる家が減ったとのことでした。

そこで私はそのお餅屋さんに、「あん餅雑煮意外に、他に食べ方がありますか」と質問してみると、面白い食べ方を紹介してくれました。

なお先に言っておきますが、私がおすすめしているのではありませんよ。そのお餅屋さんが「こんな食べ方もあるよ」と提案してくれたのです。

1つ目は、おでんにいれるんですって。おでんの具材におあげの巾着がありますよね。その巾着の中身をお餅からあん餅に入れ替えたら美味しんですって。

2つ目は、鍋にいれるとのことです。鍋って途中でお餅をいれるでしょう。そのお餅の代わりにあん餅をいれたらいいんですって。食べ方はお餅と一緒だそうです。

餡子が溶け出して出汁の味がメチャクチャにならないか聞いてみると、お餅は大福と違うから、煮ても崩れることなく中の餡子が溶け出ることはないと言います。

でもなんか失敗しそうで、私はまだチャレンジできていません。

お餅屋さんはあん餅を売らないといけないから、すすめてくださるんでしょうが、作る分にはちょっと勇気がいりますね。

最近では「年明けうどん」というのが、香川県の讃岐うどん業界が、流行らせようとしているようです。

「年越しうどん」ではなくて「年明けうどん」ですよ。

今年2019年の12月78日にも、高松市で北海道から沖縄までの日本各地のご当地うどんの大会があって、年明けうどんを流行らせようとしています。

年明けうどんなんて、今まで言っていなかったと思うんですよ。だって香川の人は食べる時にはうどんを食べるんですから。

年をまたぐときの年越しそばが全国一般的に知れ渡っているように、新しい年になったらうどんを食べようと広めています。

ちなみに年明けうどんの定義はシンプルで、元日から1月15日にまでに食べるうどん、プラス、赤色の具材が使われていたらいいとのことです。

また香川県も変わったことをしているなあと、ニュースを聞いていると、その12月の全国年明けうどん大会で香川が出した讃岐うどんが衝撃的でした。

というのも、無難に赤いかまぼこをのせるのかと思いきや、ポケットモンスターのヤドンの焼き印が入ったあん餅をうどんにいれてるんですよ。

あん餅といりこ出汁の相性が絶品と紹介されていましたが、いやいや、あん餅は白みそだから合うんじゃないかと私は思います。あんこがうどんに混じったら私は食べられないと思う。

庶民の正月を祝うあん餅雑煮が現代ではあまり食べられなくなって、ちょっとずつあん餅の食べ方が変化しているようです。

私は無難に白みそ雑煮にいれるか、焼いて食べるのが好きです。

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ラジオの補足

年明けうどんを食べられる香川の店

かがわ県産品振興機構が年明けうどんの特設ページを作成しています。このページでは、市町ごとに年明けうどんを提供しているお店を掲載しています。

また2020年1月15日までの「年越うどんスタンプラリーキャンペーン」も紹介しています。

年越うどん

ラジオでは新年を祝う「年明けうどん」を紹介しましたが、年末に「年越しうどん」を食べることもあります。

年越うどんは「腰のある太く長く」や「運をよぶ」などの意味があるそうです。こちらは年明けうどんと違い紅いトッピングは無くてもよいようです。

あん餅雑煮を紹介した外部記事
  1. 香川県の「あん餅雑煮」は白味噌の汁にあんこ入りの餅が入っている!?未知の味に出会うため、高松へ! 『ぐるたび』
  2. 白みそあんもち雑煮(県内一円)『四国新聞社』

1つ目は、家庭で食べられる郷土料理のあん餅雑煮を、お店で提供する高松市の甘味喫茶「エビスヤ」を訪問した記事です。ただの食レポで終わることなく、あん餅雑煮の具材の意味や作るときのお店のこだわりを、綺麗な写真とともに紹介しています。

2つ目は、四国新聞社の「21世紀へ残したい香川」が読者の応募の中からピックアップした記事です。あん餅雑煮に関するマニアックな風習などを紹介しています。正月にもちをつかない地域、詫間沖の志々島があることは、私も知らなかったです。

うどんに関連する私の記事

香川県は法事の席でも、軽食としてふるまわれます。香川では日常から法事まで、讃岐うどんがごく当たり前に食べられます。しかし中には、讃岐うどんが食べられないという人もいます。讃岐うどんを美味しく食べられない理由はなんだろうか?と考えてみた。

香川県生麺事業協同組合が7月2日をうどんの日と定めています。しかしお寺ではこの7月2日ごろの半夏生では、半夏生のお参りが開かれていることがあります。

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