【干し柿の作り方】ただ吊るすだけの家庭でもできる簡単な方法。

こんばんは。 かっけいです。

10月が来ますと干し柿を作り始める時期になりますね。

食べ物が無かった昔はどの家庭でも軒先にて干し柿を作っていた光景があったそうですが、最近では柿の樹すら家に植えられていないようです。

我が家でも昔は4本の柿の樹あったのですが現在ではたったの一本しか残っていません。

それでもこのたった一本の柿の樹は我が家にとっては干し柿を作るための大切な樹です。

今回は我が家で昔からしている干し柿の作り方を紹介します。

昔からの方法であり、非常に単純な方法です。

(ただ白く粉が吹く方法ではなく、だんだんと黒く変色してく方法ではあります。しかし味は美味しいですよ)

次の人にはお勧めできない方法です。

  • 干し柿の表面に白い粉を吹かせたい人。(黒く変色していきます)
  • 柿の数が少なく失敗ができない人。(慣れても2割はカビが生えダメになります。)
  • 柿の皮を剥く下処理が面倒な人。

渋柿の実っている様子。

吊るしただけの干し柿の完成品

吊るしただけでできる干し柿の完成品

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必要なもの。渋柿と軒先。

我が家にある渋柿は西条(さいじょう)と言われる品種です。

非常に古い品種で、古来より干し柿により渋抜きをして食べられてきた柿です。

干し柿には必ずしも渋柿でなければダメではないのですが、干し柿にするのであれば甘柿よりも何倍もおいしくなります。

渋柿を作るためには、軒先が必要です。(室内でも作れないことはないのですが、ここでは昔からの方法を教えます)

軒先でも条件があります。

  1. 雨水が当たらないところ。
  2. 風通しの良いところ。
  3. 太陽の光がよく当たるところ。

この3つが干し柿を簡単に作るための条件です。

特に雨の当たらない場所を選ぶのは非常に大切です。

干し柿づくりに失敗する一番の原因は干し柿を腐らせることとカビを発生させることです。

雨だけには当てないでください。

干し柿の選び方。作り始める時期の考え方。

まずは次の写真を見てください。

収穫したての青い渋柿。

どのような感想を持ちますか。

「まだまだ青いじゃないの。」「収穫するの早すぎない。」と思いますか。

いやいや、これぐらい青い状態の方が失敗しない干し柿づくりには適しているのです。

例えば次の写真を見てください。

やや熟れている渋柿。

少しオレンジ色に染まっていますね。

樹の上で少し熟れてきたので色が緑色からオレンジ色の変化しているのです。

この状態が干し柿にできる許容範囲かな。熟れるにつれてだんだん難しくなります。

干し柿はなるべく未熟な青い方が吊るす前の下処理がしやすいのです。

未熟な青い状態は実が堅く締まっており、皮を剥きやすくまた干した後の状態でも表面が乾きやすいメリットがあります。

一方で熟れた状態では、実が柔らかくなり皮を剥きにくいのは当然のこと、さらには吊るしてもなかなか表面が乾燥せず、果汁が垂れることで腐りやすくもなります。そのような状態の干し柿ではコバエも発生しやすくなります。注意ですよ。

熟れた渋柿と未熟な渋柿を比較。

上の写真の状態では左右どちらも干し柿にできますが、できるだけ右側の青く未熟な渋柿を選んだ方が失敗しにくくなります。

すると自ずと渋柿を作り始める時期も決まってきます。

我が家の渋柿は西条柿です。

10月に入ると樹上で熟れ始め、大風の日には落果するのもあります。

ですので我が家では色づき始める10月上旬には干し柿づくりを開始します。

品種によっては11月から熟れ始めるのもあるので、それはお住まいの地域と品種を確認して色づきが始まった青さが残る渋柿を用意していただければなあと思います。(10月よりも11月の方が失敗しにくくなる印象です)

ちなみにですが、干し柿用の柿は小さい方が作りやすいです。

大きい方が食べ応えがあるのですが乾燥しにくくカビやすく失敗しやすいので、小型の柿の方がやりやすいです。

ただし注意点が二つ。大きいほうが食べ応えがある。

私は小さいサイズの柿の方が作りやすいのでおすすめなのですが、やはり大きいサイズの干し柿は食べ応えがあります。

大きな西条柿を吊るす。

大きい西条柿は重さが150~200グラムほどあります。

大きなサイズの柿の方が中の果肉が柔らかい状態のままであり、あんぽ柿に似たような食感(誇張)になります。(皮は黒く変色し硬いですが)

小さいサイズの干し柿はドライフルーツのように保存食のようなしわしわな見た目になります。

大きい柿は焼酎による渋抜き方法では中心の方の渋みが綺麗に抜けない様な気がするので、干し柿づくりに慣れれば大きな柿も干し柿にするのがいいかもね。

熟れ具合によるが、涼しくなる11月からの方が作りやすい。

私は我が家の柿(西条柿)が樹の上で熟れ始める10月頭から実が青いうちから干し柿を作り始めます。

ただこれはあくまで一例です。

10月というのはまだ日中の気温が高めです。

年によっては台風が迫ってきているのが分かっている時もあるでしょう。

そんな時は高温のため腐りやすいですし、暴風雨によってカビが生えやすくもあります。

地域・品種・その年の天候によっては干し柿作りを遅らせるのも一考です。11月くらいの涼しくなった方が虫が来にくく作りやすいと感じます。

干し柿の作り方。皮を剥いで、ただ吊るすだけ。ポイントは2つだけ。

昔ながらの家庭用の作り方なので、手順は単純です。

ただ渋柿の皮を剥き、ただ軒先に吊るすだけです。

渋柿の果皮を剥いた。

皮を剥いた渋柿

ただ皮を包丁で剥いていくだけですが、ポイントが2つあります。

一つは、渋柿のヘタを取り除かないことです。

渋柿のヘタをT字に残す。

このヘタのT字は軒下で吊るすときに紐に引っ掛けるための大切な場所になります。

必ず残しましょう。

もう一つは、お尻の皮を残すことです。

渋柿のお尻の皮を残す。不思議に思われるかもしれませんが、非常に大事なポイントです。

ヘタと反対側の部分ですよ。お尻と言ってよいのか先端と言ってよいのかわかりませんが、上の写真を参考にしてください。

必ずこの皮を残して下さい。

これは昔の人の経験です。

ここを残さないと、吊るした柿は中の果肉を支えきれずに形が崩れてしまいます。

また、先端から果汁が垂れやすくなり腐りやすくもなります。

必ず皮を残して下さい。

干し柿が出来上がって食べる時はこの部分をかみ切って捨ててください。

そんなこんなで、後は剥いた渋柿を雨の当たらない・風通しの良い・日のよくあたる軒下に吊れば完成です。

軒下に吊るした干し柿。

先ほど残しておいたヘタのT字を軒から下げた紐に2巻き程度して順々に吊っていきます。

ここで注意点を挙げるのであれば、なるべく柿同士が接触しないようにすることです。

柿同士がぶつかっているとその部分が乾きにくく果汁もたまりやすいので、非常に腐りやすくなります。

吊るすときは余裕をもって吊るしてください。乾燥してきますとしぼんで隙間が大きくなるので接触しない程度の間隔でいいですよ。

ちなみにより干し柿の吊るしを成功させるために、皮を剥いた渋柿を熱湯に5~10秒程度くぐらし表面をタオルなどでふき取る方法があります。

ただ非常に面倒なのでおすすめはしません。(単に私が面倒でしないだけ)

そんなことをしなくても青く小さな渋柿を選び、雨の当たらない軒下に吊るすだけでカビの発生する可能性はかなり減ります。

カビが生えるときはどうしたって発生するのですから。

その後、干し柿の完成までの保存方法について。

渋柿をひと月以上吊るして完成した干し柿。

吊るしたままの完成した干し柿

さてひと月も吊るしておけば大体の渋柿は渋みが無くなった干し柿になります。

ただ大きな渋柿は中心部が完全に抜ききっていないこともあります。

ではどのように干し柿を保存したらいいのでしょうか。

方法は二つあるように感じます。

  1. 一つは、干したまま放置しておくこと。
  2. 一つは、下ろして冷蔵庫に貯蔵しておくこと。

どちらでも好みの方法をとればいいと思います。

この方法を選択するときはおそらく12月中下旬ごろで気温も下がっており、屋外に干したままにしてもカビが生えにくい状態だと思います。冷蔵庫に入れておかなくても食べられなくなるわけではありません。

ただ保存後の干し柿の食感が大きく異なります。

屋外で保存した干し柿と冷蔵庫で保存した干し柿の比較

屋外で保存した干し柿(左)と冷蔵庫で保存した干し柿(右)の比較

上の写真は屋外で吊るしたままの干し柿(左側)と冷蔵庫で保存した干し柿(右側)です。

吊り始めてから2ヶ月ほど経過していますが、どちらも見た目に大きな違いはありません。

しかし触ってみますと、左は皮が硬くなっており、右は弾力があります。

貯蔵方法の違いによる干し柿の出来栄えの違い

貯蔵方法の違いによる断面(果肉)の違い。

そしてこの2種類の保存方法の干し柿の食感は大きく異なります。

屋外に吊るしたままの左の干し柿は皮が硬くなっただけでなく、果肉も水分が抜け濃い茶色に変色していき、いわゆるドライフルーツの様になりつつあります。

一方で冷蔵庫に貯蔵した場合は水分の損失が少ないのか、果肉は綺麗なオレンジ色を保っています。トロトロの食感が残っている状態です。

どちらの保管方法でも渋みは無くなっていき、仮に渋が完全に抜ききっていない状態で冷蔵に入れても干し柿は追熟し完成します。

どちらの干し柿もそれぞれの美味しさがあるので、どの貯蔵方法をとるかは人それぞれです。

(冷凍保存にする必要はないと考えています。もしも冷凍庫に保存する場合は半年以上も干し柿を保存する場合であり、一つ一つをラップに包むか真空パックにまとめないと冷凍焼けして食べられなくなります。やや手間なので私はしません)


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さいごに。

どうでしたか。結構簡単でしょう。

もちろん我が家で昔からされている方法なので、やり方が違うと思う人もいるでしょう。

なおかつ私が今回紹介したのはだいぶ手抜きの部類に入るでしょう。

他の方が伝えているのはプロが作るような本格的で失敗のしないような作り方ばかりです。

熱湯にくぐらすなんて面倒くさくて誰ができるんですか。

青い渋柿を選び、ただ皮を剥いて、お尻の皮を残し、雨の当たらない軒下に吊るす。ただこれだけです。

カビが生えたり腐るものも出てくるでしょうが、それは経験して改善していくところでしょう。

我が家では昔ながらのこの方法が一番しっくりしています。

吊った干し柿のアップ画像。

干し柿同士が接触しているように見えるけど当たってないよ。

食べられるのはどれくらい干してからなの。

ちなみに干し始めた渋柿はいつから食べられるでしょうか。

今回紹介した方法では、だんだんと干し柿は黒く変色していきます。

これでも問題なく渋みが抜け、甘い干し柿が食べられるようになります。

見た目よく美味しい干し柿を食べたいのであれば、干してから10日ほど経過してから吊るした干し柿を軽く揉む方法もあります。(私は面倒なのでしませんが)

一般的には吊り始めてからおよそ2~3週間ほどで食べ始めることができます。

ただ渋みの抜け具合はその年の環境に大きく左右されるので、試しにひとつ取ってみて食べていき、ベストな時期を見計らう必要があります。

日数だけでは食べ時はわかりません。

ちなみに3か月ほど干すと黒いミイラのような干し柿ができます。私はこの状態も家庭的で好きなのですが、試してみますか?

今年干し柿の様子。吊ってから一週間後。

吊ってから1週間後の干し柿。

上の写真は吊り下げてから一週間後の様子です。

順調に乾燥しているようですが、中には早や黒く渋みが抜けてしまった柿もあります。

それはこれ以上の期間吊っていても渋みは抜けることなく、どんどん干からびてしまうので早めに収穫しましょう。

渋みが抜けた干し柿。

一週間吊るした干し柿の断面。一週間程度吊るした干し柿の中には上の写真のような果皮が黒くなりしぼんだものが出てきます。

このような状態でもしっかりと渋みは抜けているので甘く食べられます。断面は乾燥したミニトマトのようです。

吊り下げてから2週間後の干し柿の様子。

吊ってから2週間後の干し柿。カビに気を付ける。上の写真は吊り下げてから2週間後の様子です。

吊ってから1週間後の様子よりも全体的に色が濃いオレンジ色になってきているように感じると思います。

2週間もすれば順次食べることができます。

今年は吊り始めた日から秋雨前線が停滞したため、晴れた日が1日もありませんでした。

そのため例年ならば2週間程度ではカビの発生が1~2割程度だと思われるのですが、今年は吊り下げる外的な環境が悪くおよそ4割程度の柿に緑色のカビが発生してしまいました。

雨により緑色のカビが生えた干し柿。

上のような状態でカビが生えた柿が例年よりも多く発生しました。これは連日の雨のせいです。湿気が高かったためカビが生えたのです。

上のような干し柿の状態でも表面を洗えば食べられます。しかしもしも気持ち悪いと感じるのであれば、食べるのを避けるべきでしょうね。

もし上のようなカビの発生を少しでも抑えたいのであれば、途中で軽く触れました熱湯に軽くくぐらす方法か、干し始めてから数日間は晴天が続くような日を選ぶべきです。それでも発生するときはしますが。

樹上で完熟した渋柿(西条柿)も絶品。

実は柿にも様々な分類があります。(完全渋柿・不完全渋柿・不完全甘柿・完全甘柿)

西条柿は完全渋柿に当てはまります。

完全渋柿、不完全渋柿は樹の上で熟し切るまで放っておくと渋さのタンニンが完全に抜け切るだけでなく、果肉もトロトロの絶品の柿になります。

本当に最高に美味しい柿なのですが、意図して作るのは非常に難しいです。

  • それは渋さが抜け鳥が食べようと常に狙っていること。
  • 完全に熟れ切っているので大風が吹くとすぐに落下してしまうこと。そしてつぶれること。

道の駅などの産直では熟柿(じゅくし)という名前で売られていることもあります。美味しいのでもしも目にすることがあれば食べてみることをおすすめします。

ちなみに我が家では樹上完熟した柿のことをなぜか「ずく柿」と呼んでいます。方言かと思ったのですが、どうやら違うようです。どうしてこんな呼び名になったのでしょう。謎です。

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