春の永代経法要が3月・4月に営まれる理由。

こんばんは。  真宗僧侶のかっけいです。

浄土真宗ではこの3月から4月にかけて春の永代経法要が各地域の寺院で営まれています。

なぜこの時期に春の永代経法要が勤められているのか。

考えてみますと、少し疑問に思いませんか。(気になりませんか?)

今回は永代経法要が勤められている時期のお話です。

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真宗における永代経法要とは。

以前の記事で浄土真宗における永代経法要について紹介しました。
ですのでここでは簡単にまとめておきます。

  • 真宗の永代経は、永代供養ではない。
  • 永代経はお参りの人、今を生きている人へのお勤め。
  • 永代読経の意味があり、お念仏が永代に相続する法要。
  • 懇志を納めるだけでなく、お話も聞きましょう。

春の時期にある重要な仏教行事。

冒頭にこの春の3月4月には各寺院で永代経法要という仏事が営まれていることを言いました。

しかしこの春の時期には他にも大切な仏教に関わっている日があります。

  • 旧暦3月15日のお釈迦様の命日(涅槃)
  • 3月春分前後7日間のお彼岸
  • 4月1日が親鸞聖人の誕生日の一つ
  • 4月8日のお釈迦様の誕生日

真宗寺院が主に関係している仏教行事だけを取り上げました。
この他にも浄土宗の法然上人の誕生日や命日、親鸞聖人が教行信証を書かれた立教開宗などがあります。

本来真宗にとって大切な行事が「彼岸会」でした。

しかしそれがいつの間にか、彼岸会から永代経法要に変わってきています。

もちろん今でも彼岸会はしているところはたくさんありますよ。

でも彼岸会を勤めなくなり永代経法要に変化した地域もあります。

彼岸会とは。

彼岸会とは、春と秋にある春分の日と秋分の日の前後に勤められる法要です。

彼岸(ひがん)とは、仏様がいらっしゃる世界(覚りの世界)、すなわちお浄土という意味です。
逆に悩みや不安の中で生きている私たちの世界を此岸(しがん)といいます。

真宗では春分の日や秋分の日の太陽が真東から昇り真西に沈む太陽のすがたを見て、阿弥陀様が建立された西方浄土を想うという考えから、特にこのお彼岸の日を大切な日としてきました。

そのため、このお彼岸の中日前後の一週間で彼岸会法要が勤められています。

しかし現在では彼岸会ではなく、永代経法要に取って代わられているところも多くなりました。

本山や別院クラスでも「彼岸会and永代経法要」と合わせて勤めるところもあります。

なぜ彼岸会から永代経法要に変わったのか。

これは私の推測になります。

考えられる理由は二つあります。

  • お寺同士での勤め合いがあり、法要の期間が短いとお互いの都合がつかなくなる。
  • 彼岸会よりも永代経法要の方が受けがいいのではないか。

お寺の法要というのは、自坊の僧侶だけで勤めるとは限らないですね。

他のお寺の僧侶も法要にお参りに来て内陣などでお勤めをしてくださいます。
そのことを私の住んでいる地域では「つとめあい」と言います。

そのため、お互いの法要の日時が重ならないように調整をしています。

彼岸会ではお彼岸の期間が短いため、お寺同士の日時の調整が難しいため流行らなかったのではないだろうか。

もう一つは、お参りの人の意識です。

永代経法要とは一般的に辞書には「死者の冥福のために、永久的に継続して勤める法要」といったニュアンスとなっています。確かに真宗以外の宗旨ではこれでいいのかもしれません。しかし真宗では死者の冥福を祈りません。

永代経法要とは浄土真宗ではそれほどメジャーなものではなかったと私は聞いております。
むしろ真宗以外のお寺で勤められていた法要だそうです。
それが今では「永代経=真宗の春・秋の法要」みたいになっているそうです。

太陽が真西に沈んでいくお彼岸の中日に極楽浄土を想うのが真宗の考えの一つですが、それでは満足しない人がいるのでしょう。

真宗の永代経法要にも永代供養の意味合いでお参りに来ている人が大勢います。
浄土真宗は供養のためのお勤めはしないのですが、それを期待している人がいるのです。

ですので、死者の冥福を祈るイメージがある永代経の方が受けがいいのではないでしょうか。(お参りの人の目的にかなう)


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さいごに

先ほどの説明ではご本山クラスでも彼岸会ではなく永代経を勤めるところあると言いました。

しかしこれは少し失礼ですね。

例えば、真宗興正派の本山興正寺は3月の7日間で春季彼岸会を勤めますし、4月上旬には春の法要も勤めます。香川県丸亀市郡家町にある郡家興正寺別院でも春のお彼岸中の3日間で春季彼岸会を勤めます。
このように今でも彼岸会は勤められています。

仮に永代経法要であったとしても、真宗における永代経とはお念仏の教えが永代に渡って続いていくための仏事であり、亡き人とのご縁の中で今生きている私が仏法に出逢わしていただく法要です。
ですので永代経法要でもまったくおかしくいことではありません。
ただお参りの人が先祖供養のための法要だと勘違いするのではないかということが懸念されるのです。

お寺さんの私からすれば、法要の営まれる期間が長くなり名称が変化しただけのことであり、法要の内容・意義には何ら変わったことはありません。

私の勤めている円龍寺では春の永代経は毎年4月4日と日付を固定しています。
これは親鸞聖人とお釈迦様の誕生日のちょうど真ん中の日にちとなっています。
春の永代経ではあるのですが、合わせてお誕生日もお勤めさしていただいています。
(花まつりはまた別にしています。)

 

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