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第209回目のラジオ配信。「道中袴」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをする音声配信です。
2023年の今年は例年にないくらい急に寒くなりましたね。
秋は一雨ごとに寒くなって冬が近づいてくると言いますが、今年は夏の終わりから、あっという間に冬の始まりを迎えたように錯覚してしまうほどです。
急に肌寒くなってきたので、体が追いついてなくて、実は例年並みの寒さなのに、手が震えてかじかむような気さえします。
あまりにも急に気温が下がったので、私は久しぶりに道中袴というのを着てお参りに行ってきました。
今回は道中袴について短く雑談していきますね。
道中袴とは、お坊さんが道中の移動のときに着る袴のことです。
白色の衣と黒色の衣の間に履く袴です。
道中袴は道中・移動中以外でも、普段のお祥月参りといった場面でも着ることができるので、非常に便利で、俗な袴ということで、俗袴なんて言われることもあるそうです。
お寺の法要やお葬式のような特別な場面でお坊さんが着るのは、切袴と言われる袴で、道中袴・俗袴とはまた別です。
さて、私は久しぶりに道中袴を着て、お参りに出かけたわけですが、その理由は単純で、寒かったからです。
やっぱり袴をつければ暖かく感じます。
袴をつけると足元に冷たい風が当たらないですし、お腹の真ん中あたりで、たくさん布や紐が交差するので、けっこう暖かいです。
別に道中袴は冬専用の袴というわけではなくて、夏用の道中袴もあるわけなんですが、私が着ると言えば、冬くらいなものです。
私の場合は、寒いという理由で道中袴を履いています。
近くの本願寺派のお坊さんで、一年中道中袴をはいて歩いている人がいますが、さすがだなあと思います。
私みたいに、寒いから着る量を増やしたいというそんな考えではないんでしょうね。
道中袴は正式な儀式法要でつける用の袴ではないので、生地は丈夫そうな感じで、装飾もとくにありません。
私の道中袴は、私好みの渋い茶色の土の色で、素朴な感じがして気に入っています。
ちなみにこの道中袴の着方は正式な法要でつける切袴と一緒です。
唯一違う点は、袴の中が左右に仕切られていなくて、ロングスカートのような一本の筒状の形状になっている点です。
切袴は左足と右足を通す穴がそれぞれ違いますが、道中袴はロングスカートの形なので、履きやすいですし、歩きやすいです。
私は袴を着てトイレはしないですが、道中袴はトイレもしやすいそうです。
もちろん袴を着けていない方がトイレはずっとしやすいですが、それでも道中袴は、法要儀式の切袴と比べると用をたしやすいそうです。
そんな風に、けっこう便利で、防寒対策にもなる道中袴なんですが、実際には、身に着けているお坊さんはほとんど見かけません。
私自身もほんとに滅多にしか着ないですしね。
着ない理由として考えられるのはいくつかありますが、ひとつは、袴はお坊さんの格好で絶対に必要なものでもないので、わざわざ手間をかけて身に着けるほどでもないというのがあると思います。
寒さは我慢すればいいですし、香川では道中は車に乗って移動することが多いので、そんな寒風吹き荒れるなか歩いて移動することもそうないですしね。
それと他の理由としては、道中袴はあくまでも俗な袴であることです。
正式な厳かな法要ではやっぱりきちんとした袴をはかなければなりません。
なので本山や別院のお寺にお参りする時は、道中袴で行くというのは気が引けるというものです。
それとまあ、余談として、私の属している宗派のことを言えば、私のとこの宗派の条例では、袴については「袴は、切袴とする」の一文のみで、道中袴のことは何にも触れられていません。
そんなこともあって、正式な仏教法要や、本山・別院で着ることができない道中袴を普段から着るというのは、ちょっと悪目立ちしそうで、なかなか着にくいなあと思います。
ただ私自身は、道中袴の素朴で質素な感じが好きなので、本当に寒い冬の普段参りのときには、履いてご門信徒のところのお参りに行ったりしています。
以上、今回は道中袴のお話をしてみました。
ちなみに道中袴には、ポケットがついていません。
正式な仏教法要で着る袴ではないので、ポケットの一つでもあれば便利な気がするのですが、ポケットのような収納空間はありません。
理由としては、ポケットに入れた物の重さで、着崩れするかもしれないというのがあるそうです。
お坊さんは両腕の袂のところに、小物をたくさん入れがちですが、スマートフォンやハンカチや財布といった小物は、バッグや小物入れに入れるのが、和装をするときの心得というか、嗜みらしいですね。
ただそうは言っても、道中袴に車のカギやハンカチをいれられる小さなポケットがあればもっと便利なのになあと思うところです。
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