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第165回目のラジオ配信。「打敷」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
この番組では香川の浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをするラジオです。
2022年12月6日配信の今回は、お仏壇のお飾りの仏具、打敷について短くお話していきます。
さて?
打敷と聞いて、どんなお飾りなのかピンと来ますでしょうか?
金糸などで縫われた豪華な見た目の敷物のことで、お仏壇の中で、三角や四角の形をした布が敷かれているのが打敷と言われるものです。
仏さまをおまつりしているお仏壇を、より一層、厳かに、きらびやかにするのが打敷のお飾りです。
お飾りの作法は仏教宗派によって異なると思いますが、私の属する宗派、浄土真宗の興正派では、お供え物をするときに打敷をすること、また大切な法要のときにすることを正式な形としています。
ご門信徒の皆様のお仏壇を見ますと、ほとんどすべてで、打敷の飾り布はいつも敷きっぱなしの状態となっていますが、正式には法事法要といった特別な時にだけお飾りすることになっています。
それはお寺でも同じです。
お寺も常には打敷のお飾りはしていません。
春や秋のお彼岸、永代経法要、宗祖のご命日の報恩講法要、新年のお勤めといった特別なときにのみ、打敷をしています。
法要が終われば、その日のうちに、お寺では打敷の布を片付けます。
ただそうは言っても、打敷の敷物のお飾りを出したりしまったりするのは大変なものです。
ご家庭のお仏壇はコンパクトななかに色んな仏具・お供えが所狭しと置かれていますので、打敷を出し入れすると、いろんな物を傷める可能性もあります。
ですので、普段はしまっておき、法事といった特別な時にのみお飾りするということは作法として知っておくのに留めておいて、普段から打敷は敷きっぱなしにしてもいいと私は思います。
ただし、浄土真宗のお仏壇は仏さまのお浄土の世界を表わしたものですので、打敷が埃やゴミで汚れたままにならないようにだけ注意してくださいませ。
そもそも打敷はなんのためにあると思いますか?
打敷の由来は、今から2500年前の仏教開祖のお釈迦様がお説法をするときに、お話を聞く人たちが、仏さまのために布を敷いてお席を設けて、お釈迦さまを敬ったからだとされます。
お釈迦様が初めて説法をされた初転法輪の絵をみてください。その多くで、お釈迦様の座られているところに布が描かれていますよね。
そんなわけで、打敷をご用意するのは、仏さまの説法を聞くため、仏さまを敬うといったためにするものです。
最近の打敷には火がつきにくい防火加工をされているものもありますが、決して火事を防止するために敷いているわけではありませんよ。
打敷の豪華絢爛な布は、仏さまを敬うためにお飾りするものです。
中国といった他のアジアの仏教寺院などでも、仏さまの前にカラフルな布をお飾りしていますよね。
あれもおそらく仏さまを敬うためにしている飾り布だと思います。
ちなみに葬儀や中陰といった時には、白か銀色の打敷をするのが正式となっています。
なので私の祖父母が亡くなったときには、銀色の打敷を用いましたが、一般のご家庭では、そう何度もない葬儀のために銀色の打敷を用意しておくのは難しいでしょう。
一般のご家庭の葬儀や49日の中陰のときは、普段使っている打敷をひっくり返して、無地の裏地の面を出してお飾りすることで代用するので十分だと思います。
2022年12月6日の今回は、ご仏前をいろどる打敷についてお話しました。
例年12月12日は私の寺、円龍寺では、宗祖のご命日法要の報恩講法要があります。
特別な法要なので、打敷のお飾りがたくさんされています。ぜひお参りのさいには打敷の様子もご覧になっていただければと思います。
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