ハロウィンと仏教について、お坊さんの私が思うこと。

真宗僧侶のかっけいです。

10月31日が近づいてきますと、日に日にテレビや雑誌やインターネットではハロウィンについて話題が多くなってきますよね。

私が住んでいる香川のような地方の田舎では、東京の渋谷のような仮装(コスプレ)をして街中を歩くような人は見かけませんが、それでも新聞には広告が挟まれていたり、お店ではケーキが売られていたりカボチャの雑貨が売られたりします。

そもそもハロウィンはもともと古代ケルト人の秋の収穫祭や、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事だったようですが、ヨーロッパ・アメリカに渡り民間行事として独自に変容し、それが日本に伝わり仮装行事に変化していったのはどうなんでしょうかね。

そんなよく分からないケルト人の行事、日本版ハロウィンが日本の一部の人からはすごい人気だそうです。

特にハロウィン行事にはお菓子やコスプレ衣装の消費がすごいので、企業・メーカー側もノリノリですね。

一方、お坊さんの私からとってみれば仏教行事にももう少し熱心に参加してくれればなあと思うところです。

広告 - Sponsored Links

広告 - Sponsored Links

お坊さんが思う仏教とハロウィンの関係

ハロウィンの行事と仏教についてお坊さんが思うことお坊さんですから毎年10月31日が近づきますと次のような質問を受けます。

  • 仏教とハロウィンって関係ないですよね
  • お坊さんはハロウィンを祝わないですよね
  • どうして仏教徒の日本人はハロウィンを祝うんですかね

たしかに仏教とハロウィンは全く関係ないですね。

ハロウィンが日本で知られるようになったのはせいぜい30年前ですし、イベントとして扱われるようになったのも20年程度しかありません。ですので、今30歳以上の人は子供の時のハロウィンの思い出がないでしょう。

よそから最近入ってきたイベントですし、発祥も全く違います。仏教とは何ら関係がありません。

そしてもちろんお坊さんはハロウィンを祝いません。祝う必要がないですからね。仮装・コスプレしたいお坊さんは日本版ハロウィンに参加するかもしれませんが。

さてハロウィンを毛嫌いしている人からは『日本人は仏教徒なんだからハロウィンを祝うのはおかしいですよね。』と同意?のようなものを求められます。

お坊さんの私から言わせていただくと、「日本人って仏教徒なの?」と疑問に思います。そして「仏教徒なら他宗のイベントに参加しないの?」とも思います。

日本人の多くは仏教徒としての自覚はないでしょう。

あなたはありますか。

仏教徒とは、仏弟子や仏教の信者という意味ですよ。もしもあなたが仏教徒なら三帰依文(さんきえもん)を暗唱できなくても、内容は知っているでしょう。日本人の多くは、宗教に対して無自覚・無関心・無節操なのではないでしょうか。(無宗教でない)

ハロウィンを毛嫌いしている人ほど仏教徒は他宗の行事を祝わないと言っているのではないでしょうか。

いやいや仏教は割と寛容的ですよ。

神道的なイベントがあれば参加してもよし、キリスト教的なイベントがあれば参加してもよし、イスラム教的なイベントがあればそれも個人の好きなように参加してもよし。

現に自坊の浄土真宗のお寺でもつい先日に獅子舞が来ましたよ。浄土真宗のお寺ですから邪気を払い無病息災を願う獅子舞をされる必要はないのですが、これは地域の神事のイベントです。お寺だからと突っぱねるのではなく、地域社会の一員として行事に参加するのです。

仏教徒だから他宗のイベント・外国のイベントに参加しない。そんなわけはないですよね。

あなたが参加したい・参加しなくてはならないのであれば、悩むことなくぜひ参加してください

例えばチャペルでの結婚式や神社での初詣などをしたいのであれば、それは仏教徒だからという理由でできないわけではありません。(まあ仏教とは関係なく、する必要がないので、私は進んではしませんが)

お坊さんがハロウィンの時に思うこと

仏教行事は参加者が少なく盛り上がらないのに、ハロウィンは盛り上がっていいなあ。

ハロウィンは仏教と何ら関係がないので、お坊さんの私は10月31日は何事もなく過ごします。

ただテレビでは異様に盛り上がっている仮装集団を見ることになるでしょう。

それを見るとお坊さんの私は次のように思います。

  • 「あれくらい仏教行事も盛り上がってくれればなあ」
  • 「テレビが熱く取り上げてくれればなあ」
  • 「子供・若者が積極的に参加してくれればなあ」

皆さんは仏教の3大行事ってご存知ですか。

  1. 降誕会(花まつり)4月8日
  2. 成道会 12月8日
  3. 涅槃会 2月15日,『お釈迦様のご命日法要』を紹介

全て仏教を説かれた釈迦に関するイベントですね。

あんまり盛り上がりのない仏教行事ですかね。

各地のお寺ではそれぞれにこれらの仏教行事をしているのですが、ハロウィンやクリスマスやバレンタイン、初詣などと比べてテレビなどに取り上げられることも少ないです。また参加者も少ないです。

特に春4月8日の降誕会(ごうたんえ)は花まつりという名称だけでなく、灌仏会・仏生会・浴仏会などなどと様々な呼び名があり、子供のための子供が中心の仏教行事なのですが、盛り上がりませんね。

日本では仏教行事として広く受け入れられているのは葬儀の時くらいかな。

仏前結婚式も1%以下の状況ですしね。

どうも仏教は死に関することばかりという印象を持たれているのか、なかなかイベントごとが盛り上がらないですよね。

むしろ日本人の場合は接点が少なかった行事の方が、盛り上がりやすいのかもしれません。


広告 - Sponsored Links

お坊さんはハロウィンがおかしいと思ったり嫌ってないよ

さて『あなたはお坊さんだからハロウィンのことは大っ嫌いでしょう。おかしいよね・けしからんでしょう』と言われます。

いやいや、まったくそんなことは思っていないですよ。

私は参加しないですけど、参加したい人はハロウィンをすればいいじゃない・ハロウィンを楽しみましょうよと思いますよ。

最近ではお寺にお参りに来る人がどんどん減っています。

若い人だけでなく、ご年配の人もですよ。

仏教は生きている人のための教えなのですが、どうも死んだ後のことだという印象を勝手に持たれているようです。例えば子供が産まれた初参式(初参り)もお寺ではなくお宮さんに行く人ばかりです。

そんなわけでお寺によってはハロウィンやクリスマスをお寺の本堂でしているところもあります。

仏教とは全く関係のない行事なので違和感を覚えますし批判もあるでしょうが、そもそも仏教行事だけでは人が来ないのだから致し方ないですよね。

お寺によってはプロジェクタ投影やテクノ音楽を使いテクノ法要と称し、既存の法要イベントを壊して若者に寄せたものもあります。(まあ、テクノ法要はちょっとどうかなあと感じるところもありますが)

日本版ハロウィンを楽しんでいる人に対して、お坊さんだから、仏教徒だから、宗教がちがうからという理由でお坊さんが嫌ってはいないということを理解していただけたらなあと思います。

あの熱気がお寺の法要・イベントにまで波及してくれればなあとうらやんではいますが。(仏教行事はお金になりにくいから企業が関わらないのかな?)

タイトルとURLをコピーしました