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お寺の本堂の暖の取りよう.#261

第261回目のラジオ配信。「暖房」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオ内容まとめ
  • お寺の本堂は、夏暑く冬寒い
  • 本堂は隙間風が多い。天井は高く、広い空間
  • 冷暖房の効きは悪い
  • エアコンのある寺は断熱性・気密性を高めるようにリフォームしている
  • 本堂用の巨大ストーブにもデメリットはある
  • 大きすぎないお堂の場合は、エアコン・ストーブの暖取りは有効
  • 大勢の人が集まることによる人の熱での暖取りが理想
かっけい
かっけい

冷暖房の効きが悪いだけですよ。

意味がないわけではありません。

冷暖房をつけると時間はかかりますが、暖かくも涼しくもなります。

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいるお坊さん、私かっけいの音声配信です。

今回はお寺の暖房事情、暖の取りようについてのお話です。

お寺の建物は夏は涼しいなんて言われますよね。

実際、隙間風は多く、風通しはいいです。

でも夏涼しいかといえば、微妙なところで外と変わらないくらい暑いですし、冬は冬でとても寒いです。

それでお寺も一般のご家庭のように、法要がある時は、お参りの人がいるときは、お堂の中を暖かくしたり涼しくしたりするわけなんですが、なかなか一般のご家庭とは冷暖房の事情が違ってくるんですね。

というのも先ほども言いましたように、お寺は隙間風が多いです。それと天井が高く、空間も広いです。

なので冷房も暖房もとても効きが悪いです。

つけてても全然暖かくも涼しくもなりません。

冬12月から2月ごろ、お寺で法事や法要をすると、いろんなところから寒いなあという声が聞こえてきます。

申し訳ないんですが、お寺というのはそういう所だと思ってくださいませ。

さてそうは言っても、最近では本堂にエアコンを設置しているお寺をチラホラ見かけるようになりました。

ああいった、エアコンを設置したお寺というのは、お寺をリフォーム・建て直しして、本堂の気密性を高めていたりしています。

つまりエアコンのついているお寺というのは、建物が結構新しくて、綺麗な感じがしたりすると思います。

隙間風だらけの本堂、断熱性も悪い、気密性もないとなると、エアコンをつける意味がありません。せっかくの暖かい空気がすぐに逃げていってしまいますからね。

なので、お寺の本堂にエアコンをつけるとなると、エアコン機器だけじゃなくて、お堂の建物そのものにも手を加えないといけないので、相当大がかりなことになります。

当然お金もかなり必要です。

まだまだ多くのお寺では、冬寒いなあと思っても、エアコン機器を設置しようと思えないわけです。

現状、多くのお寺では寒さ対策に、石油ストーブのようなものを設置しています。

しかしストーブがあっても、そこまで寒さ対策にならないこともあります。

天井が高くて、空間が広くて、隙間風が多いからですね。

自坊円龍寺では本堂に畳50畳用のストーブを二つ、それともう少し小さいサイズのストーブを2つ設置していますが、微妙です。イマイチです。

確かに50畳用のストーブは高火力であったかいです。

でもストーブの近くの人、50cmや1メートルくらいの人は汗をかくくらい暑くなる一方で、ストーブから1mも離れたらとたんに寒くなります。

暑いの寒いのが極端になります。

それでいて、最近はお寺の本堂では椅子が並んでいるのが普通です。

本堂用の巨大ストーブの周りは暑すぎるので、ストーブの周りは避けるようにして椅子を並べないといけません。

すると、椅子の並びが汚く見えるんですね。

巨大なストーブがあると、椅子を並べるのが難しいんですよね。

近くの人はとても暑い、ちょっと離れると寒いと、ストーブがあっても、本堂の暑いなあ寒いなあ問題は解決しません。

部分的に暖かいところ・暑いところはできても、本堂の中全体を暖かくするというのはなかなか難しいです。

ただし、これは大きなお堂での話です。

あまり大きすぎない、程よいサイズのお堂なら、適度なサイズのストーブを設置できますので、暖房の効きは悪くても、あったらぬくいなあと助かります。

例えば私のところの宗派で言えば、京都にあるご本山(興正寺)には暖房が設置されていません。本堂の空間が広すぎてあるだけ無駄ですからね。

一方で、ご本山の納骨所にある本堂(霊山本廟)にはエアコンが設置されています。

こちらのお堂の空間は、一般のお寺の本堂とそれほど広さは変わらないですし、建物の気密性もしっかりありますからね。こういった所には、エアコン・ストーブの暖房器具は効果的です。

お寺によって、エアコン・ストーブのあるなしがあるのはこういったわけです。

最近ではお寺でも椅子に腰かけることが当たり前になったので、昔以上に足元が寒いなあと口をこぼすお参りの人もいます。

なので、ひざ掛けをご用意しているお寺もあります。

さてそれでは最後に、昔の人はどうやって寒さ対策をしていたか紹介します。

一つは、しっかり着込んでお参りしていました。

お寺は暖の効きが悪いところ、寒いところとご存知でしたので、お寺にお参りされる際は、みなさんしっかり着こんでお参りに来ていました。

それと昔は椅子なんかなく、座布団でお参りしていましたよね。

なので、足がぶらぶらとして冷えるなあってこともなく、座布団を足の上にのせてひざ掛けのようにしてお参りされる人もいました。

そしてもう一つ、昔は、人の熱で暖をとっていました。

今ではお参りの人同士が間隔をとって椅子に腰かけていますが、昔はお参りの人は今よりも多くて、肩同士が当たるくらいの状態でした。

お堂の中に多くの人が集まってお参りすることで、そのお参りの人たちの熱によって、寒さが感じにくかったです。

お寺の本堂が寒いなあと感じるのもお参りの様相が変わったことも理由の一つにあるのかなあと思います。

実際、お参りの人がたくさんいる時と、スカスカな時では、お堂の暖かさは全然違いますからね。

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