お彼岸にお参りするところはお墓だけ?

こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。

2018年3月21日の今日は春のお彼岸のお中日(ちゅうにち)です。

お彼岸というのは日本独自の習慣であり、春分の日(もしくは秋分の日)を彼岸の日と言います。

日本人はお彼岸について詳しく知らなくても、とりあえず「お墓参りの日だろう」という感覚を持っているように思われます。

間違いとは言えないのですが、お坊さんの私からすれば「お墓だけ?」という気持ちです。

ということで今回は『お彼岸にお参りするところはお墓だけ?』というテーマで話をします。

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お彼岸はいつ?

お彼岸の期間は春分の日もしくは秋分の日を挟んだ前後3日間、計一週間です。

春分の日は毎年3月21日頃、秋分の日は9月23日頃です。

お彼岸週間2018年
彼岸の入り 彼岸の中日 彼岸の明け
3月18日 3月21日 3月24日
9月20日 9月23日 9月26日

お彼岸は春分や秋分といった特定の一日だけでなく、一週間にわたる仏教週間です。

お彼岸にはどんな意味があるのか。

お彼岸とはお浄土の世界を意味します。

彼岸とは「彼方の岸」のことで、「向こう側の岸」という意味です。向こう岸とは仏様の浄土世界です。

もっと言えば彼岸とは「到彼岸(パーラミター)」を略した言葉で、お浄土の世界に至るといういうことです。

つまりはお彼岸とは仏教的なイベントなのです。

私たちが生きている世界のことを「此方の岸」から此岸(しがん)と言い、悩み苦しみの多い此岸に生きている私たちが彼岸(お浄土の世界)に思いを馳せることができるのがお彼岸の時期なのです。

お彼岸にはどこに行く。何をする。

お彼岸とは春分の日や秋分の日の一日だけではなく、一週間の期間のことです。

ちなみに春分の日や秋分の日は国民の祝日ですので、日本の法律では次のように定められています。

  • 春分の日:自然をたたえ、生物をいつくしむ。
  • 秋分の日:祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。

墓参りしなさいよと勧められてはいないのですが、日本人はとりあえず「彼岸=墓参り」と思っているのでしょう。

もちろんお墓参りに行くことは素晴らしいことです。

でもそれだけの日ではないということを今回言いたいのです。

浄土真宗ではお彼岸の時期が非常に大切な一週間としています。

それは「阿弥陀仏の恩徳に感謝し、阿弥陀仏の仏法にであうことができる」という仏縁の時だと考えているからです。

仏教とお彼岸の関係。

お彼岸の時期は太陽が真東から昇り、真西に沈みます。

また昼と夜の時間がほとんど同じです。

これが仏教の説くどちらにも偏らない中道の考えと似ているとされています。

だからこの一週間は仏道修行に適しているのだと。

浄土真宗とお彼岸の関係。

浄土真宗では善導大師という中国の高僧が二河白道で彼岸と此岸の関係を説明しました。

簡単に紹介すると次のような話です。

  1. 此岸の岸にいる旅人は猛獣や盗賊などから追われています。
  2. すると目の前にある火の川と水の川に一筋の白い道が現れた。
  3. 東の後ろからは迷わず進みなさいの声がかかり、西の彼岸からわ正念してすぐに来なさいと声が届いてきた。
  4. 盗賊たちは危ないから渡っては駄目だと言ったが、旅人は無事に阿弥陀の浄土に着いた。

浄土真宗のご本尊は阿弥陀如来です。

その阿弥陀仏の浄土のことを極楽浄土と呼び、また西方にあり西方浄土ともいいます。

そのため西の太陽の沈むところにかつての人は阿弥陀仏の浄土があり、その日の沈む様子を観想することで阿弥陀仏の浄土に思いを馳せようとしました。

太陽がほとんど真西に沈むこのお彼岸の時期こそが、仏法を聞くことができる大切な時だと浄土真宗では考えていました。

お彼岸は仏様・仏法に出あいに行く。

浄土真宗では先祖供養はしません。

しかし私たちは先祖のお骨を収めたお堂やお寺、そしてお墓にお参りに行きます。

それは今は亡き先祖を敬い偲ぶことから仏法に出あうご縁を頂いているということです。

「仏様や仏法に出あいに行く」という表現はオカルト的に感じることかもしれません。

しかし単純に言えば、「仏様に手を合わしましょう」・「家族そろって参りましょう」・「いのちを見つめましょう」ということです。

例えばお彼岸のお勤めというのがあります。

お彼岸の時期になったので、仏様を安置したお仏壇にお参りするのですがその際にお坊さんにお勤めを依頼することです。

他にも家族そろって先祖を偲んだり、お彼岸にはお寺で彼岸会という法要をしていることがありお参りをして、自分を反省し仏さまの教えを聞くことです。


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さいごに。彼岸は亡き人とのつながりから仏法を聞くご縁。

お彼岸はお墓に行くだけの日ではありません。

しかしお彼岸とは仏様のお浄土を思い、亡き人を偲び、そのからご縁から仏法を聞き命を振り返る時なのです。

話をまとめます。

【お彼岸に参るところ】

  • お墓。
  • 先祖のお骨を収めた所。納骨堂や檀那寺など。
  • 仏様を安置した家のお仏壇。
  • お寺で彼岸会をしている場合には、お寺の法要にも。

もちろん普段からお墓に参ったりお仏壇に手を合わしている人でも、このお彼岸は大切な時です。

墓参りは亡き人の為だけではなく、生きているすべてのものの生命に感謝するご縁であり、迷いの中に生きている私がいのちを見つめることができるのがこのお彼岸の仏教週間なのです。

お墓があればお墓に参り、お仏壇があればお仏壇に参り、お寺で彼岸会があればお寺にお参りください。

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