こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。
お寺では年に数回、大きな法要があります。
浄土真宗のお寺でしたら、春秋お彼岸頃の永代経法要、年末年始頃の報恩講法要ですね。
その他にもお寺によっては夏法座・盂蘭盆会・花まつり・成道会・涅槃会などが営まれています。
檀那寺や菩提寺の門信徒(檀信徒)の場合はお寺から法要日が近づきますと案内状が送られてくるでしょうが、門信徒でない場合は檀那寺以外のお寺の法要日が一体いつなのか分からないということがほとんどでしょう。
そこで今回はお寺で法要がある時の目印について紹介します。
お寺の法要日には普段と違った飾りがあるんですよ。
旗と垂れ幕に注目。
お寺の法要日にはお寺のお坊さんは旗と垂れ幕を掲げます。
旗の正式名称は「仏旗(ぶっき)」と言い、デザインにより六色仏旗(新仏旗)や五色旗(旧仏旗)とも言われます。
上の写真は吹き流し型の仏旗です。
自坊では四角い旗を使っています。
仏旗は仏教旗とも呼ばれ、仏教を象徴する旗と定められています。
全世界の仏教徒共通のシンボルとなる旗で、世界のどこの場所に行っても仏教行事がある場合は掲げることができる共通認識の旗です。
この五色旗(旧)の仏旗や六色旗(新)が掲げられているということは、今日この場でなんらかの仏教儀式法要が営まれることを示しているのです。
ちなみに旧仏旗の5色の色【青(緑)・黄・赤・白・紫】には次のような意味があるとされています。
- 青(緑)は、お釈迦様の髪の毛の色で、心乱さず力強く生き抜く力『定根(じょうこん)』をあらわす。
- 黄は、燦然と輝くお釈迦様の身体で、豊かなお姿で確固とした揺るぎない性質『金剛(こんごう)』をあらわす。
- 赤は、お釈迦様の情熱がほとばしる血液の色で、大いなる慈悲のお心で人々を救済することがとまることのない働き『精進(しょうじん)』をあらわす。
- 白は、お釈迦様の説法をされる歯の色を表し、清純なお心で諸々の悪業や煩悩の苦しみを清める『清浄(しょうじょう)』をあらわす。
- 紫は、お釈迦様の聖なる身体を包む袈裟の色で、あらゆる侮辱や迫害・誘惑などによく耐えて怒らぬ『忍辱(にんにく)』をあらわす。
新仏旗の6色の色【青・黄・赤・白・橙・輝】についてはwikipediaの『仏旗』を参照してください。(意味は五色旗とほぼ一緒なんですがね。)
またお寺の法要日には垂れ幕がかかっています。
これも仏旗のように五色の幕(五色幕)のこともあれば、紫色の幕(紫幕)のこともあります。
上の写真のように山門や本堂に幕がかかっている場合は、今日このお寺・本堂で法要があることを知らせているのです。
本堂でお勤めが始まる前には大鐘が鳴ることも。
さてお寺では法要日に仏旗の掲揚をしていたり、垂れ幕を山門や本堂にかけて、視覚的に法要の案内をしています。
またお寺ではもう一つ聴覚による法要の案内も法要当日にしています。
それはお寺の大鐘(梵鐘)を撞くということです。
梵鐘(ぼんしょう)とは朝夕の時間を告げる時鐘的な役割だと思われている人もいるでしょうが、仏教宗派によっては梵鐘のことを集会鐘(しゅうえしょう)とも言います。
主に法要開始の一時間前に撞き鳴らし、お寺の近くにいる人たちに「お寺にお参りに来てくれよ~」と案内しているんですね。
ただ都会や街中のお寺では、周囲が住宅に囲まれている場合は配慮して大鐘を撞かないこともあるでしょう。
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さいごに。ぜひお寺にお参りを。
どうですかね。法要時のお寺に掲げられている目印についてわかりましたか?
「仏旗」と「垂れ幕」ですよ。
実際この二つが掲げられていなくも、お寺の法要当日には人の出入りが多かったり、お寺周辺の道路が車で込み合っていたりするので、なんとなしに「ああ、今日この近くのお寺で何かしら仏教行事があるんだろうなあ」とは勘づくものです。
でもですね。私が言いたいのはそういうことじゃないんですよ。
お寺が今日この日に法要があるということはご門徒さんなら案内状を受けているので知っているはずです。
仏旗や幕を用意するのは、今日という日が特別な日・ご縁だと気付いてもらうため、そしてどなたでもよろしいのでぜひお寺にお参りしてくださいと案内しているのです。
なかなか初めてのお寺にはお参りしにくいこともあるでしょう。
もしも知り合いの人がそのお寺にお参りしているのであれば、門をくぐるだけでもいいので一緒にお参りしてみてはいかがでしょうか。