真宗僧侶のかっけいです。
今日は身近な疑問から「節目の命日・年忌の数え方」について紹介します。
年忌法要は最初の一年目を一周忌と呼ぶのに、なぜか二年目から三回忌と表現が変化しますね。
ご門徒さんから年忌法要の数え方・覚え方がよくわからないと質問を受けます。
その簡単な覚え方のコツを紹介します。
節目の命日・年忌の数え方
上の図を見てください。
便宜上、命日(亡くなった日)から7回忌までを載せています。7回忌以降も年忌は続くのですがとりあえずここまで表にしました。
これを見たら一目瞭然だと思いますが、少し説明します。
- 亡くなったご命日の日を1回目の忌日に数えますので、亡くなった日が1回忌となる。
- 亡くなった翌年のご命日は2回目の忌日ですから、2回忌。
また、一度目の一年がめぐってくる(周ってくる)ので、一周忌。 - 亡くなった翌々年のご命日は3回目の忌日ですから、3回忌。
また、一回目の忌日から二度目の一年がめぐってくる(周ってくる)ので、二周忌。 - 亡くなった翌々々年のご命日は4回目の忌日ですから、4回忌。
また、一回目の忌日から三度目の一年がめぐってくる(周ってくる)ので、三周忌。 - 亡くなった四年後のご命日は5回目の忌日ですから、5回忌。
また、一回目の忌日から四度目の一年がめぐってくる(周ってくる)ので、四周忌。 - 亡くなった五年後のご命日は6回目の忌日ですから、6回忌。
また、一回目の忌日から五度目の一年がめぐってくる(周ってくる)ので、五周忌。 - 亡くなった六年後のご命日は7回目の忌日ですから、7回忌。
また、一回目の忌日から六度目の1年がめぐってくるので(周ってくる)ので、六周忌。
どうですか、何となくわかりましたか。
・・・・・・この説明はこじつけに感じますか。
- 命日が一回忌なんて聞いたことない
- 二回忌なんてないだろ
- 2周忌、3・4・5・6周忌なんてあるわけないだろ
そんな声が聞こえてきそうです。
いいえ、きちんと根拠はありますよ。まずは、命日の意味を調べてみますと、
命日 人が死んだ日に当たる、毎月または毎年のその日。忌日
日本国語大辞典 第2版より
とありますね。命日と忌日は同じ意味なんですね。
では次に重ねて忌日の意味を確認しましょう。
忌日 毎年または毎月、ある人の死んだ当日で、回向(えこう)をする日。命日
日本国語大辞典 第2版より
つまりこの二つの言葉は全く同じ意味なんですね。
ネットで一回忌を調べますと、ときどき、一回忌は「第一回目のお勤め」の意味であり、葬儀におけるお勤めを指すと説明してるところがありますけど、どこにそんな意味があるのか全く不思議で仕方ありません。
意味を正しく知りますと「一回忌は亡くなった日」であることが明白です。1回目の忌日(死んだ当日)ですから一回忌と言えます。
同じように、2回目の忌日(命日)は翌年の命日しかありえませんので、1周忌が二回忌となりますね。
これで一回忌と二回忌の根拠は示せたでしょう。
次に年忌の意味については次のようにあります。
年忌 ①仏語。人の死後、毎年巡ってくる祥月命日。
日本国語大辞典 第2版より
年忌は死後に毎年巡ってくる命日のことですね。
周忌の意味も確認します。
周忌 ②人の死後、毎年めぐってくる忌日。また、その回数を数えるのに用いる語。
日本国語大辞典 第2版
年忌も周忌も人の死後、「毎年めぐってくる忌日(命日)」の意味ですね。また周忌にはその回数を数えるのに用いる語とあります。
その回数を数えるとは、忌日(命日)を数えるということですね。
最初の図を確認してください。
命日(1回忌)と2回忌の間を巡ってきている線の本数は1本ですね。つまり年を一周めぐることで迎える年忌が1周忌なんですね。
3回忌の間を巡ってきている線の本数は、命日から数えて2本ですね。つまり年を二週めぐってきてるので、2周忌だと言えますね。
同様な理由で3周忌・4周忌・5周忌・6周忌という数え方ができますね。
年忌法要とはどんな意味か?
実は4回忌(3周忌)法要、5回忌(4周忌)法要、6回忌(5周忌)法要という言葉はないと思います。少なくとも真宗僧侶の私は聞いたことがありません。
法要の意味を確認してみます。
法要 ③死者をとむらうために行う仏教の儀式
日本国語大辞典 第2版より
法要は仏教儀式であるということです。
つまり法事を呼びかける施主がいて、法事を執り行う僧侶がお勤めをし、有縁の方々が集まるということです。
しかし年忌法要は主に二通りの勤め方があります。
年忌法要の勤め方2パターン | |
1周忌 | |
3回忌 | |
7回忌 | |
13回忌 | |
17回忌 | |
25回忌 | 23回忌 |
27回忌 | |
33回忌 | |
50回忌 | |
以後、50年ごと |
この他にも37回忌法要、43回忌法要、47回忌法要も地域・宗派によってはあるそうです。
つまり、これらの年忌法要以外は行われてこなかったわけです。4回忌法要を勤めるとかはなかったのですね。
人は使わないことをだんだんと忘れていくんですね。ですから急に4回忌とか3周忌とか使わない言葉を紹介されても、違和感しか感じないんですね。
これらの年忌法要は中国からの儒教の教え、干支や十王仏の考えから広まり固定されたと考えられているそうです。
年忌法要の数え方。中国の儀式作法から
これは一つの説ですので参考程度にしてください。
日本に仏教が伝来したのは6世紀中ごろです。当然仏教以外にも漢字であっり中国の文化がどんどん日本に浸透しました。
その中には道教や儒教の思想や作法もありました。
中国では3回忌と7回忌に先祖を盛大に供養する習慣がありました。その結果日本でも先祖を偲ぶお勤めを3回忌と7回忌にするようになったとされます。
また日本人は10や100というキリの良い数字を好んでいます。
つまり3回忌7回忌の次は10を足していった、13回忌・17回忌・23回忌・27回忌・33回忌・37回忌・43回忌・47回忌と勤めていったとされます。
年忌法要の数え方。十二支(干支)の周期で勤めるから
続いてもう一つの数え方の周期を紹介します。これもあくまで一説です。
十二支は古代中国で発明されたと考えられています。今でも残っていますよね。
十二支は12種類の生き物がそれぞれの年を表しており、12年で一周します。
つまり12年毎に一回りするということです。
亡くなった命日の日を一回目の命日のお勤めと考え、続けて干支一週目を13回忌、二周目を25回忌、三周目を37回忌、四周目を49回忌と数えられます。
さいごに。十王仏の考えを混ぜて年忌の回数を固定されたのかも
さて日本に仏教が伝わった後、先祖を供養するお勤めのタイミングも大陸の文化を参考に形作られたと考えられています。
しかしそれぞれの数え方を合わせると膨大な数の年忌法事を勤めなくてはなりません。
十王仏は十王信仰とも言われ、単純に言えば亡くなった人の審判をする考えのことです。
中陰(四十九日)に毎週毎週、審判を下され死者の行き先が決められているというのと同じようなものです。
あれの規模が大きくなったようなものです。
つまり50回忌までの間に10回年忌法事をしようということです。10回裁判を受けられるように。
1 | 命日(1回忌) | 命日(1回忌) | 1 |
49日(満中陰) | 2 | ||
2 | 1周忌(2回忌) | 1周忌(2回忌) | 3 |
3 | (2周忌)3回忌 | (2周忌)3回忌 | 4 |
4 | 7回忌 | 7回忌 | 5 |
5 | 13回忌 | 13回忌 | 6 |
6 | 17回忌 | 17回忌 | 7 |
7 | 23回忌 | 25回忌 | 8 |
8 | 27回忌 | ||
9 | 33回忌 | 33回忌 | 9 |
10 | 50回忌 | 50回忌 | 10 |
昔は37回忌や43回忌などもあったようですが、10回に合わせるためにこのような形に徐々に固定されたと聞いています。
25回忌の方は十二支の方で数えられているので、25回忌をするパターンでは23回忌や27回忌は勤めないことが多いです。一方で23回忌を勤める家は27回忌もすることが多い印象です。
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まとめ。命日とは忌日のこと
命日は忌日のことです。
忌日の回数は毎年増えていきます。
ですので2年目が3回忌、6年目が7回忌となります。亡くなった年から1つ足した数字がその年の回忌になるんですね。
今回説明したのは周忌と回忌の数字の数え方です。
年忌法要は日本に伝わった歴史の中で決まってきたことなので、単純に覚えることしかできないんですね。
一番おすすめするのは、法要のたびにお寺さんから次の年忌法要を確認することです。そして法要の出席者に次の年忌法要を招待することですね。
年忌法要単体で覚えるのはかなり難しいです。
とりあえずは3と7の数字が付く年忌に注意するしかないと思います。