ほしい物リストより、お線香ありがとうございました

お経の読み方。自分の速度でゆっくりと読むこと

真宗僧侶のかっけいです。

お仏壇にお参りしていますか。手を合わすだけでなく、時間があれば、読経をしてください。

読経を普段していないと、年忌法事や葬儀の時ぐらいしか、お経に耳にすることが無い人もいることでしょうか。

久しぶりにお経を聞いたとき、皆さんはこんなことを思いませんか。

  • お坊さんって、お経を読むのが速すぎる。
  • 何を言っているのか、分からない。
  • お経って、こんなにはやく読むものなの?

今回はお経を読む速度についてお話します。

結論を先に言うと、お経はゆっくりと、自分のペースで読むのが一番です。お坊さんは速すぎるんです。

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お坊さんはどうして速く読むのか?

お坊さんってお経を読むのが速いですよね。

風のごとくと言いますか、サア~と流れるように唱えるので、聞いている側も何を言っているのかさっぱり想像できないですよね。

でどうしてあんなに速いんでしょうか。

理由は単純で、お勤めに慣れているからです。

毎日、お経を読んでいるので、だんだんと読み慣れているのです。

それと、なるべく早くお勤めを終えたいのも理由にあるでしょう。

お坊さんだって読み慣れていないお経はたどたどしいです。でも毎日毎日しょっちゅう読経していますと、自然と口が覚えると言いますか、だんだん流暢になってくるんですね。

暗記してお勤めに慣れてくると自ずとスピードアップしてしまうんですよ。

皆さんも同じ読み物を繰り返し繰り返し何十篇・何百篇・何千遍も読みますとパラパラページをめくってしまうでしょう。それと同じような感覚です。

そしてお勤めをさっさと終えたいんですよね。きっとね。

お勤めに慣れてきますと、「このスピードで読んでいくと、おおよそ何分くらいだなあ~」と予測がつくんですね。

例えば浄土真宗だと仏説阿弥陀経を読誦しますと、おおよそ10分から15分程度の時間がかかります。

お参りの人がいればお経の音が聞き取れるようにゆったりと15~20分程度で読みますが、お坊さんが一人で読むときはあっという間に10分以内に読み終えたりします。

今ではしなくなりましたが、60年以上前は阿弥陀経を500部・1000部お勤めする習慣がありました。(あったそうです。)

お座敷に氷柱を立てて飲み物を冷やしながら、お坊さんが10人程度で超スピードで読み続けるんですよ。

ちんたらお勤めしてたら一日どころか、数日掛けても終わりませんからね。

お経はゆっくりと読みましょう。お坊さんは速すぎます

お坊さんの反省点でしょうが、お経を読むのがお坊さんの専売特許のように思われていたら残念だと思います。

ぜひ皆さんも、お経をお勤めしてください。

お坊さんは経読屋ではありません。速く読むのがかっこいいと思っているのなら最低ですね。法事や葬儀で、ものすごいスピードで木魚や音木で調子をとり、何を言っているのかわからないような高速読経をする人いますよね。せめて聞き取れる程度の速度で読んでほしいところです。

お経とは何でしょうか。何のために読むのでしょうか。

まじないですか。呪文ですか。違いますよね。

お経とはお釈迦様のお言葉を記録したものであり、仏様の金言です。

一文字一文字、私に呼びかけられているように味わいながら、口にしていくべきものです。

もちろんお経はインドの言葉を漢字に訳しその音のまま読んでいるだけですので、読んでいても意味は分かりません。しかしお経は仏様の言葉であり、私たちの口から出る言葉そのものが仏様から呼びかけです。

お勤めするときは文字を読むのではなく、口から出た音を聞くように心がけてほしいところです。

仏さまにさし上げるために、お経を読むのではありません。仏さまからのお説法として、この私、自分に聞かせるような態度で読むべきなのです。

私の理想は、妙好人・山地願船のお勤めの仕方

山地願船という人をご存知でしょうか。讃岐(香川県)の多度津・金倉町にいたお念仏の生涯を歩まれた人です。

在家の出身の人でしたが、念仏に篤く、55歳から83歳で亡くなるまで行脚の生活をしました。

願船さんのお勤めは、非常にゆったりとしたものだったそうです。

浄土真宗ではお勤めに音木(おんぎ)という木の道具で調子をとります。しかし願船さんは両方の指を立てて打ち合わせた手製の音木だったそうです。周りがどんなに速く読もうが一字一字を抑えながら、味わいながら読んでいたそうです。

「たくさん読めないではないですか」と尋ねられれば、「それなら少しを読めばいいではないですか。人に聞かすのではなく、私がいただくこと。」と返されたそうです。

どんなに周りが速く読もうが、自分なりにゆっくりゆっくりと時間構わず唱えていたらしい。

またお正信偈が遅いことを言われると、「正信偈は御開山聖人の生血。一字でも落としたら勿体ない。一字一字が仏様。口の番頭にまかせるのではなく、本心の主人公がゆっくりと頂かなくてはならない」と返されたそうです。

言葉の解説

願船さんは、お経を読む姿勢を、「番頭と主人」の関係で説明した。

お経を読むことは、口が率先して働いているように見えるだろう。

しかし本当に大切なのは、仏さまの言葉を聞いていく私そのものである。

文字をただ読むのではなく、味わいながら読むべきである。


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メトロノーム80~110のテンポが目安

お勤めの速さは慣れてくるとだんだん早くなってしまいます。これは誰でも同じです。

しかしお勤めは口に出すだけでなく、耳に聞いてくことも大事なことです。

聞き取りやすい速さは、メトロノーム80BPMから110BPMの間だとされます。

お勤めに慣れていない人はとりあえず、ゆっくりペースの80で練習してみてはどうだろうか。リズムが乱れていっても気にすることはありません。上手にお勤めするという気持ちよりかは、仏様のお言葉だといただきながら唱えていきましょう。

慣れてきたらスピードアップしたメトロノーム110で唱えてもいいかもしれません。慣れればこの速度が非常に心地よくなります。

もちろんお坊さんはこれ以上の速度でお勤めをしますが、私たちがお仏壇で日常のお参りをする時は自分のペースで落ち着いてゆっくりと読経すればOKです。お坊さんは高速で読むもんだと割り切っちゃえばいいんですよ。

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