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墓石の文字.ラジオ#178

第178回目のラジオ配信。「墓石の文字」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ「墓石の文字」内容まとめ
  • 古いお墓には文字がないことも
  • 梵字だけや仏だけが彫られていることも
  • ここ最近は「何々家の墓」や「先祖代々・先祖累代」が多い
  • 棹石の裏に建立した施主と建立年月日
  • 棹石の側面に故人の名前と没年月日
  • 数は少ないがデザイン墓もある
  • 浄土真宗では棹石の正面に、「南無阿弥陀仏」や「倶会一処」をすすめている

かっけいの円龍寺ラジオ

この番組では香川の浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いお話をするラジオです。

先日、お墓に新しく名前を彫ることについて相談を受けましたので、2023年3月7日配信の今回は、墓石の文字について短くお話していきます。

墓石の文字については、信仰する宗教宗派だけでなく、地域性によっても違ってくるでしょう。またその時代ごとの流行り廃りもあるでしょうから、私がこれから話をするのが絶対というものではありません。

あくまで香川県の浄土真宗のお坊さんが話す墓石の文字ということで、参考にして頂けたらと思います。

さて、お墓の文字についてお話していきますが、昔はかならず文字が刻まれていたわけではなかったかもしれません。

例えば、私のお寺の境内にも先祖代々の五輪のお墓があります。丸っこい石が5つ段々と積まれているシンプルな形のものですが、名前は彫られていません。

古いお墓の中には仏さまの象徴である梵字のみが彫られていることもありますし、薬師様でしょうか、阿弥陀様でしょうか、仏さまが彫られているお墓も古くはあったようです。

ですが、現代の一般的なお墓の場合は、また違ってきています。

現代では何々家の墓と書かれていることが多いように感じます。

何々家の墓の文字は、墓石の正面の一番目立つ大きい石、棹石と呼ばれるところに書かれます。

私の住んでいるところでは何々家の墓、あるいは先祖代々の墓という形が現在では非常に多いように感じます。

昭和や大正明治のお墓だと、亡くなった人の法名戒名が正面の棹石にドンと書かれているものありますが、最近ではお墓が一つにまとめられることもあってか、誰それの墓よりも、何々家の墓や、先祖代々、先祖累代の墓という文字にまとめられるケースが多いように感じます。

それで最近のお墓に多いケースで、棹石の正面に何々家、先祖代々、先祖累代とかかれ、棹石の裏にはこの墓石を建立した施主のお名前と建立年月日、棹石の側面に、お骨が納められている人のお名前や没年月日が刻まれたりします。

その他にもここ10年ほどでしょうか、最近ではデザイン墓というものもあります。家の墓や先祖代々の墓ではなく、その人のための特徴的な形をした墓石や文字を刻んだお墓のことです。

文字の場合は心とか偲ぶとか、愛とか、夢、想う、ありがとうの言葉が彫られたりします。他にもヨットだったりバイクだったり、肖像のお姿だったりと故人の生前を思い起こしやすいものがデザインされていることもあります。

最後に紹介するのは、浄土真宗ならではの墓石の文字です。

浄土真宗の場合、お墓の正面には南無阿弥陀仏という阿弥陀様のお名号を彫ることをおすすめしています。

というのも、浄土真宗ではお墓・墓石というものに、亡くなった人の魂があるという考えがないからです。

先に亡くなられた方は阿弥陀様のお浄土に生まれ往った仏様なのだから、私たちは亡き人をご縁として、亡き人を仏として仰いでいきます。

お墓にお参りして手を合わすのは、亡き人のためではなく、亡き人をしのび、私たちが仏縁にあうためです。

なので浄土真宗の場合は、お墓の棹石の正面に、南無阿弥陀仏という仏さまからの呼びかけのお名号を刻みます。

それで亡くなった人の記しとして、霊標とも呼ばれる法名碑に名前を記したり、あるいは棹石の側面に記したりします。

それともう一つ、私の住む地域では、あまり見かけませんが、ところによっては、浄土真宗のお墓では、南無阿弥陀仏の他に、倶会一処という文字が墓石の正面に刻まれていることがあります。

倶会一処とは、仏説阿弥陀経に出てくる言葉で、一処とは一つの所、つまり阿弥陀様のお浄土でまた必ずあう世界があるという意味です。

南無阿弥陀仏のお念仏をいただいた人たちを、もれることなく必ず阿弥陀仏のお浄土に参らせるという阿弥陀仏のはたらきを表したのが倶会一処の言葉です。

というわけで今回のお話をまとめますと、古くは、文字がなかったり、梵字のみや仏が彫られた墓もあったりしましたし、大正や明治といった前だと、故人の名前が刻まれたお墓のこともありました。

ただ最近では、何々家の墓や、先祖代々、先祖累代の墓と刻まれ、棹石の側面や横に亡くなった人のお名前が刻まれています。

数は少ないですが、デザイン墓といって、心とか夢とかありがとうとか故人を偲ぶ言葉や、絵柄や肖像といった故人をイメージしやすいものが書かれるお墓もあります。

浄土真宗的には、お墓は亡き人を阿弥陀様のお浄土に先に生まれ往った諸仏として敬い仰ぎ、ご仏縁に出あう場所として、南無阿弥陀仏ととなえ手を合わしていく場です。

阿弥陀様のお心にであっていく場なのですから、その働きのナムアミダブツや、倶会一処の文字を刻むことを浄土真宗ではおすすめしています。

ご参考になれば幸いです。

以上で今回のお話を終えます。

それと私が京都のお墓で見た中に、こんな文字が棹石の正面に刻まれていたのを思い出しました。

「願生浄土」という言葉です。

願生浄土という言葉をチョイスされたこのお墓はいかにも浄土真宗の同朋らしい感じがしました。

ナムアミダブツでもなく、倶会一処でもなく、阿弥陀仏の第18願のお心の浄土の願生を思う言葉を頂いただかれたのだなあとその墓石の文字を見て思いました。

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