改葬許可証が必要ない場面.#208

第208回目のラジオ配信。「改葬許可証」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ内容まとめ
  • ご遺骨に関する法律に「墓地、埋葬等に関する法律」がある
  • お骨を動かすときに、改葬許可証がいらないケースがある
  • 墓地の管理者が同じで、お骨の改葬先が同じ墓地敷地内であるとき
  • 火葬後の初めての納骨のとき
  • その他、法律で定められている改葬でないお骨の移動のとき
改葬の定義

この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。

墓地、埋葬等に関する法律の第2条の2より

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをする音声配信です。

墓じまい、お骨を動かす、改葬をするときは、改葬許可証の発行を役場でしてもらう必要があるということを、これまでに何度か話したことがあります。

ですが、この前、改葬許可証がいらなかったよというお話を受けました。

そうですね。確かに墓じまい、お骨を動かすとき、改葬をする際でも改葬許可証がいらない場面があります。

今回はどんなときに、改葬許可証が必要でないのかについてお話していきます。

なお、改葬許可証がいらない場面にはいろんなパターンがあります。その中でも改葬許可証がいらない主な2つの場面をまずは紹介していきます。

まず1つ目は、墓地の管理者が同じで、お骨の改葬先が同じ墓地敷地内であるときは、改葬許可証は必要ありません。

これだけではちょっとわかりにくいと思うので、例を挙げて説明していきますね。

例えば、私のいる寺円龍寺では、お寺の敷地内に墓地があります。

それと合わせて、私のところの寺の敷地内には、お骨を納められる建物、いわゆる納骨堂といわれる建物があります。

円龍寺敷地内のお墓のしまいをして、円龍寺の納骨堂に納める場合、改葬許可証は必要ありません。

つまりお骨を納める敷地が同じで、その墓地敷地の管理者も同じ場合、改葬許可証はなくて大丈夫というわけです。

ただし厳密なことをいいますと、改葬は場所的な移動を伴う大きな概念のことなので、ほんの数十センチお骨を動かす場合であっても、改葬許可証の発行が必要だとも言えます。

厳密には改葬許可証がいるんですが、お骨を納める墓地敷地が同じで、同じ管理者の場合、その管理者が納骨台帳といったものにお骨を動かしたいきさつを記録しておけば問題なかったりします。

なので、お寺のようにご門信徒の皆様によって永代にわたって支えられ続いている納骨空間は、この場合で言えば改葬許可証がいらないということになります。

続けて、改葬許可証がいらない主な2つ目の場面を紹介します。

2つ目の場面は、初めての納骨のときは改葬許可証はいらないです。

初めての納骨というのは、例えば49日、満中陰の法要が終わって、それまでご自宅のお仏壇近くに置いていたお骨を、納めるといった場合のことです。

ご自宅というのは、お骨を安置する場所、納める場所ではありません。

なのでご自宅からお骨を動かす場合は、改葬といわず、当然改葬許可証も必要ありません。

多くの場合、49日満中陰法要が終わってから、一周忌の法要のころまでにご自宅からどこかにお納骨されると思います。

その場合は、改葬許可証ではなく、埋・火葬許可証を新たな納骨場所の管理者に提出していきます。

以上、この2つが、改葬許可証がいらない、よくある主な2つの場面だと思います。

1つは、墓地の管理者が同じでお骨の改葬先が同じ墓地敷地内である場面と、もうひとつは、改葬でない初めての納骨の場面です。

さて続けては、改葬許可証が必要でないもう少し細かな

場面をいくつか紹介していきます。

そもそもですが、墓地埋葬等に関する法律では、改葬の定義が「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」とはっきり定められています。

つまりこの法律で定められているお骨の移動方法、改葬でなければ、改葬許可証はいらないわけです。

それを踏まえて、改葬許可証がいらない場面をいくつか紹介していきます。

例えば、お墓の墓石を修理、拡張する場合に、一時的にお骨を取り出す場合は、改葬許可証は不要です。

この場合は、お骨が一時的に移動しているわけですが、元々納めていた納骨場所にお骨を戻すことになるので、お骨は結局のところ動いていないことになります。

なので、お墓の修理、拡張、縮小といった場面では、改葬許可証はいらないというわけです。

分骨をするときも改葬許可証はいらなかったりします。

分骨とはお骨の一部を取り出して、別のところで保管し供養することです。

この場合、納められる大元の大部分のお骨はそのままで、本の一部のお骨が移動するということですので、お骨の改葬ということに当たらず、改葬許可証は不要です。

ただし改葬許可証がいらなくても、分骨をしたという事実はありますので、墓地の管理者は分骨があった記録をしますし、分骨の証明書も必要であれば用意しなければなりません。

他、改葬許可証がいらない例といえば、海や山、宇宙もそうですかね。そういった所に散骨をする場合は、改葬許可証はいらないです。

散骨というのは、墓地埋葬等に関する法律が想定していない弔い方であり、現状法律の文言がないグレーな存在です。

法律にないお骨の移動、改葬方法なので、自治体は改葬許可証を発行することができません。そもそも改葬許可の申請にはお骨を動かす先の管理者の受け入れ証明書を記入する欄がありますので、受け入れ先がないので、そもそも改葬許可申請が書けません。

散骨は法律がないので違法ではないのですが、間違っても個人の判断で遺骨をまかないでくださいね。日本には遺体の遺棄罪があって、これにはご遺骨も含まれています。なのでご自宅の庭といった身近な場所であっても、法律違反になります。

ちなみに自宅にお骨を引き取る場合も、改葬ではないので、改葬許可証はいらないです。

他、改葬許可証がいらない場合としては、滅多にないことでしょうが、医学的や歴史的な目的の場合、また事件性のある調査目的のときにお骨を取り出す場面でも改葬許可証はいらないです。

これは弔うためにお骨を動かしているわけではないからです。

こういったお骨の取り出し方はほぼないでしょうが、ご参考までに紹介しておきます。

それとこれもほぼないケースで、どちらかというと日本に住む外国人向けのお話ですが、土葬したご遺体を取り出して火葬して、また同じ場所にお骨を納める場面では改葬許可証がいらないとされます。

これも火葬後の初めての納骨という形でありますし、弔い方の形が変わっただけであり、きちんと元ある埋葬空間にて納められているので改葬許可証の発行は必要ないというわけです。

それと、ひとつうっかりしていました。

改葬のときに、お骨がないときは、改葬許可証がいらないというのを話し忘れてました。

墓地、埋葬等に関する法律で、改葬が収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこととはっきりと定義されているように、改葬の対象は焼いたお骨を指します。

なので、改葬をする際に、ご遺骨がない場面では改葬許可証がいらなかったりします。

ただし、これは墓地の管理者によって、考え方がかわるところだと思います。

というのも例えば、戦没者の納骨を例に考えますね。

過去の戦争や古い歴史の中で、大切な先祖の遺骨が納骨空間に納められていないケースが私の寺でもあります。

じゃあ、そういった場合、子孫がお墓の場所、弔う場所を移動したいときに、お骨がないからと改葬の手続きをしなくていいのかという場合があります。

たとえお骨がなくても、例えば、ご遺髪、髪の毛を故人のお骨に準ずるものとして扱い、お骨はないんですが、ここで間違いなく大切に弔い偲んでいますよと証明してあげるもんじゃないでしょうか。

そういったわけで確かに法律の定義ではお骨がない場合、改葬許可証の発行は必要ありませんが、私のところの寺円龍寺では、たとえお骨がなかったとしても、ご遺髪等をもって、お骨をお預かりしていましたとします。

改葬許可証が必要ないケースというのはだいたいこんなところでしょうか。

墓地、埋葬等に関する法律にある改葬の定義、「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」に当てはまる場面では改葬許可証が必要であり、それに当てはまらない場面では必要ないということです。

皆様が経験しそうな改葬許可証がいらない主な場面は2つで、1つは墓地の管理者が同じで、同じ墓地敷地内にお骨を移動、改葬する場面と、もうひとつは改葬ではない初めての納骨をする場面です。

他、改葬許可証がいらない細かなケースも今回お話しましたが、まだ他にも話していないことでも改葬許可証がいらない場面というのはあるかもしれません。

お骨の移動、改葬、墓じまいでよく分からない場合は、お骨を納めているところの管理者、またはお骨を納めているところの自治体役場に行って相談をして頂ければ、適切なアドバイスをしてくれると思います。

以上で、今回のお話、改葬許可証が必要でない場面についてのお話を終えます。

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