Podcast: Play in new window | Download
第77回目のラジオ配信。「死亡届と火葬許可証」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
2021年2月17日から新型コロナウイルスワクチンの先行摂取が開始されましたね。
新型コロナウイルスが流行するようになって一年以上がたちますが、お寺でもいろんな変化がありました。例えばお葬式で言えば、この一年は自宅でする葬儀や葬儀社に頼まず自分たちでする葬儀を、私はいくつか経験しました。
私の住む地域ではつい10年~20年ほど前だと自宅でする葬儀も多く、20年ほど前では自宅が主流で、葬儀の手配手続き・進行は同じ地域に住む人たちがしていました。ところがこの10年ほどで自宅での葬儀が急速に減り、葬儀に関する手配進行は葬祭業者に全部お任せする状態になりました。
コロナ禍のこの2020年から2021年にかけては、自宅でする葬儀や自分たちで手配進行する葬儀がいくらか戻りつつあるように感じました。
ですがつい10年や20年ほどは自分たちがしていた葬儀なのですが、10年20年たつと葬儀の手配をどうしていたのかを思い出せない人も多くいるようです。
さて今回のお話は、人が亡くなった後の役所への手続き「火葬許可証」をテーマにお話します。
仮にですが、人が亡くなったとします。
その時にまずする大切なことは、お医者さんに死亡した事実を証明する資料を作ってもらう必要があります。このときの資料を、死亡診断書あるいは死体検案書と言います。
火葬をするためには、この死亡の事実の資料を役所に持って行く必要があります。
役所に死亡診断書を持って行くのには、2つの理由があります。
- 1つは、死亡の事実を知らせ、戸籍に記載してもらう必要があるから。
- もう1つは、火葬をするための許可証を発行してもらう必要があるから。
私たちは生まれると出生届をだして、戸籍を作成しますよね。その人物が亡くなると同じように死亡届を出して、戸籍に死亡の事実を記載しなければなりません。
誤解があるかもしれませんが、死亡届は戸籍の抹消ではありませんよ。死亡した事実を戸籍に新たに記載するのが、死亡届です。
死亡届のことを法律的に話をしますと、死亡届はどなたでも役所に提出することができます。
親族が出してもいいですし、委任状があればどなたでも役所に提出できます。もちろん委任状の他に、届出人の認印や届出人本人確認の身分証明書はいりますよ。
で提出先ですが、一応法律の順番的には
- 死亡した場所の死亡地の役所ですが、
- 死亡者の本籍地の役所でもいいですし、
- 死亡届を出す人の所在地の役場でもOKです。
ですので、遠いところで亡くなったからといって、わざわざ届出人が遠い死亡地でまで行って提出する必要はありません。届出人のお住まいの役所でもOKです。
それと死亡届を提出する期限は、日本国内で死亡した場合は、死亡の事実を知ってから七日間・一週間以内です。
これも誤解してはいけないのは、死亡の事実を知ってからなので、死亡した日からではありません。ですので例えば、一年以上前に死亡したであろう人のご遺体であっても、死亡をしたことを知った日から死亡届を提出する期限はカウントされます。
まあ実際には、葬儀の手配を進めないといけないので、その日のうちになるべく早く提出されるとは思います。
まずこのこと、死亡の事実を知らせ戸籍に死亡したことを記載してもらうことが、役所に死亡診断書を持って行く理由のひとつです。
続けて二つ目の理由、火葬許可証の発行についてお話しします。
火葬許可証はとってもとっても大事な書類です。役所によっては埋火葬許可証とも言います。
火葬許可証は死亡届を提出する役所から発行してもらうんですが、これが無いと亡くなった人を火葬することができません。また意外に知られていないかもしれませんが、この火葬許可証は墓地や納骨堂などに納骨するときにも必要な書類です。
日本の法律では、人が亡くなり火葬をする場合は、必ず死亡診断書と死亡届を受理した自治体の長の許可が必要となっています。
火葬許可証があることで死亡届を出した自治体で火葬することができますし、また火葬場の運営者は火葬した事実を自治体の長に報告しなければなりません。
火葬場のご遺体を焼く炉が開いていないといった理由以外では、火葬許可証の交付が拒否されることはまずないです。
お住いの地域によって葬送儀礼は違うでしょうが、たいていは火葬の前に葬儀のお勤めやお見送りをするでしょうから、葬儀をするためにはまずは火葬場・火葬時間を決めることになります。
さて、火葬する時には火葬場にこの火葬許可証を提出しなければならず、ご遺体を運び入れる時に持参します。火葬許可証を受け取った火葬場では「火葬を確かに執行しましたよ」とサインし、遺族に火葬許可証を返します。
これがまた重要で、この戻ってきた火葬許可証が、そのまま火葬証明書と埋葬許可証として扱われます。
法律の話をしますと、この日本では遺体の火葬やお骨を納めることをする際には、必ず自治体の許可を取らなければなりません。
自分たちで勝手に遺体を火葬・焼いたり、自分たちが勝ってに遺体や遺骨を埋葬・埋めたり納めたりすることはできません。
ちなみに遺体を土に埋める土葬のことを「埋葬」あるいは「埋蔵」、お骨をお墓に納めることを「埋骨」、お骨を納骨堂といった建物に納めることを「収蔵」というのですが、ここではわかりやすいように「埋葬」で統一して、「埋葬許可証」と表現しておきます。
日本では火葬場や墓地や納骨堂を運営するには、都道府県知事の許可が必要になります。
火葬場では自治体の長からの火葬許可証が無ければ火葬できないですし、墓地や納骨堂でも火葬を正しい手続きと場所でした火葬の証明書を提出されないと、お骨を納めること預かることができません。
私のところもお寺であり、ご門信徒のご遺骨を大切にお預かりしてます。
ただお骨を預かるだけでなく、この火葬した証明書「埋葬許可証」も預かり、法律にのっとって5年間は最低保管します。
みなさんは遺体を火葬せずに弔わずに放置しておくと、遺体遺棄の罪になることはご存知だと思いますが、お骨となった遺骨の状態でも、埋葬の許可のないところで放置すると遺棄になる捨てたことになるのをご存知でしょうか。
火葬だけでなく、お骨を納めるところも都道府県知事の許可がいります。
またお骨を出し入れするときにも改葬許可証といって、お骨の出し入れをすることを役所に申請しなければなりません。
日本では亡くなったあとでも、その人のご遺骨がどこにあるのか?どの管理者が遺骨を管理しているのか?を把握しています。
骨は庭に埋めればいい、庭にまけばいい、川にまけばいい、海に流せばいいと思われる人もいるかもしれませんが、それは法律上好ましくありません。
このように死亡届・死亡診断書を役場に持って行くのは、戸籍に死亡の事実を記載し、火葬場での火葬許可証を発行してもらうだけでなく、火葬の後のお骨を適切に供養するために、墓地や納骨堂の管理者に提出する埋葬許可証にもなります。
ですので最後に私が言いたいのはひとつ。
火葬許可証は納骨する時まで無くさないように大事に持っていてねということです。
これで今回の2021年2月23日の雑談を終えます。
亡くなった後の役所への届出と、火葬許可証の大切がわかっていただけたら幸いです。
それと2020年2月25日の31回目のラジオでは「火葬の費用」についてお話していますので、よろしければこちらも聞いてみてくださいな。
東京都を除いて、多くの自治体では1万円から2万円前後で火葬できます。自治体によっては零円のところもあります。
公衆衛生上から日本ではほぼ100%近く火葬する感じになっています。また法律上、ご遺体ご遺骨は適切に火葬・埋葬するようになっています。
火葬だけは誰でもできるように、東京都を除き火葬場の運営は多くが自治体が行い、火葬費用も安く設定されています。しかしその火葬費用も負担になる人もいるのは事実であり、それを補うために自治体では1万円から7万円程度の葬祭費の給付金を行っていたりします。
そんなことを2020年2月25日配信した31回目の「火葬費用」でお話しています。
ラジオ内で死亡診断書を役場に持って行く理由は、死亡届を出して埋火葬許可証を発行してもらうためだと言いました。
説明不十分で、正しくは「埋火葬許可申請書を死亡届と同時に提出して」埋火葬許可証を発行してもらいます。
死亡届と同時でなくてもいいですが、埋火葬許可申請書には、死亡地・届出人の住所地・死亡者の本籍地・死因など、死亡届と同等の情報を記入するため、手続きがスムーズになります。
埋火葬許可証の申請には、次の書類と印鑑が必要です。
- 死亡届と死亡診断書(←死亡者の情報)
- 埋火葬許可申請書(←埋葬火葬を適切にさせてほしい)
- 火葬施設利用許可申請書(←どこの斎場で火葬したいのか)
あと私の確認不十分ですが、おそらく死亡届を提出したのと同じ役場窓口で、死亡届の届出人が埋火葬許可申請書を提出しなければなりません。
最後に注意点で、死亡届等は夜間や休日も受け付けるはずですが、手続き処理や申請書受理は日中の通常業務のときになります。
死亡届について
死亡届とは
どこに提出するの?
誰が死亡届を提出するの?
いつまでに出すの?
届出に必要なもの
火葬許可証の費用
広告 - Sponsored Links
火葬許可証をもらうために死亡届を出す
「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。