霊柩車には誰が乗るのか.#270

第270回目のラジオ配信。「霊柩車に乗る人」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

内容まとめ
  • 霊柩車に乗る人は決まっていない
  • 喪主が乗ることが多いが絶対ではない
  • 霊柩車に乗る人は位牌を持つことが多い
  • 誰も霊柩車に乗らないこともある
  • 出棺はかつての「野辺の送り」を表している
  • 野辺の送りをイメージして行えばいいだろう
  • 地域の習俗によっていろんな形があるから、絶対の答えはない

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。

今回は、お葬式のときのお話、出棺時、霊柩車には誰が乗るのかについてのお話をしていきます。

まず注意点からお話しますね。

今回のお話は仏教儀式・仏式でのお話です。神道やキリスト教などの葬儀のことは私はわかりません。

それと、葬送儀礼、仏教儀式というのは、お住まいの地域によってさまざな形があります。それぞれの習俗がありますので、正しい答えというのはありません。今回のお話はあくまで香川県丸亀にいる浄土真宗のお坊さんの私によるお話です。

それと最後にもう一つ、葬儀を行った場所から火葬する場所まで運ぶ車のことを一般的に霊柩車といいますよね。

私は霊柩車という言い方を基本しないのですが、霊柩車という言葉が広く使われていますので、今回は霊柩車の表現で統一して話します。

さて今回のお話、霊柩車には誰が乗るのかを話します。

結論を言うと、何の決まりもありません。

その場の雰囲気で乗る人が決まっています。

もっと言えば、誰も乗らないこともあります。

遺族の誰かが霊柩車に乗らないとダメという決まりもありません。

これだけで今回の話はまとまるんですが、もう少し話しを広げますね。

一般的に、霊柩車には喪主が乗ることが多いです。

喪主というのは、遺族の代表者であり、一連の葬送儀礼の中心となる人のことです。

亡くなった人の子供または配偶者であることが多いです。

この喪主が霊柩車に乗ることが多いです。

ですが、絶対ではありません。

例えば、高齢のおじいちゃんが亡くなったとしますね。

配偶者である高齢の奥さんではなく、その子供が喪主をつとめた場合、誰が霊柩車に乗るでしょうか?

喪主が乗ることもあります。

しかし亡くなった方の配偶者、高齢のおばあちゃんが霊柩車に乗ることだってあります。

どっちが正しいなんてないんです。

どちらが乗ってもいいんです。

私の住んでいる地域では見かけないんですが、別の場所では二人以上が乗れる霊柩車のこともあります。そういう時は、どちらか一人だけでなく、おばあちゃんも喪主も乗ってもいいんです。

ちょっと話しは変わりますが、皆さんは出棺は何のためにしていると思いますか?

いろんな考えはあると思いますが、あれは野辺の送りを表しているんですね。

昔は葬儀をしたあと、火葬をする場所まで、皆さんが葬列を組んで、並んで移動し亡き人を送っていました。

今では葬列を組む葬儀というのはほとんどなくなり、代わりに亡くなった人を霊柩車に載せて火葬場まで送っているわけです。

ですので、出棺時の形はかつての葬列をイメージしたものになります。

私の地域で言えば、棺の前に、お坊さんが導師の役割で歩き導いていました。

なので、今でも出棺する時は、お坊さんを乗せた車が霊柩車の前に出て、火葬場まで行きます。

霊柩車の前にお坊さんがいます。

そして棺の後ろに参列者が続きます。

遺族は棺の前・後ろ、どちらのパターンもあります。

かつての葬列の形をみても、遺族の立ち位置ははっきり決まっていないので、この点から見ても、霊柩車に乗る人は誰でもいいということになります。

一点注意点を挙げるとすれば、霊柩車に乗る人の持つものが挙げられます。

今、仏式の葬儀をすると、大抵、位牌と遺影のお写真、お骨を入れる骨箱が用意されますよね。

位牌と遺影と骨箱、この3つは同列ではあるんですが、あえて順位をつけるとすれば、お位牌が一番優先順位が高いです。

なので位牌を持つ人は喪主であり、霊柩車に乗る人が持つのは位牌であることが多いです。

喪主でない人、例えばお写真を持っていたおばあちゃんが霊柩車に乗った場合、わざわざ位牌を渡すこともありますよね。

霊柩車に乗る人は位牌を持つことが多いというのが注意点です。

もちろん絶対のルールではありません。

位牌と遺影と骨箱の3つは同列ではあるんですが、位牌が一番順位が高いという扱いです。

なぜかと言うと、仏式の葬儀をする場合、遺影や骨箱はなくてもできますが、お位牌だけはいるからです。

昔々の家で葬儀をしていて野辺の送りをしていた時代、亡くなった人の写真を用意することもなかったですし、お骨を納める容器も後から用意するというパターンもありました。

でも位牌だけは必ず用意していました。

そういう点から見ても、位牌の重要性は高いわけです。

ちょっと余談を言うと、浄土真宗はお位牌そのものを拝みませんし、まつりません。

決して位牌に亡き人の魂が宿っているとも思っていません。

葬儀の時に白木の位牌には法名が書かれています。

これは亡き人が仏さまの仏弟子である名のりです。

仏式の葬儀である場合、法名、あるいは戒名というのは仏弟子なのですから当然必要です。

仏式の葬儀なのに、法名・戒名がないのはあり得ないですし、仏弟子の名のりなのですから、白木の位牌を用意します。

さて、話しが広がりすぎたので、まとめますね。

出棺時、霊柩車に乗る人というのは決まっていません。

地域の習俗によっては色んな考え方はあるでしょうが、出棺の様子は野辺の送りをイメージして考えるといいでしょう。

位牌を持つ人、つまり喪主が霊柩車に乗ることが多いですが、絶対ではありません。

遺族が誰も霊柩車に乗らないこともあります。

出棺のとき、何に手を合わせているのか
かっけい
かっけい

出棺のとき、参列者たちは合掌して見送りますよね。遺体に手を合わせているように見えますが、実は違います

浄土真宗ではご遺体に対して手を合わせていません。では何に対して手を合わせているのでしょうか?

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