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閣(かく)の意味.ラジオ#94

第94回目のラジオ配信。「閣」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ「閣」の内容まとめ
  • 丸亀城は現存する12の木造天守で、最も小さい
  • 天守はお城のシンボルで、一番高い位置にたつ
  • 天守が正式で、天守閣は江戸時代以降の俗称
  • 閣は四方を見渡すことができる建物
丸亀城の天守
丸亀城の天守

先日用事があって、丸亀市役所に行ってきました。

丸亀市役所の新しい庁舎は2021年3月にオープンして、私は新しくできた丸亀市役所にはじめて行きました。場所は道路の向かい側に移動しただけなので、新しい庁舎の場所は迷わなかったのですが、市役所の前の道路が車の通り抜けることのできない、歩行者天国になっていて、それは面くらいました。

車を古い役所の駐車場にとめて、歩行者天国の道路を歩きますと、右手の南に丸亀城が堂々とはっきりと真正面に見えるんですね。天守と大手門と石垣が目の前に見えて、これは素晴らしい光景だなあと感心しました。

それと同時に今から5年前ほどにテレビで聞いた「天守閣・天守」の言葉がふと思い出されたので、今回はその天守閣から「閣」の言葉について雑談していきます。

丸亀市には吉本興業の地域密着型プロジェクトで派遣されている芸人さんがいます。それで4年以上前に丸亀市専属住みます芸人に、「丸亀じゃんご」というお笑いコンビがいました。彼らはテレビ・イベントなどに出演して、丸亀市や丸亀城の魅力を精力的に発信していました。

丸亀城は日本に現存する12ある木造天守のひとつで、天守の高さは15mほどと、現存する12天守のなかで最も小さな天守となっています。

それで私が見たテレビで、丸亀じゃんごは、丸亀城は天守閣と言わずに天守と言います。その理由は丸亀城の天守は小さいから他の立派な天守閣に遠慮しているから、みたいな内容を話していたんですね。

テレビを見ながら、私は小さいから天守というのはそれは違うんじゃないのかなあ~と首をかしげていました。大きい小さいで、閣をつけるつけないというのではないと思うんですね。

たぶん多くの人はご存知でしょうが、天守が正式名称で、天守閣が俗称です。

ですが、例えば現存12天守で巨大で立派な構えを持つ大阪城や熊本城などは、ホームページ上でも大阪城天守閣と表記しているように、天守閣という言葉もひろく使用しています。

天守閣の言葉は江戸時代後期になってから使われるようになって、明治時代からは一般的な言葉となっていったとされます。

で話は戻って、丸亀城は小さいから天守閣ではなくて、天守なのでしょうか?

私は天守閣でもいいと思います。

仏教には楼閣という言葉があります。お浄土の世界には背の高い建物・楼閣があり、七つの宝で彩られ、仏様が説法されているとあります。

楼閣の楼は2階建て以上の建物を意味する言葉で、楼閣の閣は四方を観望する見晴しのよい高層建物を意味する言葉とされます。

建物の大きさの大小で閣の言葉が使われるのではなく、四方を見渡すことができる建物が閣です。

お城の天守というのはお城のシンボルであり、お城の最も高い位置に建てられる建物です。

丸亀城の天守の建物は確かにとっても小さいです。ですが天守から望む景色は、北の瀬戸内海、南の丸亀平野、東の讃岐富士・五色台、西の善通寺五岳山と素晴らしい眺めを一望できます。

丸亀城は60m以上の石垣の上に築かれており、総高では日本一高い城であり、四方をはるかに見渡すことができるこの天守を天守閣といっても言い過ぎではないと思います。

閣と言う言葉は、風景を四方に展望する意味合いがあります。

例えば、大きな建物では大阪の通天閣がありますね。パリの電波塔であるエッフェル塔を模してつくったとされますが、用途は異なり、大阪を一望できる展望台として通天閣は造られました。通天楼だとおかしな言葉になりますよね。

小さな建物だと、京都に世界遺産の金閣銀閣がありますね。金閣は高さ16mほどの3階建て、銀閣は高さ10mほどの2階建てですが、正式名称の鹿苑寺や慈照寺と呼ばれることはなく、俗称の閣の言葉がひろく使われています。

金閣も銀閣も江戸時代以降に呼ばれるようになったそうですが、それはやっぱり建物の大きさの大小ではなく、金閣銀閣のたたずまい・展望が素晴らしかったからではないでしょうか。

ちなみに政治の世界では、政府という言葉に代わって、内閣や閣僚という言葉があります。

国を動かす大切な役目を負っていますが、そのために内閣や閣僚は常に周囲を国民を見渡して広く様子を伺い状況を判断し、意見を集めなくてはいけません。

大きくて立派だから閣の文字を使うのではなく、広く周囲を見通すことができる存在が、閣ではないでしょうか。

丸亀城は建物が小さいから天守で良いというのではなく、俗称ではありますが、威風堂々としているそのたたずまいは、まさに天守閣で相応しいと私は思います。

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