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第230回目のラジオ配信。「法事をずらす」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。
2024年の春にもなると新型コロナウイルスが理由で、イベントが縮小・中止になることはほぼなくなりましたね。
私の住んでいる丸亀市ではつい先日、丸亀城さくら祭りがあって、コロナ前のように屋台や露店が並ぶようになりました。もちろん城内での飲食も可能でした。お隣の多度津町でも県立桃陵公園でさくらまつりが開催されて、広場ではコンサートやダンスの演劇があったり屋台やキッチンカーが来ていました。
もう世の中、コロナ前とほとんど同じ感じに見えます。
法事やお葬式の形もだいぶ元に戻ってきているように見えます。
それでコロナ禍5年目の今年、法事の「勤めなおし」というのを、お坊さんの私はいくつか経験しています。勤めなおしというのは、新型コロナウイルスがひどく流行していた時、満足にできなかった法事を、今改めて勤めなおしているということです。
コロナ禍1年目や2年目の時は、遠方から・県外からのお参りを断って家族数人のみで、それも法事というよりも祥月命日みたいなお勤めという本当に簡素な仏事で済ませる家も多かったです。今では人の集まりも県をまたいでの移動もお食事も何の制限もありません。法事も以前のようにできます。
それで年忌の年は過ぎているんだけども、他の人の年忌の法事に抱き合わせる形で、故人の年忌のお勤めを再度改めてみんなで集まってするっていうのが最近あります。
ついこの前だと3年ずれた52年目だけど50回忌の法事を25回忌の年忌法事と抱き合わせてしました。また2年ずれたけど25回忌の法事の勤めなおしを、3回忌の年忌法事と抱き合わせてするケースもありました。
さて、前置きの話が長くなりました。
今回のお話のテーマは、法事はどれくらいならずらして勤めることができるのか?について話していきます。
この手の話はコロナが流行るよりずっと以前からある話題で、ご命日の年忌が近いとあの人とこの人を一緒に抱き合わせて法事をしたいんですけど、ずらしてもいいのはどれくらい、何年くらいなら大丈夫でしょうかという相談を受けてきました。そういった何年くらいなら早めたり遅らせたりできるのかをお答えします。
さてまず前提の話として、法事は年忌の年に勤めるのが基本です。
年忌の年はお住まいの地域や仏教宗派によって違うかもしれませんが、私のところで言えば、亡くなって次の年の一周忌、三回忌、七回忌、十三、十七、二十五、三十三、五十とあります。
年忌は亡くなった人をご縁として、亡き人を偲び、仏さまを敬い、仏法にであう場であり、その年忌のあたりの年に勤めるのが大前提です。
なので本来は七回忌の人はそのあたりの年にするものであり、六や八の年につとめません。
ただそうは言っても、世の中の状況やそれぞれの家庭の状況によっては、年忌の当たり年に満足に法事ができないことだってあるでしょう。あるいは先祖の年忌法事が数年にわたって連続であるので、ある程度抱き合わせて一緒につとめたいということもあるでしょう。
法事というのは、お参りの人が負担にならないように、それでいて大勢の人がお参りできるようにしなければなりません。なので、何度も何度も法事が続くことで施主やお参りの人たちの負担になるのであれば、ある程度、年忌の年をずらしてもOKと考えるお坊さんは多いと思います。
それで実際のところ、どれくらいならずらしてもいいのでしょうか。
これは完全にその法事の導師を勤めるお寺のさじ加減によります。
参考として、私のいる寺、円龍寺の場合を例に挙げますね。
私のお寺の場合は、年忌の年が浅い場合はあまり大きくずらさないようにと言っています。例えば、一周忌や三回忌であればその年に勤めるように言います。どれだけずらしても前後半年以内に収めるように言います。
一方で、年忌が進めば年単位でずらすこともありえます。例えば、七回忌や十三回忌、十七回忌なら、前後一年はずらしてもいいでしょう。
前後一年のズレってあんまりずらしていないように感じるかもしれませんが、実際は年忌の当たり年を含めて、法事をつとめる日に三年も幅があるのでかなり融通が利いています。
二十五回忌や三十三回忌なら前後2年ほどでしょうか。五十回忌なら前後3年ほどでしょうか。
私のお寺の場合でいえば、どんなにずらしても3年が限度になるでしょう。
やっぱり年忌法事の年がハッキリ決まっていることで、次のこの法事までは元気でいよう、またみんなで集まろうといったそれぞれの目安にもなるので、ちょっと都合が悪いからといって三年も四年も五年もずらすというのはなかなか考えられません。
そういったわけで、話をまとめると、一周忌や三回忌のような亡くなってからの年数が浅い場合はあまりずらしすぎないこと、ずらすにしてもまあ半年以内にすること。年忌が進むと一年や二年くらいならずらしてもOKかなあと考えるお坊さんも多いと思います。
どうでしょうか?
法事をどれくらいならずらしても大丈夫かについてなんとなく分かりましたでしょうか?
先ほどもいったように、それぞれのお寺のお坊さんのさじ加減によるところでもあるので、法事の日を決める場合は必ずそのお寺さんに相談して決めてください。
さてそれと補足事項も2つお話していきます。
一つ目の補足は、法事は後にずらしてもいいのかということです。これは212回目の配信でもお話しましたが、浄土真宗の場合、法事の日が後にずれるのは気にしません。
浄土真宗のお坊さんの私は他の宗派についてはよくわかりません。
浄土真宗の場合、故人の冥福のため、追善の供養のためという理由で、法事をしているわけではありません。
法事を通してご仏縁に出あう意味があり、できるだけ多くの人にお参りいただきたいわけです。
なので理想はご命日その日にすることなんですが、多少は前後にずらしても問題ないと考えているわけです。ご命日より後になって法事をしても浄土真宗の場合は問題ありません。
そういう点で、今回の例えば二十五回忌を前後に2年までならずらしてもいいかなあというのだと、5年も融通が利くということになります。
あんまり二年もずらすのはどうかとも思いますが、よっぽどの事情があればお坊さんも納得するかもしれません。ひょっとしたらずらしすぎと言われるかもしれません。
二つ目の補足は、年忌のあたりをずらして抱き合わせて法事をする場合、必ずメインとなる人の年忌法事はずらさないことです。
例えば、今年七回忌の人と来年二十五回忌の人の法事があったとしますね。そういったケースで、二十五回忌の人を一年引きあげて七回忌の年忌法事と抱き合わせてするというのはOKです。
一方で、例えば再来年が七回忌のあたりの人と来年二十五回忌があったとしますね。こういった場合、七回忌の人を2年早めてずらして二十五回忌の人を1年早めてずらし一緒にしようとするかもしれませんが、こういうのは断られるかもしれません。
法事は当たり年にするのが基本であり、抱き合わせてする場合、かならずメインとなる法事の方にどちらかが合わせにいく形でします。
どちらもずらしてするというのは、まあダメです。
それで法事の核となるメインはなるべく亡くなってからの日が浅い方が基本となるでしょう。
仮に七回忌と二十五回忌の法事があったとして微妙にズレているのでどっちかを合わせたいとしますね。
そういった場合、七回忌の方をメインにして二十五回忌の方をずらすようにと私のところは言います。
どっちの年忌法事の日も1年も2年もずらしていいよとは私のとこは言えません。
必ずメインに合わせるように抱き合わせる形で法事の日取りを決めていただけたらと思います。
以上2つの補足でした。
- Qどんなときでも合わせて法事をしていいのか?
- A
一周忌や三回忌の年忌法事は、なるべくその故人一人のご仏縁として勤めることをすすめます。
年忌が進み十三回忌や十七回忌以降になると、どなたか他の年忌法事と合わせて勤めてもいいでしょう。
年忌法事の年がたまたま重なった時は合わせて法事をしてもいいですが、年をずらしてまでして合わせて勤めようとするのはあまり勧めていません。
法事はなるべく故人その人個別にすることを勧めます。
「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。