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第317回目のラジオ配信。「雨の日の履き物」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県丸亀市にいるお坊さん、私かっけいの音声配信です。
今年は日本全国、1月2月は本当に雨が少なくて、乾燥した日が続いていますね。私のところ香川・丸亀でも雨がほとんど降りません。ダムやため池の水もだいぶ減ってきています。
それで、先週ようやく雨が降りました。そんなには降っていないですが、それでも久しぶりにお湿りがあって、地面が潤って、ホッとする反面、お坊さんの私にとっては、雨が降ると少し身構えてしまいます。
今回は、そんな雨の日のお坊さんの足元、雨履き(あまばき)についてお話していきます。
正直に言って、お坊さんの私にとって雨の日のお参りというのは、ちょっと困りものなんですね。
その理由は、衣や足元が濡れてしまうかもしれないからです。お坊さんが法事で着ている衣・法衣は、濡れると雨シミという雨の水の跡が残ってしまうことがあります。特に、金襴をあしらった豪華な衣や袈裟は、湿気や水滴にとても弱いんです。
もちろんそういった金襴のような衣を着て、外を歩くことはほとんどないですし、もし歩くとしても傘は差しますが、ちょっと強い雨や風が吹くと、傘があっても足元が濡れてしまうんですね。
そこで登場するのが、雨の日専用の履物です。 皆さんは、雨の日にお参りに来たお坊さんの足元をじっくり見たことはありますか? お坊さんは雨の日には、防水性に優れた雨の日用の雪駄・草履をはきます。
雨の日用の履き物には特徴が二つあります。
一つは、つま先に透明なカバーがついています。
泥跳ねや雨つぶから足袋の先を守るためにあります。
もう一つの特徴は、かかとにほんの少しの厚みがあります
少しぐらいの水たまりなら、底が高いので水が浸みてこないようになっています。また濡れた路面で滑らないように裏側に滑りにくい工夫がされています。
「雨用の履き物があるなら安心だね」と思われるかもしれませんが、実はそう上手くいかないのが、この雨履きの困ったところなんです。
つま先はカバーで守られていて、通常の履き物よりもかかと付近が高いんですが、それでも、どうしても私の場合、かかとが濡れてしまうんですよ。
歩き方の癖もあるんでしょうが、急いでお参りに向かっていると、どうしても自分で跳ね上げた水が、かかとのあたりを濡らしてしまいます。
想像してみてください。
足袋のかかとが濡れた状態で、ご門徒さんの家にあがる時の申し訳なさを。
そして、いざお仏壇の前で正座をしたときも困ります。
正座をすると、濡れたかかとがちょうどお尻のところにぴったりと当たりますよね。
あのちょっと濡れた、ひんやりとした、じっとりとした感触。なんとも言えない、こう……気持ち悪さというか、落ち着かない感じがするんですよね。
実はお経を読みながら心の中では『ああ、冷たいなあ』と思っているんですよ。
私は以前、雨の日にかかとを濡らさないためのコツを聞いたことがあります。
そのコツは、膝をあまり曲げずに、足を地面と平行に下ろすように歩くことらしいです。
普通、人は歩くときにかかとから地面に着いて、つま先で地面を蹴り上げますよね。このつま先から蹴り上げる動きが、地面の水を自分の足元・かかとに跳ね上げてしまうようなんです。
だからですね。
雨の日を歩くときは、足をそっと地面に置いて、そのまま真上に持ち上げる。これを意識すると、かかと、足袋が濡れにくくなるようなんですね。
ただそうは言っても、お参りを急いでいると、ついうっかり『次のお参り先まであと5分だ!』なんて大きく歩いてしまって、「あぁ、また足元・かかとを濡らしてしまった」と後悔してしまいます。
雨の日は、もう一つ困ることがあります。
昔ながらの舗装されていない地面むき出しの道路なら、泥跳ね・水跳ねさえ気をつければいいのですが、現代の綺麗に舗装されたアスファルトや、お参り先の玄関先の綺麗なタイルではまた別の恐怖があります。
雨履きの底には、滑り止めがついているとはいえ、濡れた滑らかな面には注意しなければなりません。
お参り先の玄関先から外に一歩踏み出した瞬間に、足元がツルッ!と滑ったことがあります。
車を乗り降りする所でもツルっと滑ったこともあります。
お参り用の大きなカバンを持っていて、家の人が近くにいる時は、つい油断をして滑ってしまうこともあります。
そんな風に雨の日は、足元の水濡れだけでなく、この滑るかもしれないと注意しながらお参りをしているわけですね。
思うんですよ。「つま先だけじゃなくて、足首から下全体を覆うカバーがあってもいいんじゃないかな」と。
女性用には、全体をすっぽり包む透明なカバーがあるそうなんですが、なぜか男性用ではあまり見かけません。男の人は衣を着ていても、荒く歩くから履き物がすぐ壊れると思われているんでしょうか。分かりませんが。
結局、台風のような横殴りのひどい雨の日は、足が濡れることを前提にして、替えの足袋をカバンに忍ばせてお参りに行っていることもあります。
もし、雨の日にお参りのお坊さんの足元に、透明なカバーがついていたら、「ああ、今日もお坊さんは足袋やかかとを濡らさないようにお参りに来たんだなあ」と思っていただければ幸いです。
なるべく足を濡らさないように心がけてお参りしています。
今回は、雨の日のお坊さんの履き物と、お坊さんの悩みについて話しました。

お寺には雷が落ちやすいのか?といったことを以前話したことがあります



