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第104回目のラジオ配信。「香川大学農学部」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
この番組では香川に住むお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをするラジオです。
今回は「香川大学農学部」をテーマにお話します。
今回のお話は8月の夏休み中にいただいたご質問で、お参り先の高校3年生に香川大学農学部がどんなところか、先輩に聞きたいとのことでした。
というのも、私かっけいはお坊さんですけど香川大学農学部出身です。
お坊さんって仏教系の大学に行くイメージがあるかもしれませんが、実際はそれ以外の学校に行っている人も多いんですね。
今日はご質問いただいたように、
- なぜ香川大学を選んだのか
- 香川大学が、香川大学農学部がどんなところだったのか
- 香川大学農学部の魅力は何か
- どんなことが学べるのかなど
これから大学受験を考えている人の参考になるようなことをお話していきます。
ただし注意点があります。私が香川大学に入学したのは10年以上前のことです。その時と今では、受験内容も違うでしょうし大学生活も違うかもしれません。香川大学農学部でいまホットな話題というのも分かりませんので、あくまで10年ほど前の話ということで、聞いていただけたら幸いです。
まず初めに私が香川大学を選んだ理由についてです。
理由はいくつかありますが、1つは通いやすさ。1つは家庭環境。1つは国立大学であること。1つは私の学力の4つが決め手でした。
香川県は日本一狭い県です。香川大学農学部に入学してから分かったことですが、意外と香川県の外から通っている人も多いんですね。私の同学年ですと、香川県と岡山県出身の人が6割ほどで、あとは愛媛・徳島県や兵庫・広島県が多かったです。
香川大学1年生2年生のときによく通う幸町キャンパスは高松駅の近くなので、下宿せずに実家通いしていた県外の人もそれなりにいました。毎日岡山や広島から瀬戸大橋を通って通う人もいました。
香川県の丸亀市に住む私も電車を利用して1時間ほどで大学に着くので、香川県に住んでいる人なら香川大学はとっても通いやすい大学だと思います。私は利用しませんでしたが、高松駅で自転車をレンタルしている人も多かったです。高松駅周辺は坂のない平らな土地なので、自転車での移動が便利だそうです。
そしてこれは私事の理由ですが、ちょうど私が大学受験をするときに、私の祖母が倒れてお寺のことが回らなくなったんですね。住職の父も本山のお勤めがあって自坊のお寺を不在にすることが多かったので、私が寺を出て空けるとお寺が困るので、それなら私が寺の手伝いをしながら寺から通学できる大学はどこかと考えると、アクセスの良い地元の香川大学ということになりました。
香川大学農学部は高松市の三木町で高松市の東側ですが、高速道路を使えば1時間以内に通えるのもいい点でした。
あと香川大学は国立大学で学費が安いというのもいいですね。また偏差値はそんなに高くないため、香川大学は国立大学の中では入学しやすいのもあります。
10年ほど前の合格最低点は550点ぐらいでした。私はセンター試験で650点ほどだったので、センター試験の段階でほぼ合格確実だったのも選んだポイントでした。他の有名国立大学でしたら700点や750点、医学部なら800点以上とかなりの学力が必要ですが、香川大学でしたらセンター試験、今でしたら「大学入学共通テスト」ですか、この一次試験でそれなりの点をとっていれば香川大学は入学しやすい国立大学なので、私にとっては家庭の状況や通いやすさという点を考えますと香川大学が一番の選択でした。
農学部を選んだ理由は、単純に一番面白そうな学部だったからです。
元々屋外に出てフィールドで何かをするのが好きだったので、農学なら外でいろんな学びができると思ったことと、それと高校生の時に生物を学んでいなかったので、大学で勉強してみたいなあと思ったからです。
以上4点、
- 通いやすい立地
- 家庭の状況
- 国立大学であること
- それなりの学力でも入学しやすいこと
これらが私が香川大学を選んだ理由です。
農学部を選んだのは、何となく一番おもしろそうだと思ったからです。
続けて、香川大学や香川大学農学部がどんなところだったかをお話します。
香川大学は香川県の県庁所在地である高松市にある国立大学です。
メインキャンパスは高松駅に近い幸町で、教育学部・法学部・経済学部があります。農学部や医学部、工学部はこのメインキャンパスからけっこう離れたところにあります。
農学部に入学した人でも1年次は全学部共通科目を学ぶ必要があるので、最初の1年次の前半半年は水曜日のみ三木町の農学部キャンパスに移動して学ぶことになります。これが1年次の後期になると、火曜日と水曜日に農学部に行くようになります。そして2年次前期には火曜日・水曜日・木曜日、2年次後期には月曜日・火曜日・水曜日・木曜日、そして3年次になると月曜日から金曜日を農学部キャンパスで学ぶことになります。
いまサラッと話しましたが、香川大学農学部を入学するにあたってかなり重要なことをお話しています。
例えば、香川大学に入学して下宿するとします。
農学部に入学しても最初の一年は農学部に行くことはほとんどないので、下宿する場所は農学部のある三木町ではなく、高松の中心付近を選んだ方がいいです。
これが3年次になると、以降は農学部の専門分野を学ぶため、もう幸町に行くことはほぼなくなります。
大学を卒業するためには、必須となる科目の単位を取る必要があります。
つまりキャンパスが離れたところにある農学部は、最初の2年間はきちんとメインキャンパスがある幸町での全学部共通科目の単位を取得しないと、4年間で無事卒業するのが難しくなってしまいます。幸町から農学部がある三木町まで車で30分ほどかかるので、3年次以降になって三木町から幸町まで講義を受けに行くのは、メインである農学部での講義を受けにくくなるので、研究室選びから卒業までかなり不利になります。
ですので農学部に入学するのであれば、最初の2年間は幸町でしか取ることができない必須の講義を受けることに注意しましょう。
それとこれは私が入学した時のキャンパス説明であったんですが、香川大学農学部では教育学部に入学しなくても教職員免許を取得できるそうです。ただ実際には教員免許を香川大学農学部で取るのは難しいと思います。
私と同じ農学部の研究室にいた人がなんとか教員免許を取得したんですが、大学3年4年のときも幸町キャンパスに行って教職の専門の授業を受けていましたし、夏には教育実習にも行っていました。
先ほども言いましたが、農学部のある三木町キャンパスと幸町キャンパスは距離があるので、教員免許を取るためには農学部での講義を上手く組み立てないといけないですし、自分の研究にも支障がでてきます。
ですから農学部に入学して教員免許を取る人は、実際にはかなり少なかったという印象です。
香川大学農学部がどんなところだったのかについて、もう少し詳しくお話します。
先ほどからお話していますように、農学部はメインキャンパスの幸町からけっこう離れています。車で移動しますとだいたい30分ほどかかります。電車の場合、JR高松駅を降りたあと琴電高松築港駅の長尾線に乗って、農学部前駅にて降ります。だいたい30分ほど高松駅からかかります。
言い方は悪いですが、高松市中心部と比べるとだいぶへんぴな所です。大きな商業施設もなければ、飲食店もないです。おうどん屋さんも数えるほどです。
それと農学部の北2キロメートルほどには医学部があります。しかし農学部と医学部の交流はほぼありません。
サークルもあるんですが、やっぱり幸町にあるサークルと比べたら規模も小さく、入っている人もあまりいないように感じました。
そんな風に華やかな大学生活・キャンパスライフを満喫したいのであれば、香川大学農学部はちょっとイメージと違ってくるかもしれません。
少しネガティブなことをいいましたが、ここからは香川大学農学部の魅力や、どんなことが学べるのかといったことをお話します。
香川大学農学部の魅力は、自分のやりたいことが見つかることだと思います。
10年以上たった今でも、入学時のキャンパス説明してくれた教授の「香川大学農学部の研究室は個人商店」という言葉が今でも耳に残っています。
香川大学農学部にはだいたい150人ほどが入学します。
3年次になりますと研究室分属になります。私の時には1つの研究室には、最大3名しか入れないようになっていました。
香川大学農学部の研究室は60以上もあって、それぞれ教授や准教授が専門の研究分野の研究室を持っています。研究分野が細かく分かれていて、学生たちは自分の入りたい研究室を細かく選ぶことができます。
農学部3年目には自分の入りたい研究室を希望します。
どの研究室に入れば自分のやりたい研究ができるかや就職にとって役に立つのかを、実際に研究室に訪問して見極めていくことができるのが香川大学農学の魅力だと思います。
海のことからウシや豚や鶏、昆虫やイネや花、酵素や遺伝子や植物病理、食品分野などなど本当にいろんな種類の研究室があって、どれも目移りしてしまいます。
私の場合は、果物をメインに学ぶ果樹園芸学の研究室に入りました。
理由はいろいろありますが、1つは私がフィールドに出て学ぶのが好きだったことです。相手は果樹ですので、やっぱり農場やハウスに出て植物の世話をしなければなりません。私はそれが好きでした。また果物を食べたりジャムを作ったり、学園祭のときに体験した研究室の雰囲気もよかったです。
そして何より教授の人柄といいますか、話しやすい、質問しやすい、学びやすい、笑顔が素敵なといった、この教授の元なら楽しく学べるだろうなあと思えたことです。
そんな風に香川大学農学部の魅力は、たくさんある様々な分野の研究室の中から自分の入りたい研究室を、自分で足を運んで見極めて選んでいけることです。
私の場合は果樹学でした。
ちなみに研究室によってぜんぜん雰囲気や学び方も違うので、ほんとうに研究室選びは大事です。
例えば私が入った果樹園芸学の研究室は、卒業要件は実験し卒業論文を書き、園芸科学や食料科学の研究室の教授や学生を前に発表することでしたが、これが農業経済学や農業経営学だと、公務員試験に合格することが卒業要件だったそうです。
また研究室ライフでも、果樹学は生き物を相手にしているので、毎朝9時に必ず研究室に入って帰るのは夕方5時になってからというルールがあったのですが、遺伝子とかの研究室だと昼から研究室に入っても大丈夫だったそうです。
そんな風に研究室によって全然毛色が違うので、香川大学農学部はほんとうに研究室選びが大切です。
そのため研究室分属までの3年間は、自分が何を学びたいのか、どんなことをしたいのかを見極めていく時間だと思いました。
ちなみに香川大学農学部は、希少糖が世界でも最先端の研究分野となっています。そのため、希少糖の研究室はそうとう人気が高く、倍率が高いそうです。
今でこそ私たちもよく耳にするようになった希少糖・レアシュガーですが、これを世界でリードしているのが香川大学農学部です。国際希少糖学会は香川大学農学部で開かれています。
私の時にはなかったですけど、今では農学部に希少糖先端科学コースが開かれたそうなので、これから希少糖を学び、世界の先端分野を学びたいのであれば、香川大学農学部に入学する価値は大いにあると思います。まだまだ希少糖は未知の領域がたくさんあるので、もし私が学生をやり直せるなら、希少糖はほんとうに面白い分野だと思ってます。
長くなりましたので、2021年9月14日のお話はここでいったん終わります。
もしも他にも香川大学農学部のこんなことについて聞きたいことがあれば、よろしければメールを送ったり、直接私に質問していただければ幸いです。
さいごに、私が入学前に抱いていた不安を1つ紹介します。
それは、高校生の時に生物を学んでいないと、農学部に入るのは止めた方がいいのかな?という不安です。
私の印象では、香川大学農学部に入学した人の8割は生物を高校生の時に学んでいました。
ですが私もそうでしたが、高校生の時に生物を学んでいなくても、問題なく農学部に入学して卒業することができます。
というのも、最初の2年間は専門分野を学ぶというよりも一般教養科目を学ぶため、大学に入ってから生物を学ぶ時間はたっぷりあります。
また1年次や2年次は農学部で学ぶ講義もかなり基礎的な内容で、それこそ高校生の時に学んだ生物の内容がかなりベースにあるので、大学入学前に生物を学んでいなくても問題なく安心して農学部に入って大丈夫です。もちろん高校生のときから生物を学んでいたら、大学入学直後は楽な思いをするかもしれませんが、正直誤差の範囲です。すぐに差は縮まります。
それに私事ですが、高校生の時に生物を学んでいなかったので、大学に入ってからは生物の授業が農学部の授業が新鮮でとっても面白く感じました。
繰り返しますが、高校生の時に生物を学んでいなくても、安心して農学部に入って大丈夫ですよ。ぜひ受験頑張ってください。
今回は音声時間が20分にもなり、長くなりました。
さらに香川大学や農学部について、質問したいことがありましたら、以下のメールファームをお使いくださいませ。
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