こんばんは。 僧侶のかっけいです。
暑さも寒さも彼岸までという慣用句がありますね。
秋のお彼岸頃(9月23日頃)には夏の厳しい暑さが和らいできて過ごしやすい気候になるという意味ですが、どうでしょうか。
秋のお彼岸が過ぎて3週間もなると肌寒い日が続くように感じませんか。
一般の人と同じようにお坊さんも10月になりますと衣替えの時期になりますので、お坊さんも夏仕様から冬仕様の衣に替わります。
お坊さんの私はこのちょうど肌寒くなる時期にお参りに行きますと、「暖かい飲み物にしますか、冷たい飲み物にしますか」とも聞かれます。または「ストーブをお出しした方がいいでしょうか」とも聞かれます。
そのような何とも言えない微妙な時期が10月中頃の気候なのですが、お坊さんにとっては実は過ごしやすい時期かもしれません。
【前振り】「秋は寒暖差が大きい」というのは間違い。
秋は日中と夜間の温度差(寒暖差)が大きいから体調管理に気をつけましょうねと言われますね。また、温度差があるから秋の野菜(ナス)は美味しくなるんだとも言われますね。
でも本当に秋は寒暖の差が大きいのでしょうか。
次のサイトを参考にします。
『「秋は気温差が大きい…ってホント?」2016/10/19 ウェザーニュースより』
このサイトによると、「気温差が大きいのは春→冬→秋→夏の順となりました。」とのことです。
意外なことに秋は一日の気温の変化が少ない時期なのです。
ではなぜ、秋は寒暖の差が大きいと思われているのでしょうか。
それは一日の中での温度変化が大きいのではなくて、一日一日の日々の温度変化が激しいからです。
今日はカラッと晴れていて暖かいなあ過ごしやすいなあと思っても、翌日には秋雨によってじめじめした印象を受ける時もあれば、時には10度近くの冬日にもなる日もあります。
秋は爽やかに感じる日も多いのですが、一方で過ごしにくいなあ・とっても寒いなあと感じやすい時期でもあるのです。
だから体調を崩しやすいですし、寒暖差が大きいと感じるんですね。
お坊さんの私はちょっと肌寒いくらいがちょうどいい。
さて今日の本題です。
秋は毎日の温度の変化が激しいため、服装選びが特に大切です。
でもお坊さんは違いますね。常に同じ服装をしています。
先日も衣替えをしました。
『「夏用衣と冬用衣の違いを紹介」2017年10月8日 記』←良ければこちらも見てください。
お坊さんは一年中、衣の着方は同じです。
下着を身につけてから白襦袢(しろじゅばん)を着て、白衣(はくえ)を着て白帯で締め、最後に道服を着ます。
夏仕様と冬仕様の衣の違いは生地の厚さ、熱をどれだけ放出しやすいか蓄積しやすいかの違いだけです。
でもですね、実はお坊さんは夏よりも冬の方が有難いと思っているんじゃないですかね。(私だけかな?)
夏は暑いんですよ。
夏の衣は白衣が透けて見えるほど通気性に優れているのですが、それでもエアコンなしではお勤めができません。たとえ扇風機がついていても汗がポタポタと落ちます。
一方で秋10月になると冬仕様の衣になります。
着ている枚数は同じなので、これからどんどん寒くなっていくと「お坊さんは寒くないんですか」と尋ねられるのですが、いえいえ、寒い方がちょうどいいくらいなんですよ。
なぜでしょうかね。
理由は声に出してお勤めをするからです。
お坊さんはお参り先でお勤め(読経)をするときには大きな声で響かせるようにお腹から声を出しています。腹式呼吸なのかはわかりませんが、とても体が熱くなるんですね。
ですので秋から冬・春にかけてお参り先ではお坊さんが扇をあおいで熱を出していたり、タオルで汗を拭っている姿を見ることもあるでしょう。
秋10月も半ばになると肌寒く感じる日も多くなりますが、お坊さんにはとっては適温かもしれません。寒いくらいの温度がお勤めをしている時にはちょうど良く感じるのです。
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さいごに。坊主頭の人はどうだろう。寒いのかな?
私はお坊さんですが、剃髪をして丸坊主頭ではありません。
浄土真宗のお坊さんだから坊主頭にしなくても問題ではないのですが、近くのお寺には浄土真宗のお坊さんでも頭をつるつるにしている人がいます。
その人は年がら年中、春・夏・秋・冬すべての時期に帽子をしています。
理由を聞くと、夏は頭が焼けて熱いということ、それ以外の季節は頭が寒いとのことだそうです。
私は髪があるので、秋でも冬でも春でも寒いくらいがちょうどよく感じるのですが、頭を剃っている状態のお坊さんにとっては寒いのかもしれません。
同じお坊さんでも髪の有る無しで温度の感じ方が違うのかな。
それと余談ですが、私は夏よりも冬の方が好きです。寒いのは辛抱できますが熱いのは我慢のしようがないからね。それに頭が冷えるぐらいの方が頭がシャキッとしますからね。