長時間の正座と痛み.#210

第210回目のラジオ配信。「正座と痛み」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ内容まとめ
  • お坊さんの座り方と言えば、やっぱり正座
  • 涼しげな顔で座り、すっと立って動くことができる
  • 正座ができない人は足の痺れよりも痛みの方が原因かも
  • 正座の疲労は蓄積型
  • 毎日長い時間同じ姿勢で座るのはおすすめしない
  • 足が痛い場合は無理に正座をしないこと
  • 正座は姿勢や気持ちを自然と正して座ることにつながる
  • 子どものときに正座をして、座り慣れておく
かっけい
かっけい

お坊さんは足が痺れないんじゃなくて、足の痺れに慣れているんですね。

それでいて痺れをすっと取り除くことができるので、素早く立ち上がって動くことができるというわけです。

足が痛い場合は無理に正座をせずに、椅子に腰かけたり、足を崩してくださいね。

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをする音声配信です。

今回は正座と脚の痛みについて雑談していきます。

お坊さんの座り方と言えば、だいたいの人は、両膝を前に揃えて両足を後ろにまげてお尻に敷くあの正座をイメージすると思います。

最近はお坊さんも椅子に座る機会が増えましたが、やっぱりお坊さんの座り方といえば、畳の上に脚を折り曲げて座る正座であることが多いです。

家でする法事とかの場合、後ろにお参りされている方たちもお坊さんに合わせて、正座をされることが多いですが、なかなか皆様長い時間の正座は難しいようです。

でもお坊さんは何でもない涼し気な顔で正座していますし、30分や一時間のお勤めが終わっても、すっと立ち上がって移動しますよね。

お坊さんって正座をしても痺れないのかなあと思う人もいるかもしれませんが、実際のところどうなんでしょうかね。

他のお坊さんから聞いた話では、いくらでも座っていられるとか、もう脚の神経がないみたいで、全然痺れないよという人もいます。

一方で、脚は痺れないんだけども、痛みがするっていう人もいます。

お坊さんでも正座ができない人は、脚の痺れよりも痛みが原因と答える人が多いような気がします。

お坊さんでもお参りの皆様でも同じですが、70や80歳を超えてくると、脚を曲げると膝小僧や足首といった関節が痛くて痛くて、正座どころの話じゃないそうです。

なので高齢のお坊さんの場合、脚が痺れるから正座ができないんじゃなくて、脚を曲げることがそもそもできないから正座ができないらしいです。

そういったわけで、最近のご高齢のお坊さんは、最初から椅子を持参したり、あぐらの状態でおつとめをするというわけです。

そんな大先輩のお坊さんが椅子に腰かけたり、正座椅子を使ったりと正座をきちんとしていない様子を見て、じゃあ私もいいかなあと、正座をしない若いお坊さんもひょっとしたら増えているんじゃないかなあと思うところです。

さてそれで私自身の経験をいいますと、私自身は正座は子どものころからしているので、30を過ぎた今はもう慣れたものです。

30分や一時間のお勤めが終わっても、すっと立ち上がって歩くことができます。

それじゃあ、痺れないのかというと、いいえ、脚は痺れているような状態です。

でもほんの2、3秒、立ち上がる動作をしている間に、脚の痺れが取り除かれるので、問題なく歩けるというわけです。

私の祖母が何時間でも正座ができる人で、祖母自身があしは痺れないと言っていたので、私自身も大きくなったら脚は痺れなくなるのかなあと思っていたのですが、実際は、脚は痺れるけど、痺れがすぐにすっと無くなるというのが今の私の状態です。

むしろ私が思うに、お坊さんの私は脚の痺れよりも、脚の痛みの方が正座において問題なような気がしています。

私は正座の疲労は蓄積型だと思っています。

今、この音声配信の収録をしている11月は浄土真宗では報恩講という大切な時期となっています。

各ご門信徒の家のお仏壇ひとつずつにお参りしていきます。

朝から夕方まで、毎日のようにお参りしています。

報恩講でもない、なんでもないお参りだと、一日中ずっと正座をしていても、何の問題もありません。

でもその一日中お参りするのが、ずっと何日も何週間も継続して続くと、朝一番のお勤めでも、正座をするのが、正座が痛く感じてしまいます。

これが私が正座が蓄積型だと思う理由です。

ある程度休み休みの間隔をとっていれば、正座を続けても痺れたり痛くなったりしないんですが、毎日のように朝から晩まで正座を続けると、正座の疲労が蓄積されて痺れではなく、痛みがやってくるんだと思います。

何事も同じこと、同じ姿勢をやり続けてはいけないんでしょう。

正座という座り方が悪いんじゃなくて、毎日長い時間ずっと正座をしているのが、脚が痛くなる原因なんだと思います。

こういうちょっと座るだけで脚が痛くなる時はどうすればいいのかというと、丸一日正座をしない日を設ければ、脚の状態がリセットされて、また続けて正座ができるようになります。

このことも正座の疲れが蓄積型だと思う理由です。

正座は姿勢を正してかしこまって仏様参りできるので、できることなら正座をしてお参りするのがいいと思います。

ですが何事も無理はしてはいけません。

特に正座ができない人というのは、脚の痺れよりも、足の痛みが原因であることが多いと思います。

なのでそういった場合は、無理に脚を曲げて正座をするのではなくて、例え椅子に腰かけたり、あぐらを組んでいたとしても、気持ちだけは正して手を合わせて合掌礼拝していただけたらと思います。

最近は家での法事で椅子をご用意されている人が多いです。

脚が痛くて正座ができない場合は、お坊さんが正座をしていても、どうぞ遠慮せずに椅子に腰かけてくださいませ。

以上で、長時間の正座と痛みについての簡単なお話を終えます。

なお、最近では若い世代の人は、正座で座る機会がかなり減っているようです。

法事をしていても、お参りの大人の人たち、お年寄りたちは畳の上に座布団を敷いて正座をしているのに、子どもたちは椅子やソファに腰かけている姿もちらほら見かけます。

正座の痺れは慣れの問題ですので、大人になってからいざ正座をしようと思っても、すぐに痺れてしまって、その痺れから痛みに変わって、辛い思いをしてしまいます。

正座は体重の重い人や筋肉質の人が脚への負担が大きくなりやすく、痺れやすいです。

つまり大人や男性は痺れやすいです。

一方で子どもは体重が軽く、また脂肪も多く、正座をしてもそもそも痺れにくいです。

足の痛みは年をとると誰もが通る道ですが、正座による痺れは慣れである程度解決する問題です。

なので、脚が痛くなるほどの時間、正座するのはよろしくないですし、おすすめしませんが、仏様参りとか、ちょっと手を合わすときとか、一分でもいいので、小さい時から正座で座る癖をつけていた方がいいとお坊さんの私は思うところです。

誤解があってはいけないのですが、私が正座をすすめるのは、正座が正しい座り方だからだと考えているからではありません。

正座で座ることが、自然に姿勢や気持ちを正して座ることにつながるからです。

人生の中では姿勢を正す場面、かしこまる場面というのはかならず何度もあるでしょう。

そういった場面で正座をすることが苦にならないようにと、負担の少ない子どものときに正座で座っておきましょうというお話なわけです。

「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。



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