こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。
皆様は法事をする日にちを決めるのに迷ったことはありませんか。
例えば「平日にするか・休日にするか」、「命日より前か後か」、「曜日はどうするか」などがありますね。
今回はお正月(年末年始)の法事についてお坊さんが説明していきます。
年末年始の法事はお坊さん的には問題なし。
よく法事の日にちにこだわる人がいますよね。仏滅は駄目だとか。命日より早くするのは良いだとか。
で、「正月を含めた年末年始は法事をして大丈夫だろうか」と悩む人もいます。
お坊さん的には問題ありません。正月3が日であっても法事をします。
特に浄土真宗の場合は日の良し悪しを選ばないので、日にちにこだわる必要がありません。ですので仮に12月30日が命日なら12月30日に法事を、1月2日なら1月2日に法事をすることもあります。
法事の日程を決める大切な要因は3点です。
- ご命日の日から離れすぎないこと。
- お寺さんとの都合を合わせること。
- お参りの人が集まりやすい日であること。
特に浄土真宗の場合は命日よりも早くに法事をしなければならないと考えていませんので、命日の前後で僧侶・施主・参列者の都合のいい日を選びます。
その日が年末年始のお正月であるならば、法事を正月にしても問題ないですよ。
でも正月の法事を避ける人が多い。
お坊さん的にはお正月に法事をするのは特に気になりません。
しかし実際問題、年始年末・正月の法事を避けられているような印象です。
理由はいろいろあります。
- 新年を祝賀する3日間(正月三が日)、正月の松飾がある1月1日~7日(松の内)の期間は法事が相応しくないというイメージがあること。
- 年末年始はお坊さんがきっと忙しいだろうから、きっと断られるだろうとイメージすること。
- 年末年始は法事をしたくない。のんびり過ごしたいと思っているから。
- お正月に親族を呼びにくいから。
- 年末年始はお店が開いておらず、仕出し屋や食事処に頼めないことがあるから。などなど。
どうも一般人にとっての法事とは「死に関すること。辛気臭いこと。めでたくないこと」といったイメージを持たれているような気がします。
法事はお祝い期間にすることじゃあないんだ。と考えている人もいるでしょう。
「仏前結婚式では、読経したり念仏を称えるですよ」と言ったら「本当ですか?」と驚かれるほどです。
法事というのは仏法に出あう大切なご縁であり、むしろめでたい行事なのです。正月三が日や松の内期間であっても仏教行事はできます。
またお坊さんが忙しいという人もいますが、そこは相談してくれれば法事の時間を調整することができます。
法事は参列者がお参りしやすい日を。正月はこれが難しいかも。
法事の日にちを決める要因の一つに、参列者(家族・親戚・知人・縁のある人)がお参りしやすいことがあります。
年末年始・正月の法事はこれを満たしにくく法事をずらすことがあります。
一昔前までは親族は比較的近くに住んでいたこともあり、正月であっても集まりやすかったのですが、現在では親族が近くに住んでいなかったり、子や孫すらも実家から離れたところに住んでいることがあります。
その結果、正月の時期の法事では案内した人がお参りしにくい可能性があります。
ですのであえて正月を避けることもあります。
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さいごに。正月の法事は遠慮する必要はない。
お坊さんが正月に法事をするのを「オーケーですよ・問題ないですよ」と言っても、「そうは言ってもする人なんていないよね」と思うでしょう。
しかし12月31日や1月1日に亡くなる人だって当然いますし、親族や子や孫が集まる正月が良いと考える人だっています。
実際この前はご門徒さんからの案内で、年末年始にそれぞれ法事がありました。
正月やゴールデンウィークといった長期連休の方が法事しやすいと考える家だってあります。
正月が命日の時、「正月の時期だから法事はできない」と決めつけるのではなく、「むしろ正月の方が法事しやすいかも」とちょっと考えてみてはどうだろうか。
法事は暗いイメージ・楽しんではいけないイメージと思うのではなく、『法事奉讃(ほうじほうさん)、孫子(まごこ)の正月』とも言われていた時代があるように、正月に親族が一堂に集まるように大勢の人がお参りをして賑々しく法事を勤めていただけたらなあと思います。
正月でも遠慮することなく法事ができます。
もしも悩んだらお寺にも相談してみてください。
法事の時期に関する記事
- なぜ年忌法事の日は命日を過ぎてはいけないと思われてるのかな。(2017年4月5日記)
浄土真宗では年忌法要の日が命日より早く終えなければならないとは考えていないことを説明しています。