家での法事は出焼香にしては?#256

第256回目のラジオ配信。「お焼香」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオ内容まとめ
  • 仏事にはお焼香がつきもの
  • 葬式では仏前に出ていく「出焼香」
  • 寺や家での法事法要では「回し焼香」のことが多い
  • 自宅での法事では出焼香にしてはどうだろうか
  • 最近はお参りの人数も少なく、仏前に出やすくなった
  • 椅子に腰かけている場合、回し焼香をするのが難しい
  • 香炉はひっくり返すと大変

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。

今回は、お焼香のことから、前に出ていくお焼香と回し焼香について短くお話していきます。

仏事にはお焼香がつきものですよね。

お葬式に行けば、式の途中で焼香の時間がありますよね。

他にも家で法事をするときや、お寺での法要でもお焼香のお盆が手元まで運ばれてきてお焼香することがあります。

前に出ていくお焼香のことを出焼香、お焼香のお盆が手元まで運ばれてくることを回し焼香と言ったりします。

さて、それで今回私が言いたいのは、法事のとき、回し焼香が当たり前のようになっているかもしれないけど、出焼香に変わってもいいんじゃないかなあと思うことです。

別に回し焼香自体が悪いわけではないんですよ。

でも私は個人的にはお焼香は、各々の参列者が仏さまの前に進んで行ってお焼香をする方が、お焼香する時の気持ちが乗りやすい気がするんですよね。

回し焼香のメリットは自分の座っている席から動かなくていいことです。

向こうの方から勝手にお焼香の道具一式が運ばれてくるんですから、自分の手元に着いたら、その場所でお焼香して左右後ろの次の人に回していけばいいんです。

なので、回し焼香は楽なんです。

足が痺れて動けないかもなんて心配する必要もありません。

一方で、出焼香はわざわざ前に出ないと行けません。

仏さまを真正面に見据えて、それでいてお参りの人の視線にもあっているような感じがするでしょう。

緊張してしまいますよね。

そういうのがあって、皆さん、出焼香よりは回し焼香というのがあるかもしれません。

でも私は最近思うんです。

家でする法事はそろそろ出焼香にしてもいいんじゃないかと。

理由は二つほどあります。

昔はできることなら回し焼香よりも出焼香だったそうです。そっちの方が丁寧というのです。

しかし昔は法事の参列者はその家族だけでなく親戚、またその家族たちと非常に数多くの人がいて、各々が座っている座布団から立ち上がって前に出ていくのは大変というのがありました。

移動するのが難しい、ぎゅうぎゅうな狭いスペースであってもお焼香できるというので回し焼香が採用されていましたが、もう今の時代、お参りの人数も昔ほどは多くないですよね。

皆さんが仏さまの前に進む動線も広くある時代なのですから、仏さまの前に進んでいく出焼香のスタイルにも戻ったらいいと私は思うのです。

もう一つの理由は、椅子に腰かけてお参りする人が増えたことです。

回し焼香は自分が動かなくていいので一見して楽なんですが、実はいざお焼香をしようとすると、ちょっと悩ましいところがあります。

座布団に座っている状態であれば、自分の体の前、膝の先にお焼香盆を置いてお焼香をすればいいのですが、さあ、椅子に腰かけている場合だとどうすればいいでしょうか?

椅子に腰かけている場合だと、足元にお焼香盆を置くのもなんか変な感じがしますし、置こうと思っても相当前かがみにならないといけないので大変ですよね。

かといって膝の上に置くのは不安定すぎます。

それにお焼香をするときには片手でお盆を持つ必要があります。お金を置こうものなら、片手で持っている時間も相当長くなりますよね。

お焼香盆によっては表面がツルツルで滑りやすいことがありますし、そもそも香炉自体が不安定なこともあります。

香炉をひっくり返しては大変です。

それにお焼香をした後に手を合わせて合掌しようと思っても、両手を離すことができませんよね。

椅子に腰かけてのお参りが多くなっている今、回し焼香というのは、どうしたらいいのか悩ましい、お焼香をひっくり返さないかと不安になる問題があります。

そういった2つの理由で、お参りの人が減って仏さまの前に進みやすくなったこと、椅子に腰かける人が多くなって手元でお焼香しにくくなったことから、回し焼香から、出焼香に戻ってはどうかと思うところです。

実は、この話をしようと思ったのも、先日の法事で回し焼香をしたところ、香炉をひっくり返した人がいたからなんですね。

香炉をひっくり返すと後のしまいが大変です。

香炉の中の灰やお香はかなり熱を持っています。

その熱が座布団やカーペットのような敷物、あるいは畳の中に入り込み、感じにくくても熱を持ち続けるかもしれません。くすぶっているかもしれません。

法事のあと、火事にならないように、香炉を倒したところの敷物は外に出して、畳なら上に物を重ねないようにして、火がでてこないか何度も確認しないといけません。

座布団に座っていたころは、香炉をひっくり返すということはそうはなかったと思いますが、最近は椅子に腰かけての法事が増えたり、お参りの人同士の座る間隔が広くあいていることなどから、お焼香を回しているときや片手で持っているときに倒してしまうケースが増えたような気がします。

そういったわけで、家で法事をするとき、仏さまの前に出てお焼香をする出焼香にしてはどうでしょうかという私からの提案です。

もちろんお参りの人の中で、おみ足が悪く前に出るのが難しい、家の奥、台所などでいて仏さまの前に出ていけない人がいるといった理由があれば、回し焼香のスタイルにして、その人の元にお焼香盆を持って行ってあげるのがいいと思います。

お焼香は皆さんにしていただきたいので、その辺は臨機応変にお願い致します。

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椅子に腰かけているときの合掌礼拝

かっけい
かっけい

ラジオでも話しましたが、椅子に腰かけている場合、回し焼香のとき合掌礼拝が難しいですよね。

以下の手順で合掌礼拝してください。

回し焼香のときの合掌礼拝(椅子の場合)
  1. 焼香盆が自分に回ってきたら、自分の体の正面に持つ
  2. 焼香盆を両手で持ち、目線の高さにして軽く頭を下げる(おしいただく)
  3. 焼香盆を片手で持った状態で、もう片方の手でお香をつまみお焼香をする
  4. 次の方にお焼香盆を回す
  5. 回した後、両手を合わし、合掌礼拝をする

お焼香盆を持っている時ではなく、お焼香盆を次の方に渡してから、落ち着いて合掌礼拝をしてください。

お焼香・合掌礼拝の作法については、各仏教宗派によって異なりますので、それぞれにお任せします

私の所属している浄土真宗の興正派の場合ですと、

  • お香は右の親指・人差し指・中指の三本でつまむ
  • 額のところでいただかず、そのまま香炉に入れる
  • 合掌礼拝をうやうやしくする
  • 焼香の回数は2回
  • 合掌は両手を胸の前(みぞおち当たり)で合わせる
  • 手のひらはそろえる
  • 左右の指は開いたり組み合わせたりしない
  • 親指と四本指の間に念珠をかける
  • 目線はご本尊の仏さまの足あたりに
  • 合掌したまま数回「南無阿弥陀仏」とお念仏を称える
  • 礼拝の長さは一息半が目安
  • 礼拝の角度は45度が目安

このようにありますが、あまりとらわれ過ぎず、故人や仏さまを偲ぶ気持ちで、焼香合掌礼拝をしていただけたらと思います。

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