香川に住む僧侶のかっけいです。
先日18日に近畿地方大阪北部が震源の大きな地震がありました。震度6弱だったそうです。観測態勢が整った1923年以降において大阪最大の地震だそうです。
寺を預かる僧侶の私からしますと、地震というのは非常におそろしいものです。その理由は人的被害ももちろんのことですが、寺の倒壊も挙げられます。
仮に完全に本堂が壊れなくても、屋根瓦がずれ落ちたり、山門や塀などが倒れたりひびが入ったり漆喰がはがれたりと様々な被害があります。実際私も今回の大阪地震の後は自坊の様子をくまなく確認しました。幸いにどこも傷むことなく無事でした。
寺は建物が大きく屋根も重たいので地震にはそれほど強くありません。それこそここ数年の大きな地震を例に挙げますと、東日本大震災では3000近くの寺院と4000近くの神社・社に被害がありました。熊本地震でも1000以上あったようです。
歴史のある建物にとって地震は困ります。京都は特に大変なことになるでしょう。
京都も断層は多く、地震発生の可能性はある
京都地方気象台平成28年度に報告した京都府の地震活動によると、今後30年以内に京都でもマグニチュード7以上の発生すると長期評価しています。
ちなみに発生確率3%以上は主な活断層の中では高いグループに属し、 0.1%以上~3%未満の場合はやや高いグループとされます。
- 京都盆地ー奈良盆地断層帯南部:M7.4程度、確率ほぼ0~5%
- 琵琶湖西岸断層帯:M7.1 程度、確率1~3%
- 三峠・京都西山断層帯,三峠断層:M7.2程度、確率0.4~0.6%
- 三峠・京都西山断層帯,京都西山断層:M7.5 程度、確率ほぼ0~0.8%
- 三方・花折断層帯(中南部として):M7.3程度、確率ほぼ0~0.6%
- 生駒断層帯:M7.0~7.5程度、確率ほぼ0~0.2%
平成7年の阪神・淡路大震災の原因となった六甲・淡路島断層帯の一部を、地震発生直前に今後30年以内に地震が起こる確率を、あとから計算したところ、0.02〜8%と推測されたようです。0.1パーセントと聞くと非常に低い確率で地震の心配はないとイメージするかもしれませんが、実は十分発生する可能性があるのです。
例えば、統計的に日本では交通事故による死亡確率が今後30年以内に約0.2%とされていますが、なかなか自分が交通事故で死ぬとは思わないでしょう。そんなもんです。
歴史上、甚大な被害のあった地震もあった
歴史上、京都の土地柄は大きな地震が何度もありました。参考として京都市市民防災センターの災害の歴史を見てください。
それらの地震の中でとくに有名なのが、慶長元年(文禄五年,1596年)の慶長伏見地震です。マグニチュード7.5程度とされ、三条から伏見の間で被害が最も大きく、豊臣秀吉のいた伏見城も天守や石垣が大破したそうです。
もちろん京都周辺の寺院の諸堂が倒壊しました。例えば浄土真宗の1本山である興正寺では本堂が、本願寺は阿弥陀堂と御影堂が倒壊しました。
どれだけ立派な天守や、伽藍を持つ本山でもひとたび大きな地震があれば崩れてしまいます。本山興正寺の場合はすぐ再建されることなく、震災から12年後の慶長十三年(1608年)に再建されます。
寺社仏閣の建物は非常に厳かで立派な建物です。しかし巨大な地震があれば傷つき倒れてしまい、それこそ再建には多くの人の懇志や支えが必要です。
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さいごに。京都もそろそろ大きい地震が来そうな予感
歴史的に建物が数多くある京都には地震がきてほしくないものです。しかし現実にはありえません。日本全国どこでも地震の発生する可能性はあります。
それこそ京都は昔から大きな地震に見舞われます。おおよそ100年から150年の頻度で巨大な揺れにあっているように感じます。
直近の大きな地震では安政元年(1854年)に京都も大きく揺れたようです。震源地は京都ではありませんが、揺れた事実だけ見ると今から150年ほど前のことになります。
今の時代、お寺の伽藍を一から建てるというのは金銭的に難しく、多くの歴史的建物がある京都は震災の被害で壊滅的なダメージを負うのではないだろうか。観光客による拝観料で護持されている寺社仏閣も多いでしょうから、建物を失うのは痛手となるかもしれません。