お経を上手に読む?.ラジオ#60

第60回目のラジオ配信。「お経の読み方」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

1:27 読経の上手下手って重要なことなの?

2:35 お経って何?

3:11 お経読み

3:46 お坊さんはなぜ読経の稽古をするのか

5:00 お経をゆっくり読む

7:16 まとめ

ラジオテーマ「読経」の内容まとめ
  • お経は仏さまの説法の記録
  • 読経は仏さまからの説法
  • 読経は仏さまの仏徳(功徳や利益)を讃嘆
  • お経を読むのに下手も上手いもあるのか
  • 早くスラスラ読むのではなく、味わうように読むべきではないか

私はお坊さんですので、ご門信徒さんのところに祥月参りとかに行きます。

もちろんただ行ってボーと座っとくだけでなく、お経を読みます。

なぜお経を読むかというと、お経は仏さまからのお説法だからです。

でも皆さんそのことをあまり知らないのか、読経していても別の部屋に行ったりして、一緒に仏さまのお参りして下さらないこともあります。

ご丁寧な家に行きますと、お経本を開いて一緒にお経を読んでくださいます。そんなとき、私はお参りの人が合わせやすいように、いつもよりもゆっくりと読んだりしています。

でこれは私の癖ですが、ご門信徒さんの家に行くと、いつも以上に大きな声で朗々とお経を読むんですね。

お勤めが終わると「前の住職やご住職のような声ですね。どうしたらそんなに上手に読めるんですか」とか言われることもあります。

2020年10月13日に放送予定の今回は「お経を上手に読むこと」をテーマにお話します。

  • 「あっちのお坊さんはお経が上手だ」
  • 「こっちのお坊さんの声がいい」
  • 「そっちの寺の坊主は声が汚い」

こんな会話を法要や法事に来られるお檀家さんだけでなく、お寺の関係者からも何の気なしに聞こえてきます。

そんなことって重要なことなの?と私は思います。

良いたとえではないかもしれないけど、例えばキリスト教の儀式であの神父さんはお祈りが上手とか下手とか言うこともないし聞くこともないでしょう。

そりゃ言語が違うんだから上手いも下手もないでしょと思う人もいるでしょうが、それなら仏教のお経だって、1500年ほど昔に漢字で訳されていてかつ呉音や漢音で読んでいるんだから、お坊さんが読むのも現代日本人の私たちからしたら外国語と一緒でしょ。

なのに私たちはあのお坊さんの読経は上手だ下手だって言うのはおかしくないですか?

私はお経に上手いも下手もないと思っています。そんなの気にせずに読んだらいいんです。

お経っていうのは仏さまからの説法の記録です。

お経の文言を唱えさせていただくことで、仏さまからの説法を受けるのと同時に、仏さまの功徳やご利益を讃嘆するものです。

例えが変かもしれませんが、お経を上手に読めたら仏さまが救ってくれて、お経を上手に読めなかったら下手だったら仏さまは無視するんですか?仏さまってそんなに度量が狭いと思われているんですかね。お経の読み方の上手い下手で何か変わるんでしょうか。そんなことはないですよね。

ところで政治の世界・国会でお経読みって言葉がありますね。

政治家が法案の内容を説明するときに、原稿を見て、抑揚なくたんたんと棒読みすることがお経読みです。

あれって言い得て妙で、お経の読み方ってまさにそんな感じなんですよ。

お経は仏さまの説法の記録ですから、お経の読み手が勝手に感情をこめて極端な抑揚をつける必要はないんですね。お経はたんたんと聞かせるように読めばいいんです。

さてそうは言ってもお坊さん自身も「お経の稽古をする・練習をする」って言ってますよね。

お経に上手い下手はないって言いながら、稽古・練習するのはおかしんじゃないと思う人もいるでしょう。

いやそれは誤解でして、お坊さんは自分が属している宗派の作法というのをきちんと学ばないといけないから、お坊さんは読経の稽古・練習をしているのです。

同じお経でも、宗派が違えばお鈴を鳴らすタイミングが違っていたり声の大きさや速度や音の高低とか、いろいろ違っています。お経以外にも付随して和讃や念仏や回向など、節のついた読み物を宗派の作法にのっとって正しく覚えないといけません。

でもこれは宗派に属しているお坊さんだから稽古・練習しているのであって、一般のご門徒さんはそんな作法なんか気にする必要はまったくありません。

繰り返しますが、お経は仏様が説法された記録であり、私たちは自分たちが唱えてそれを聞きいただき、また仏さまの功徳や利益を讃嘆しています。

上手いも下手も気にする必要ありません。早く読む必要もないです。ゆったりゆっくりと読んだらいいんです。口に出すのが難しいなら、目で文字を追っても構いません。

香川の妙好の人。妙に好い人に山地願船という人物がいました。この願船さんもよそ様の家に上がって、仏壇の前でお経を読んでいました。

でも読み方がとにかくゆったり、そろりそろりと一句ずつ読むものでした。自分に言い聞かせるように読んで、また時には草の茎で一字一字を押さえながら読んでいたようです。

急いでスラスラとお経を読む必要は何もないと私は思います。当然上手い下手と批評する必要もないと思います。

仏さまからの説法としてゆったり一字ずつ読んだらいいと私は思います。それこそ写経をするように、一字一字を心をこめてゆったりと書くように読んだらいいと思います。

個人的な話ですが、なんでお坊さんってあんな早口何ですかね。

私ポッドキャストでとある浄土真宗お坊さんが読んだ仏説阿弥陀経を聞いてみたんだけど、おそろしく早いの。わずか5分で読んでて、私の2.5倍くらい早く読んでるの。正直途中から聞き始めたら、お坊さんでも今どこを読んでるのか分からないと思います。

お釈迦様があんな早口でまくしたてるように説法していると想像したら、私変な気分になります。

もっとなんていうか、仏さまから呼びかけられているように、味わいながら読んだ方がいいような気も私はします。

まあその宗派の作法というのがあるので、良い悪いの問題ではないですから、人のお経の読み方はなんでも構いません。

でもお坊さんはお参りの方々とともに、仏さまの説法・お経を一緒に聞きいただく役目もあるので、私はお参りの人のことを思えば、ある程度ゆっくり読んだ方がいいと思います。

今回の話をまとめると、お経の読み方、上手い下手は気にする必要はないです。

お坊さんは属している宗派の作法というのがあるので、読むお稽古・人に聞かせるお稽古をしていますが、皆さまは自分のペースで一字一字ゆっくりと読むので何の問題もありません。

仏さまからのお説法。仏さまの功徳・ご利益を讃嘆するようにほめたたえるように、味わいながらゆったり読みましょう。

上手い下手は私たち人間が勝手に言ってること。仏様からすればお経を読むのが上手い下手なんてどっちでもいいことです。

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重誓偈の読経音声

重誓偈
  • お経は長くて読みにくい。
  • 読むのに時間がかかって大変。

こんな声が聞こえてくるかもしれません。

浄土真宗や日蓮宗では読まないですが、262文字の「般若心経」は日常のお勤めに好まれているようです。浄土真宗の門信徒には般若心経の代わりに、220文字の「重誓偈(じゅうせいげ)」をおすすめします。

とにかく読みやすいだけでなく、浄土真宗の大切なお経典「仏説無量寿経」の中にある法蔵菩薩の偈文ですので、お経を読んでいることにもなると思います。

ラジオ番外編3では私の重誓偈の読経音声を収録配信しました。リンク先では、

  • 重誓偈の全文とふりがな
  • 重誓偈の現代語訳

をのせていますので、ぜひご確認ください。

読経に関すること

読経に関する内部記事

リンク先を少し説明しますね。

浄土真宗って「般若心経を読まない・写経しない」って聞いたことがありますか?

でもこれは正確ではなくて、「読んではいけない・唱えてはいけない」のではなく、「あえて読む必要がない・あえて唱える必要がない」っていうのがより正しい表現です。

浄土真宗ではなぜ般若心経をすすめていないのか3つの理由を紹介しています。

お坊さんがお勤めすることを「読経」と言いますが、読むものにも「経文」と「偈文」があります。すっごく簡単に言えば、経文は仏さまの説法で、偈文は詩です。なので偈文は抑揚をつけて読みます。

浄土真宗東本願寺派の阿弥陀経の読経

阿弥陀経の高速読経

ラジオで言ってた、とある浄土真宗お坊さんのめっちゃ早い阿弥陀経です。

読経音声は、浄土真宗東本願寺派の僧侶で、富山県黒部市の専念寺の副住職をしている畠山美佳子さんです。

浄土真宗東本願寺派とは
  • 京都の真宗本廟(真宗大谷派:東本願寺)から、1981年に独立した浄土真宗の宗派。
  • 東京都台東区西浅草にある東本願寺を本山とする。
  • 全国に末寺が300か寺余りある

ほんと私の読経音声と比べるとめっちゃ早いので、驚いています。ぜひ聞いてみてください。


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お経に書かれていること

仏説阿弥陀経の内容

お経は2500年ほど昔に、お釈迦様(釈迦如来・釈迦仏)、仏さまが仏法を人々に説いた記録です。「誰が・いつ・どこで・誰に対して」、ということがきちんと記録されています。

そしてお経の中身も、その人の悩みを解消するように、いろんな工夫をしながら仏さまが説いています。

浄土真宗の大切なお経に「仏説阿弥陀経」があります。文字数も2000文字なく、読みやすいため、日常よく読経されています。

リンク先では、仏説阿弥陀経に書かれていることをわかりやすく現代語訳してみたので、ぜひご覧ください。

それともう一つ、日本のお経の多くは「呉音」で読まれますが、阿弥陀経は「漢音」で読むことがあります。リンク先「なぜ漢音読みで阿弥陀経を読経するの?」ではそのことについて書きました。

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