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本堂と金堂の違い.ラジオ#130

第130回目のラジオ配信。「本堂」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ「本堂・金堂」内容まとめ
  • 本堂(ほんどう)と金堂(こんどう)はほぼ同じ建物
  • 本堂は本尊を安置しまつる寺のメインとなる建物
  • 本尊とは本当に尊いお方、つまり仏様のこと
  • 仏様は金人とも表現する
  • 金人を安置しまつることから金堂ともいう
  • 金堂は古い時代の寺院に名づけられている
  • 本堂は平安より後の時代に名づけられている
  • 本堂にはお参りの人のための空間がプラスされた

かっけいの円龍寺ラジオ

この番組では香川に住む浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをするラジオです。

新型コロナウイルスが日本で流行してから早3年目に入りましたね。

仏事もいろいろ変化があって、最近では寺でする法事もだいぶ増えてきたように感じます。

寺でする場合、本堂にてお勤めしますとか、本堂に何時ごろ集合、本堂のお飾りとか、お坊さんは「本堂・本堂」ってよく口にしますが、一般の方にとって、本堂という言葉は、日常生活の中ではあまり馴染みのない言葉だと思います。

たぶん寺で一番目立つところにある、大きな建物だろうというイメージなのだと思います。

そこで2022年3月29日の今回は寺の本堂をテーマに雑談していきます。

本堂についてはいくつか質問をいただいていまして、中でも「本堂と金堂はどう違うのか?」という質問を複数頂きました。

先に本堂と金堂の違いについて、結論だけお話しますと、本堂と金堂は、ほぼ同じ建物と思っていただいてOKです。

それでは本堂と、それと金堂についてお話していきます。

まずは漢字から確認しましょう。

漢字で書くと、本堂は、ブック、書物の本と、お堂の堂となります。金堂は、ゴールド、お金の金と、お堂の堂の漢字で表されます。

ただし意味は、ブック・書物でも、ゴールド・お金でもありません。

本というのは大本や中心という意味です。堂というのは、神様や仏様をまつる建物や人の集まる建物のことです。

つまり本堂という建物は、お寺の中心、お寺のメインとなる建物のことを表します。

本堂がなぜお寺の中心・メインとなるかと言いますと、本堂には本尊が置かれ、祀られているからです。

本尊というのは本当に尊いもの、つまり仏様のことです。

本尊は、寺や家の仏壇で、仏教の信仰の中心としておまつりされている仏様のことで、その本尊を安置し、人びとが集まる寺の建物のことを、本堂と表現しているんですね。

これが本堂の言葉です。

じゃあ金堂はなぜ金のお堂なんでしょうか。

金堂はお金がかかった建物だから、金堂と呼んでいるんじゃないですよ。

これは仏様のことを、金の人「金人」と表現することからきています。

金という漢字は、立派なとか、優れたとかの意味もあります。

例えば、金言や金口がありますよね。

金言というのは、お釈迦如来が説かれた言葉、金口とは仏様の口、つまり仏様からの説法という意味です。

仏様のことを金人とも表現し、その金人をおまつりするお堂だから「金の堂」、つまり「金堂」とよぶようになったとされます。

ですので、本堂も金堂もどちらも、本当に尊い仏様・金人を安置しおまつりしている、寺のメインとなる建物のことをさします。

ですから本堂も金堂もほぼ同じものなんですね。

では本堂と金堂の違いはなんでしょうか。

おおまかに言うと、日本に建てられた最初の頃の仏様をまつるお堂のことを金堂といい、平安時代頃より後くらいから建てられた仏様をまつるお堂が本堂だと分けられます。

日本に初期に建てられた寺院は、仏様をまつるお堂には中央に金人の仏様をどんと安置し、お参りする人のためのスペースというのはなかったんですね。お経文の勉強や説教を聞く建物は講堂という建物でしていました。

一方で、平安時代より後の時代になると、仏様をまつる金堂に、参拝者・お参りの人のための空間がプラスされた建物がつくられ始め、それが本堂とよぶようになったとされます。

本堂ではお参りの人も仏教儀式に参加でき、また仏教のお話も聞くことができるようになりました。

ですから現代の寺、本堂と呼ばれる寺に行きますと、お参りの人のスペースがかなり広く設けられていることに気がつくと思います。

これが例えば、初期の仏教寺院の奈良にある世界遺産東大寺ですと、大仏殿ともいわれる金堂は、中央にデンと巨大な仏様が安置されていて、お参りの人のためのスペースはほとんどありません。

金堂も本堂もどちらも寺のメインとなる建物なのですが、本堂はどちらかというと、お参りの人びとのための、一般の人たちに向けて造られた建物だといえると思います。

本堂の中の空間は、仏様の空間の内陣と、一般の人たちのお参りするための空間の外陣に大きく分けられます。

特に浄土真宗のように、出家していないごく普通の人々に向けた仏教宗派の本堂では、お参りの空間の外陣の方が内陣よりも広く設けられていて、本堂に集まりやすい、たくさんの人にお参りしてほしいという作りになっています。

私のとこの寺、円龍寺本堂にお参りされたときも、内陣と外陣を見比べてみてください、お参りの人の空間の方が広いことに気がつくと思います。

これが今の本堂です。

以上で、本堂と金堂の違いが分かりましたでしょうか。

確認のためにもう一度まとめてお話すると、今ある多くの寺は本堂と言い方で、最初のころの古い時代の寺は金堂と呼ぶことが多いですが、本堂も金堂もどちらも仏様をまつり安置する、寺のメインとなる建物のことをさします。

ただし、金堂は仏様を安置するための空間に特化しているのに対して、本堂はお参りの人のための空間を広く設けているという違いがあります。

これで2022年3月29日のかっけいのラジオは終了します。来週もまた聞いてくださいな。

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ちなみに本堂や金堂以外にも、例えば中堂という表現もあったりします。

中堂というのは、例えば天台宗の総本山である比叡山の延暦寺のように、山全体のとっても広い空間の中に、複数の仏様をまつる建物がある中で、一番のメインとなる中心の本堂をさすときに中堂ということで、根本の中堂、根本中堂と表現していることもあります。

表現の違いというのは、それぞれの宗派の歴史によって違うと思いますので、おそらく本堂や金堂・中堂以外にもいろいろあると思います。

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本堂と仏壇

仏壇は本堂をコンパクトにしたもの

奈良時代からの寺院は、権力者のための建物。または鎮護国家のためのものでした。

それが鎌倉時代以降は、徐々に民衆のために開かれたお寺へとなり、寺にお参りする人たちも出てきました。

江戸時代以降になると、家庭の中に仏様を安置する「仏壇(ぶつだん)」が登場します。

仏壇は仏様(本尊)を安置しおまつりする寺の本堂をコンパクトに表現したものであり、そのお飾りは寺の本堂にならったものとなります。

また寺の本堂はお経文に出てくる仏様のお浄土の世界を表現しています。

仏壇のお飾り

仏壇のお飾りなどは宗派によって微妙に異なります。仏壇は本堂を模したものなので、寺の本堂のお飾りに準じたものとなります。

以下の内部リンクは、以前私が紹介したものです。

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