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涅槃桜・明正寺桜.ラジオ#179

第179回目のラジオ配信。「涅槃桜」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ「涅槃桜・明正寺桜」内容まとめ
  • 3月上旬開花の早咲きの桜
  • 涅槃桜は通称で、明正寺桜が正式な品種名
  • 仏教開祖のお釈迦様のお涅槃(亡くなった日)に咲くので涅槃桜とも言われる
  • 真言宗善通寺派の総本山善通寺では20本ほどが植えられている
  • 花は小さく白っぽいが、甘い香りが強い
  • 香川県丸亀市の自坊円龍寺では毎年3月5日頃に咲き、15日頃が満開の見頃

かっけいの円龍寺ラジオ

この番組は香川県に住む浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをするラジオです。

今回の音声は2023年3月14日に配信予定です。

私のいるお寺、香川県丸亀市の円龍寺にはこの3月中旬に満開をむかえる桜があります。

今回はその桜についてのお話です。

私の寺にある桜は涅槃桜という早咲きの桜です。

早咲きの桜の代表の2月に咲く河津桜よりも遅く、日本の桜の代表的なソメイヨシノよりも3週間ほど早いのが、この涅槃桜です。

涅槃桜というのは俗称で、明正寺桜というのが正式な桜の品種名です。

愛媛県新居浜市にある真言宗善通寺派のお寺の明正寺にて、今から60年ほど前に発見された桜なので、そのお寺の名前、明正寺から明正寺桜が品種名となったわけです。

ちなみに新居浜市は、愛媛県の県庁所在地の松山市と香川県丸亀市の中間あたりにあります。明正寺桜が見つかった新居浜市は愛媛県でも香川県寄りにある場所です。

明正寺桜の一方で、この桜は涅槃桜という名前でも広まっています。

この桜が仏教開祖のお釈迦様の亡くなった日、涅槃に入られた日に花を咲かせるというのが涅槃桜の由来です。

お釈迦様が亡くなられた日・お涅槃の日は諸説ありますが、日本では一般的に旧暦2月15日がお涅槃の日となっています。

旧暦2月15日のひと月遅れの3月15日頃に見頃となるので、お涅槃の桜というわけです。

ちなみに旧暦2月15日は新暦に直すと毎年微妙に日にちが違っています。

例えば、2023年の旧暦2月15日は3月6日、2022年だと3月17日、2024年だと3月24日と、だいたい3月上旬から下旬頃に旧暦2月15日をむかえます。

明正寺桜が咲いているのがこのころなので、涅槃桜というわけですね。

そんな涅槃桜とも言われる愛媛の明正寺桜ですが、ここ香川でもこの時期に開花しましたとニュースに取りあげられるほどの知名度のある桜です。

というのも、この桜が真言宗善通寺派の総本山である善通寺にて、桜並木の形で20本ほどが植えられているからです。

この桜の発見場所の明正寺は真言宗善通寺派のお寺です。

ちょうど今から50年前の1973年は真言宗を開かれた弘法大師空海さんの誕生1200年の節目の年でした。

もちろん真言宗善通寺派の総本山善通寺でも、弘法大師空海の誕生1200年の記念の法要が営まれました。その節目の年に、明正寺から贈られた桜がこの明正寺桜、涅槃桜というわけです。

自坊の円龍寺は浄土真宗のお寺で、真言宗の善通寺さんとは違った形で、お寺に来た明正寺の桜です。

一般に3月中旬に咲くようですが、円龍寺の涅槃桜は毎年3月5日頃に決まって咲きます。

2023年の今年は3月3日に三輪咲き、4日にしっかり開花しました。そしてこの3月12日13日が満開に咲き誇りました。

円龍寺の涅槃桜は5日頃に開花を迎え、15日より気持ち早めに満開をむかえるのが毎年のルーティンとなっています。

でも愛媛県明正寺や善通寺の涅槃桜は年によって違いますが、もう少し遅く、15日が近づくころに開花するようです。

総本山善通寺では毎年桜の開花をホームページで紹介していて、2023年の今年は13日に咲き始めたそうです。

円龍寺と比べて10日も遅いです。

同じ涅槃桜なのに明正寺や善通寺よりもなんで円龍寺の桜が速いのかなあと毎年不思議に思っているのですが、円龍寺の涅槃桜は木が小ぶりであることや若いというのが理由なのかなあとも思っています。

年によって違いますが、善通寺の涅槃桜が咲いたというニュースを聞くときには円龍寺の涅槃桜は満開というケースがよくあります。

明正寺桜・涅槃桜は全国的にはあまり有名でないかもしれません。

早咲きであれば紅色の濃い河津桜がありますし、3月下旬にはソメイヨシノが全国各地でどんどん咲いていきますからね。

知名度は乏しいでしょうが、もし育てるのであれば涅槃桜はなかなかおすすめできる桜だと感じます。

理由はとっても生命力が強いように感じるからです。

桜は枝を切るとそこから枯れやすいといいますが、涅槃桜はしっかり丈夫です。

挿し木にしても、一般的な桜の品種は挿し木が難しいといいますが、この涅槃桜はテキトーに挿しても発根率がいいように思いました。

生命力もあり、円龍寺の桜が植えられているところは、地下20㎝も掘れないほど、固い地盤のところですが、根が地面から浮き上がるようにして伸びていきます。

そんな風に丈夫に育つ桜だと思うので、家庭でも育てやすい桜だと思いました。ただしよく生長するので、庭に直接植えるのではなく、鉢に植えた方がコンパクトに育っていいと思います。

また毛虫は他の桜と同じように一杯ついてくるので注意してください。

お花の特徴としては、ソメイヨシノと比べて一回り小さいです。花の色もソメイヨシノと比べて、白っぽい見た目です。完全に白ではなくて、淡いピンク色なんですが、ソメイヨシノと比べると白っぽく見える感じです。

ですが、ソメイヨシノと比べてとっても香りのよい桜だと私は思います。

甘くてすっきりとした香りを辺りに漂わせて、まるでサクランボの花を思わせます。

小さな花ですが、花が咲いているときは葉っぱがありませんし、枝にびっしりと花を咲かせるのでボリュームのある見た目をするのが私は好きです。

そんなわけで、涅槃桜・明正寺桜は私のお気に入りの桜です。

以上で今回のお話を終えます。

お話したように、円龍寺の涅槃桜は開花が早く15日を過ぎますとどんどん散っていきます。

ですが、善通寺の涅槃桜は開花が遅く、これから見頃になっていきます。今年は13日が咲き始めのことなので、今週末の19日20日あたりが咲き誇ってきれいに見えるかもしれません。

総本山善通寺は境内が西と東に別れていて、涅槃桜があるのは西側の境内の駐車場に近い塀際にあります。

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