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第177回目のラジオ配信。「おすすめの果樹」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
この番組では香川に住むお坊さん、私かっけいが、短い雑談をするラジオです。
前回は、ブルーベリーを枯らさないことについて話しました。
すると、何か育てるのにおすすめの果物・果樹はありますかというご質問をいただきました。
なので今回は、栽培するのにおすすめの果樹についてお話していきます。
果物をこれまであまり育てたことがない初心者を対象にしてお話します。
結論を先に言いますと、これまでに果物を育てたことがない人に対して、おすすめできる果樹はないです。
それでも強いて挙げるなら、イチジクあるいはオリーブをおすすめします。
なぜおすすめできる果樹がないのか、おすすめするならイチジクあるいはオリーブなのかについて、これから少し掘り下げてお話します。
まずはなぜおすすめできる果樹がないかについて、いろいろ理由がありますが、一番の理由は果樹栽培は面倒、大変というのが挙げられます。
そもそもあなたはどういった理由で果樹を育てたいのかについて私は知りたいです。もし美味しい果物を食べたいとか、簡単に手間をかけずに果物を食べたいとか、お金の節約とかという理由でしたら、果樹を育てるのはおすすめしません。
素人の果樹栽培はプロの農家がつくるものよりも、大抵上手くいきません。
プロの農家が作った方がずっと美味しいですし、大きいです。果樹は植えてから何年もかけて収穫します。また果樹には虫もたくさんつきますし、鳥も寄ってきます。ある日突然枯れてしまうこともあります。
農家と同じようにお金をかけ、薬を用いれば、お店で売られているような果物を収穫することはできるかもしれませんが、果物をお店で買うよりもかなり割高になってしまいます。
そんなわけで、もし、美味しい果物を食べたいとか、簡単に手間をかけずに果物を食べたいとか、お金の節約とかという理由でしたら、果樹を育てるのはおすすめしません。
また鉢で果樹を育てる場合、水やりが大変手間です。水やりを怠ると枯れますので、海外旅行のように何日も家を空けることができません。
畑や庭に植えれば水やりの手間は省けますが、今度は広いスペースが必要になってしまいます。
植物を育てるのが好き、コツコツと育てる長期的な趣味がほしい、虫がついても嫌がらない、失敗するのをおそれないという気持ちがある人が果樹の栽培に向いていると思います。
それを踏まえて、おすすめの果樹、それとおすすめでない果物についてお話していきます。
一番のおすすめはイチジクです。
初心者にはイチジクが一番簡単で失敗しにくく、かつ甘くおいしい果物を収穫することができる果樹だと思います。
果樹の中には実をつけるための受粉樹というのが必要なものがあります。
ですがイチジクの場合は、一品種でしっかりと実がつくので、まずは一本果物を育てたい場合は、イチジクがベストです。
またイチジクは収穫時期が一ヶ月くらいと比較的長めなのもいいですね。
果樹は一年の一時期、ほんの短い時にしか収穫できないのがほとんどですが、イチジクは熟れた物から順次とっていくので、収穫時期が長いですし、いつも甘くおいしいものが食べられます。
育てるのも簡単で、枝も大きく落としても枯れにくいので剪定も気楽です。
そういうわけで、私の一番のおすすめはイチジクです。
注意点としてはカミキリムシという虫には気をつけてください。
5センチくらいの大きさの虫で、イチジクの幹をかじって中に卵を産み付けます。ただちに枯れはしないですが、幼虫が幹を喰い進めていくと幼虫のいる枝が弱っていきます。
なのでカミキリムシの成虫をみかけたらすぐに捕まえてイチジクから離してください。
それと、カミキリムシの見た目が怖くてイチジクに近づけない人もいるかもしれないので、イチジク栽培を検討する場合は、カミキリムシの見た目もチェックしてください。
次のおすすめはオリーブです。
オリーブのいい点は、栽培が簡単なところです。
目立った病気も虫もないので、初心者でも容易に育てられます。
乾燥にも比較的強いのもグッドです。
剪定もそれほど難しくなく、交差している枝、下に垂れ下がっている枝を中心に切ればいいだけですので簡単です。
切った後、向こう側の景色がほんのり見えるくらい、風が吹き抜けたり、木漏れ日がさすくらいを目安に切ればOKです。
オリーブは初心者におすすめの果樹ですが、注意点が3つあります。
一つはしっかりと実をつけたいなら、異なる品種を2本以上育てる必要があることです。
二つ目は、地面に植えるとけっこう大きな木になるということです。
畑に植えると水やりの手間はなくなりますが、毎年どんどん大きくなってしまいます。
畑に植える場合は大きさを抑える剪定作業をしっかりとする必要があります。
最後3つ目は、果物の利用方法が難しいことです。
オリーブと言えばオリーブオイルを想像される人が多いと思います。
しかし家庭ではオリーブを絞る機械がないのでほとんど油をとることはできません。
手絞りの場合、オリーブの実が一キログラムあっても、50グラムとれるか取れないかぐらいだと思います。
油がほとんどとれないから、漬物にして渋みを抜いて実を食べる方法がありますが、非常に癖のある味で、苦手とする人も多いと思います。
オリーブを育てられる場合はそのような注意点を知ったうえで育ててください。
最後におすすめしない果樹を簡単に紹介していきます。
まずはブルーベリーです。
ブルーベリーは酸性の土壌を好み、他の植物よりも気難しい気がします。
水やりも大切で、初心者向けではないと思います。
また美味しい実を収穫するには、完熟したタイミングを見極める必要があります。熟れていないとかなり酸っぱいです。
それと鳥の被害に悩まされるので、鳥よけが必須です。
またお子さんがいる場合、イラガという虫に特に注意してほしいです。
イラガの幼虫はブルーベリーの葉の裏に隠れています。これにほんの少しでも皮膚が触れると、触れた瞬間に激痛が走り、腫れあがります。
なのでお子さんとブルーベリーを収穫するのは私はためらわれます。
ビワとサクランボもブルーベリーと似たような理由で、あまりおすすめしません。
鳥が実を食べようとけっこう寄ってきます。
ビワは根が浅いので台風のような大風に弱いのにも注意です。木が小さいうちは必ず支え棒をしてあげましょう。
サクランボは、農家のレベル程キレイで美味しいのはできないので諦めましょう。鳥もよく来ますし、虫もたくさんつくので、手間がたいへんかかります。
ブドウとキウイフルーツは広い栽培スペースが必要なので、おすすめできません。
一応鉢でも育てられますが、初心者には大変だと思います。
栗の木は丈夫で、日当たりを確保できたらよく育つのでおすすめしたいところですが、あの刺々しいイガがあるので、おすすめしにくいです。栗は実がない未熟な状態でもイガをつけます。それが木の下に落ちますが、いつまでたっても鋭いイガが残り続けます。
軍手をしていても突き破ってくるので、子どもがいるご家庭ではおすすめできません。
栗のイガは涙がでるくらい痛いです。
果樹の種類はまだまだありますが、とりあえず紹介するのはこれくらいにします。
私が初心者におすすめするならイチジクもしくはオリーブとなります。
そのイチジク、オリーブにも注意点があるので、それを確認したうえで、育てるかどうか検討してください。
以上で、今回のお話を終えます。
果樹を育てる前に、栽培期間の短いトマトやイチゴといった果菜類を育ててから、収穫を楽しみ、植物を育てる感覚をつかんではいかがでしょうか。
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