お寺の建物は実はけっこう新しい?#324

第324回目のラジオ配信。「お寺の歴史と建物の歴史の長さ」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

内容まとめ
  • お寺のお堂はお寺の歴史と比べると新しかったりする
  • 色んな建物が何度も作り替えられている
  • 浅草寺や金閣寺などの超有名なお寺も意外と新しい建物
  • 火事や災害の被害を受けやすい、また時代に合わせて建物を改修している

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。

今回は「お寺の建物って、実はけっこう新しいんですよ」というテーマでお話していきます。

先日、ご門徒さんのお宅にお参りに行ったときに、こんなことを聞かれました。

「円龍寺の建物って、何年くらい経っているんですか?」

この質問、実はよくいただきます。

私は「円龍寺のお寺としての歴史は450年くらいあるんですが、本堂自体は100年ちょっとなんですよ」とお答えしました。

すると「そんなに新しいんですか?」と、少し驚いていました。

たしかにお寺と聞くと、何百年もそのままの建物が残っているようなイメージを持っている人も多いかもしれませんね。

でも実際には、お寺の歴史とそのお寺の中にある建物の年数は、必ずしも同じではないんですね。

円龍寺は1575年に始まったお寺です。戦国時代の終わりごろですね。お寺の歴史は450年ほどあります。

ですが明治13年の1880年に火事がありまして、本堂や庫裏などが焼けてしまいました。

その後まもなく庫裏は再建されましたが、本堂はすぐには建てることなく、長い間仮のお堂で代用していました。そして現在の本堂ができたのが大正9年の1920年です。

つまり火事から40年ほどは本堂のない期間があったわけですね。円龍寺の今の本堂はまだ100年少しの建物という、思ったよりも新しい建物だと言えます。

ちなみに本堂や庫裏のほか、山門や塀もこれまでに直しています。鐘撞堂も戦争中に鐘を出して、戦後に新しくなっています。

一番直近の例を言うと、円龍寺にはかつて経堂というお経文を納めるお堂がありました。これは300年近く経っていた円龍寺で一番古い建物でした。

ただ瓦が落ちてくるなど、大きな地震が来たら危ない状態だったので、13年ほど前に取り壊しました。今はそこに、お骨をお預かりしたり法事やお葬式などができるお堂が新たに作られています。

このように、お寺の中の建物は、少しずつ入れ替わりながら今に続いているんですね。

これは円龍寺に限ったことではありませんよ。他のお寺でも同じです。

たとえば東京で一番有名なお寺、外国人観光客や日本人にも人気の浅草の浅草寺がありますよね。

東京で一番古いと伝わるお寺で1300年以上の歴史があるそうですが、本堂や雷門は戦後に再建されたもので、60年ぐらいの比較的新しい建物です。

奈良の東大寺もそうです。大きな大仏さまで有名な1300年ほどの歴史があるお寺ですが、現在の大仏殿は約300年前の再建です。

京都の清水寺も1200年以上の歴史がありますが、現在の建物は約400年前のものです。

また金閣寺も火災で焼けており、今の建物は再建されて70年ほどですよね。

さらに言えば世界最古の木造建築として知られるあの法隆寺でさえ、創建当時のままというわけではなく、あとから再建された建物もあるんですよね。

こうして見ていくと、どんなに歴史のあるお寺、誰もが知っている有名なお寺でも、建物は何度も建て直されながら受け継がれてきたことが分かります。

ではなぜ建て替えられるのでしょうか。

一番大きな理由は、やはり火事、そして地震や台風といった災害です。

木造建築ですので、どうしても被害を受けやすいんだと思います。

また建物の老朽化も挙げられますし、時代に合わせて使いやすくするために改修することもあります。

例えば最近だと、車いすでもお堂にあがれるようにスロープをつけるといったバリアフリーにしたり、冷暖房を整えたりすることもあります。

さらには、お寺が色んな目的で使えるようにと、ご門信徒の法事やお葬式の場だけでなく、集会所のようにいろんな集まりができるようにしたり、また宿泊ができるように建て替えることもあります。

このようにお寺は、古いものがそのまま今に残っている場所ではなく、その時代その時代に合わせて、少しずつ形を変えながら続いてきた場所なんですね。もちろん火事といった不慮の事故で失われたことも多々あるでしょう。

しかしお堂・建物は新しくなっても、そこに集う人の思いや、仏法を聞いていくご縁はずっと続いていきます。

私のいるお寺円龍寺も、本堂は100年ほどのまだ新しい建物ですが、その場所で手を合わせてきたご先祖のご縁は何百年と続いています。

そう考えると、お寺という空間は建物の新しさの中にも、長い歴史・ご縁がしっかりと息づいているのだなあと思います。

皆さんのお近くのお寺は、どれくらいの建物でしょうか。

見た目以上に、ずっと古い歴史を持っているお寺かもしれませんよ。

今回は「お寺の建物はけっこう新しいんですよ」というお話をしました。

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Q&A

Q
お寺の建物はどれくらいの年数が多いのか?
A

100年〜300年ぐらいの建物が多い印象を私は持っています。

もっと古いものもあるでしょうが、災害や老朽化により建て替えられている場合も多いです。

地域によっては明治の廃仏毀釈や、第二次世界大戦の空襲で失われたお寺もあるでしょう。都市開発で道路や線路の整備で、お寺が移転するケースもあります。最近だと、冷暖房の空調設備やフローリングや椅子席への変化のために、お寺の中身だけ新しくするケースもあります。

Q
古い建物をそのまま残すことはできないのか?
A

難しいでしょう。

保存できる場合もあるでしょうが、安全性の問題や維持管理の難しさから、建て替えが選ばれます。特に地震など災害が多い日本では、安全面が重要視されます。

歴史的に価値があるお寺なら、保存されることもあるでしょう。

Q
建て替えると歴史が失われてしまうのでは?
A

建物自体は新しくなっても、その場所で続いてきた営みやご縁が途切れるわけではありません。お寺の歴史は、建物だけでなくつながりの中にあります。

新しい建物になると歴史が失われ価値がなくなるわけではありません。

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