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第214回目のラジオ配信。「年忌法事でのお勤め(読みもの)」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
香川県の浄土真宗の法事で読まれているものを紹介しました
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをする音声配信です。
この前に配信しました番外編19では、お寺でしている仏教法要ではどんなお勤めがされているのかについて紹介しました。実際に私のところのお寺でした報恩講法要の音をとって紹介しています。
今回は、ご家庭でのお仏壇でのお勤め、年忌法事で読まれているものについてお話していきます。法事のお勤めの内容についてです。
さて、年忌法事で読まれるものを紹介していく前に、いくつか前提事項を話しておきます。
前提として、これは浄土真宗でのお話です。
仏教宗派によって読まれるお経文は違います。
それと、これは香川県の丸亀市にお寺がある、私のところの円龍寺でのお話です。
意外に思われるかもしれませんが、法事で読まれるものは、お寺ごとによって微妙に違っています。
北海道では北海道の、鹿児島では鹿児島の、京都では京都での法事のおつとめというのがあるでしょう。
もっと言えば、同じ香川県内・同じ地域であっても、お寺によって微妙に違っていることでしょう。
今回紹介するのは、私のとこでのお話です。
それともうひとつ、一口に年忌法事と言っても、お坊さん1人で読む1人法事、お坊さん2人で読む2人法事、三人以上で道具を使って読む念入りの法事といったようにいろいろあります。
私のとこでは法事のお勤めの時間の目安として、1人法事ではだいたい一時間30分、2人法事で2時間、念入り法事で2時間以上となっています。
今回は、私のところでごく一般的な、普通法事と呼ばれるお坊さん2人での法事のお勤めについて紹介します。
2人でする普通法事は、間に中休みを2回とって、三席のお勤めとなっています。
前置きが長くなりましたが、要は、香川県丸亀市にある円龍寺のお坊さんが2人でしている法事のお勤めを今回紹介するということです。
それではお話していきます。
一席目のお勤めです。
まず、お仏壇の前に座って、仏さまに向かって合掌と礼拝をします。
その後、伽陀というのを読みます。
法事を開始するための導入的な意味合いを持つ読み物です。
伽陀の後には、導師が表白を読みます。
表白とは、この法事の趣旨はなんなのか、この年忌法事がどなたのご縁で行われている仏事であるのかといったことを仏さまに敬いの気持ちをもって述べている文章のことです。
伽陀と表白を読み終えると、お経文が読まれます。
浄土真宗には、大切なお経文が3つあります。
仏説無量寿経と仏説観無量寿経と仏説阿弥陀経です。
最初の一席目は仏説無量寿経のお経文を読みます。
仏説無量寿経を読み終えますと、続けて念仏をとなえます。
私のとこでは、仏説無量寿経の後は、四句念仏というお念仏をとなえることが多いです。
その後は、和讃を読みます。
和讃というのは、仏さまや菩薩さまや高僧の方々の教えや徳を讃えた言葉のことです。
和讃は大経和讃の「無碍光仏のひかりには 清浄・歓喜・智慧光 その徳不可思議にして 十方諸有を利益せり」というのを読むことが多いです。
それで和讃の後は、回向・願以此功徳というのを読んで一席目のお勤めをしめます。
これで法事の一席目のお勤めがおわり、二席目に入る前に少しの間の休みを頂きます。
それで次に二席目のお勤めです。
二席目のお勤めは、私のとこでは正信念仏偈をお参りの皆さんと一緒にお勤めしています。
本当であれば、浄土真宗の大切なお経文であるお釈迦様が説いた仏説観無量寿経をお勤めするのでしょうが、私のとこでは、浄土真宗の宗祖親鸞聖人がのこされた「帰命無量寿如来」ではじまる正信念仏偈を読んでいます。
なぜかと言うと、親しみを込めてお正信偈と一般に言われているこの正信念仏偈は、浄土真宗のご門信徒にとって一番聞きなじみ、読みなじみのあるものであり、ご先祖の大切な年忌法事の場で、お参りの皆さんがそろって読むことができる読み物だからです。
お寺によっては、現代語訳された和訳正信偈をよんでいるとも聞きます。
仏説無量寿経や仏説観無量寿経や仏説阿弥陀経といったお経文は、お参りの皆様がお坊さんと一緒に読むには、ちょっと難しいと思います。
ですが、お正信偈は、浄土真宗のご門信徒の皆様にとって馴染みのあるものであり、私のいる香川では、法事の二席目では、お参りの皆様と一緒にお勤めされる読み物となっています。
正信念仏偈の本はお寺が持参しているので、法事に持ってこられていない人も一緒に、この二席目におつとめすることができます。
正信念仏偈のおつとめは、帰命無量寿如来からはじまり、唯可信斯高僧説までになります。
この後は、南無阿弥陀仏のお念仏と6首の和讃を交互に読んでいき、最後に回向を読んで二席目のお勤めがおわりとなります。
ここで最後の中休み、途中休憩をまた頂きます。
私のところの円龍寺では、この最後の中休みのときに、お焼香の準備をしています。
私のところでは、法事の三席目で、お参りの皆様にお焼香をして頂きます。
三席目のお勤めは、まず表白を導師が読みます。
法事の最初の一席目にも表白を挙げましたが、三席目のお焼香をする席でも表白をあげます。
表白のあと、導師のお坊さんがお焼香をしますと、お参りの人たちも導師のあと続けて順にお焼香をしていきます。
そのお焼香をしていただきながら、お坊さんは仏説阿弥陀経を読んでいます。
浄土真宗の大切なお経文の一つですね。
仏説阿弥陀経を読み終えると、お念仏をとなえます。
お念仏の後は和讃を読みます。
私のとこはこの年末年始ごろは、現世利益和讃という和讃をこのときにとなえています。
他のお寺さんはどのような和讃をとなえているのか詳しくは知りませんが、私のとこの円龍寺では、昔からこの12月の終わりごろから旧正月のころまでは、この時期限定で、現世利益和讃をとなえています。
他の時期では、現世利益和讃以外の和讃を読んでいます。
和讃のあとは、回向を読みます。
回向をもって、これでお仏壇の仏さまの方を向いてするお勤めは以上となります。
この後は、お参りの皆様のほうに振り返って、今回の法事をご縁とした法話をして、ご勧章という本願寺の蓮如上人が書かれた読み物を拝読します。
そしてまた仏さまの方に向き直って、合掌礼拝をして、法事のお勤めが終わります。
これでお坊さん2人でする普通法事の一連のお勤めは、最初の合掌礼拝からだいたい2時間くらいと、私のところの寺ではなっています。
最後にもう一回、全体を短く振り返りますね。
法事の最初は、仏さまに合掌礼拝をします。
伽陀と表白を読み、その後、浄土真宗の大切なお経文である仏説無量寿経を読みます。
仏説無量寿経の後は念仏と和讃と回向を読み、一度中休みをとります。
続けて二席目はお参りの皆様と一緒に、親鸞聖人の書かれたお正信偈をとなえ、念仏と和讃6首を交互に読み、回向でおわり、もう一度だけ休みをとります。
そして最後の三席目、表白をあげ、お焼香をし、仏説阿弥陀経、念仏、和讃、回向をおつとめします。
おつとめが終わると、仏さまに合掌礼拝し、お参りの皆様の方に振り帰って法話をし、ご勧章を読みます。
法事のおつとめの内容は、法事の規模だけでなく、宗派・地域・お寺お坊さん・回忌・時期などと、いろんな要素いろんな関係で変わります。
今回のお話は、法事のおつとめのほんの一例ですが、ご参考になればと思います。
この前の円龍寺での報恩講法要のおつとめの流れを、下のリンク「番外編19」でピックアップしました。
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