こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。
私たちは普段何気なく、法要(ほうよう)や法事(ほうじ)という言葉を使います。
しかしいざこの言葉を説明しようとすると、なかなか難しいものです。
今回は、法要・法事・仏事・僧事について説明します。
法事と法要はほとんど同じ意味。
法事とは「仏法の事」で、本来は仏教全般のことを意味しています。
仏様の法、すなわち教えを聞いていく場・機会をいただいていくお勤めのことを法事と言います。
そのため私たちが家で勤める一周忌や三回忌のことを何気なく法事と言っていますが、年忌法要の案内ともいいますよね。
先祖や肉親の別れという縁を通して、仏さまの法・教えの要点・肝要に気づいていくのです。
仏事とは「仏さまの事」をする意味。
仏事という言葉も実際には法事と同じように使われています。
仏事とは二つの言葉の意味があり、「仏教行事」と「仏さまの事」をさします。
仏教行事で言えば法事・法要と同じ使われ方をしますが、仏さまの事とは何でしょうか。
それは仏様へのお給仕だと言えるでしょう。
例えば、家のお仏壇に毎朝お仏飯をお供えしたり、お花をお飾りしたりと仏様へのお世話をさしていただくことですね。
僧事とは「僧の事」。
さて仏教には3つの宝があることをご存知でしょうか。
「仏」と「法」と「僧」の3つが大切ですよと言われています。
仏とは仏様のこと、法とは仏様の教え、そして僧とは僧伽(サンガ)です。
すなわち僧事とは、仏と法に出あい仏法により生き、仏法を伝えていく人たちのことです。
例えば、お寺やお仏壇にお参りをして仏様の教えを聞き訪ねていくことが僧事になりますね。真宗で言えばお念仏に生きて、お念仏を後の人に伝えていくことも僧の事ですね。
法要・法事・仏事・僧事の使い分けのイメージ。
法要・法事・仏事・僧事には二つのイメージがあります。
法要とは大規模な仏教行事。
僧事とは例えば朝夕のお勤めであったり、お仏壇に手を合わしたりするといった日常レベルでの行為になります。
仏事だと例えば仏様にお仏飯を差し上げたり萎れてきたお花を活け替えたりするといった、僧事よりもちょっとハードルのある行為になるでしょう。またちょっとしたお勤めの事も仏事になるでしょう。祥月命日のお勤めや納骨のお勤めを法事と言わずに仏事と言ったりするでしょう。
法事とは仏様の法・教えに出あう場ということです。
仏様の教えに出あう場というのは、例えば一周忌といった故人を偲ぶお勤めとなります。このような肉親との悲しい別れというのは、親族を含め縁のある人が集い、仏様や故人の事を想いお飾りをしていきます。つまり法事とは自ずと仏様の事と僧の事をしているのです。
法要とはイメージとしてはさらに規模が大きくなったものです。
例えばお寺での仏教行事を法事とは言わないでしょう。永代経法事や報恩講法事などと呼びますか?
大勢のお坊さんや門信徒が一堂に集いお勤めをし、普段以上に豪華に仏様にお飾りをして、さらには仏法のお話を聞いていくこと。法要とは法事・仏事・僧事の営まれる規模が大きくなったイメージです。
法要とは法事と仏事と僧事が円満した行事。
先ほどの話とつながりますが、「法要」とは「法事と仏事と僧事」が満たされた状態であるとイメージされます。(法事は仏事+僧事ともいえるでしょう)
- 法要とは仏様のお話を聞く場です。ただお寺が開かれていたり、勝手にイベントがあるのでは意味がないですね。お話を説いてくれる人がいます。
- 法要とは普段以上にご仏前をお飾りします。またお参りの人が来やすいように境内を掃除したり、浄土の荘厳を表すために本堂内を整えておく必要があります。
- 法要とは仏様の法に出あう縁がなければ成り立ちません。つまりはお寺との縁や同じ信仰の仲間がいて、お参りの案内・お誘いがあることですね。
お坊さんだけがお参りするお寺の仏教行事では法要と呼べないでしょうし、お飾りもできておらず仏法を説く人がいない仏教行事も法要と呼べないでしょう。
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さいごに。まとめ。
法要とは法事と同じ意味合いで使われます。それは間違いではありません。
しかしイメージとしては法要とは「仏」と「法」と「僧」の3つの事がきちんと満たされている必要があります。
法要とは、諸仏となられた先祖や肉親からのご縁をもとに、仏様の大切な教え・法を聞き訪ね、その仏教行事をお参りの人たちで共有していくということです。
ちなみに辞書には僧事のことを次のように説明しています。
【僧事】〘名〙
僧が行うべき事務。
授戒や説戒など。
また、僧の位階・寺職の補任叙や、勅会への招請を決める朝儀。
日本国語大辞典ー第二版ー
今回私が説明した僧事と全く違うことを言っているようですが、私は仏教の三宝の仏法僧の観点から、それぞれの仏教行事「仏事・法事・僧事」を説明しました。