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お仏飯.ラジオ#156

第156回目のラジオ配信。「お仏飯」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ「お仏飯」内容まとめ
  • お仏飯は仏さまにお供えするご飯のこと
  • お仏供、お仏餉とも
  • 仏さま参りのときには必ずお供えする
  • めぐみに感謝する気持ち
  • パンでもいいとは思う
  • でもできれば、炊いたご飯をお供えする

かっけいの円龍寺ラジオ

この番組では香川の浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いお話をするラジオです。

2022年10月4日配信の今回は仏さまにお供えする「お仏飯」について質問をいただいたので、それにお答えするお話をします。

ちなみにお仏飯については、2020年4月28日配信の39回目でもお話しているので、後でそちらも聞いていただけたら幸いです。

さて皆さまは、お仏飯とは何なのか、ご存知でしょうか。

知らない方も多いのではないでしょうか。

お仏飯とは、仏さまにお供えするご飯のことです。私の宗派では、仏とご飯の飯で、お仏飯といいますが、他の仏教宗派では、仏と供えるでお仏供(おぶく)、食べるという食へんに向かうの文字のお仏餉(おぶっしょう)という言い方もあります。

お仏飯、お仏供、お仏餉と、仏教宗派によって表現は違いますが、どの仏教宗派も仏さまに必ずご飯のお供えをしています。

そんな風に、お仏飯は大切なお供えなのですが、実際に、お仏壇にお参りにしますと、お仏飯をされていない家が多いように感じます。

そうですね。祥月命日参りでは、4割ほどでしょうか。半分以上の家で、ご飯のお供えを忘れています。

年忌法事といった皆さんが集まる大切なお参りでも、お供えされているのは7割8割くらいでしょうか。

あと2割ほどの家は、説明してもお仏飯ってなんですか?と、寺のご門徒さんの家でも、そもそもお仏飯のことを知らなかったりします。

お仏飯のお供えをする意味は、私たちが人間が生きていく中で、肉や魚や野菜など、いろんなご縁・いろんないのちを頂いている糧の中から、古くからの主食であるお米をめぐみに感謝する気持ちで仏さまにお供えするものです。

さてそれで、いただいたご質問は、「ご飯を炊いて食べる機会が少ないです。我が家ではパンの方をよく食べるので、パンをお供えしてもいいですか」というものでした。

39回目のラジオでも「ご飯の代わりにパンをお仏飯としてお供えしてもいいのか」と同様の質問をいただいて、お答えしていますが、もう一度お答えします。

これは仏教宗派、お坊さんによって、答えがわかれるかもしれませんが、私はパンをお仏飯の代わりにお供えしてもいいとは思います。ただしできることなら、ご飯の方が相応しいと思うので、お坊さんがお参りに来るときや、ご親戚があつまる法事のときは、ご飯を炊いてお供えしていただけたらなあと思います。

さて最近こんな経験がありました。

ある家の年忌法事にお参りしたところ、お花やおロウソクなどのお供えがしっかりできていたのに、お仏飯のお供えだけがありませんでした。

お仏飯はお仏壇の中心の仏さまの前に置かれるので、お仏飯がないとそうとう目立ってしまいます。

そこで、私はまだお勤め開始までの時間があったので、もしご飯が炊けていたり、余りがあれば、お仏飯のお供えができますか?と家の方にお願いしました。

すると、その家の方はご飯の炊いた残りはなく、おうどんさんならあるので、おうどんをお仏飯の代わりにお供えしてもいいでしょうかと尋ねてきました。

パンの質問はときどきありますが、おうどんで聞いてくるのは初めてでした。本当はご飯が一番ふさわしいのですが、ないならおうどんでもいいと思い、その法事ではお仏飯の代わりにおうどんさんをお供えすることにしました。

どうやって盛り付けるのかなあと思ってみていますと、上手いこととぐろを巻くようにぐるぐると、ねじりながら、山のようにお仏飯の器に盛り付けていました。

おうどんでも上手に盛り付けたなあと感心したところです。

お仏飯の形は仏教で最も尊い花であり、阿弥陀様のお浄土の世界の花であるハスをイメージされています。

私の宗派では、ハスの蕾のような円錐型と、ハスの実のような円柱型の2種類の盛り付け方があります。

ご飯のお仏飯の場合、円錐型と円柱型の盛り方は慣れれば簡単にできますが、よくおうどんで、上手に盛り付けたなあと感心しました。

一方で、パンの場合はどうでしょうか。

パンだとなかなか円錐や円柱の形で、仏さまのお浄土をイメージしてお供えするのは、難しいのではないでしょうか。

ちなみに余談ですが、仏さまにお供えするお仏飯は炊いたご飯とよく言われますが、必ずしも白米というわけではありません。

ご家庭によっては、法事の時にお赤飯のお仏飯をされる家もあれば、黒豆ご飯の家もあります。

あるいは仏さまの正面のお仏飯器には白米をお供えして、お仏壇の下の方に、お皿にバラ寿司を盛ってお供えされている家もあります。今の時期だと栗ご飯をお供えする家もあるでしょうか。

仏さまにご飯をお供えするのは、主食だからという理由だけでなく、ご縁やいのちのめぐみ・感謝という気持ちが大事なのですから、法事といった大切な場では、普段ご飯を食べていないから、パンでいいですかではなく、ご飯を炊いて、仏様周りのご準備をされたらいいのではないかと思います。

日本人の主食がご飯からパンに移ったと思われる人も多いと思います。

たしかに、消費金額では、パンの方がご飯の倍以上、お金を消費しているようです。

一方で2021年の農林水産省の調査では、主食の割合で、ご飯の消費量は41%、パンは18%、麺類は14%と、2021年の直近のデータでも、消費量はご飯の方がまだ倍以上多いようです。

いやいや、それでも我が家ではパンが主食なので、パンのお仏飯にしますというご家庭もあるでしょう。

もちろんパンのお供えでもいいとは思います。

しかしどうでしょうか。

やはりまだまだ日本人にとって、ご飯は大切な食べ物だと思います。

それは言葉遣いの中にもでてきます。

香川ではうどんのことを「おうどんさん」という人もいます。「おうどんさん」でなくても「おうどん」という方はかなり大勢いるでしょう。

おうどんが暮らしの中に溶け込み、香川の風土の中にだいだい受け継がれてきたものとして、大切な食べ物、めぐみとしての思い、親しみがあるのではないでしょうか。

ご飯もそうです。

私のいるところは寺です。

小さいころからお仏飯のお供えをするときには「ごはんさんをあげる」という表現をしてきました。

「ご」だけでなく「さん」と、大切な物だからと、自然と丁寧に、そして親しみを込めて「ごはんさん」という言葉が出てくるのでしょう。

他にもご飯の食べ物だと、「おかゆさん」や「おぞうすい」、「おにぎり・おむすび」、「おせきはん」などといろんなご飯の食べ物は丁寧な言葉がでてきます。

やはりこれらは、私たち日本人にだいだい受け継がれてきた大切な食べ物、めぐみという思いがあったからではないでしょうか。

私の家ではパンが主食だからパンをお仏飯の代わりにお供えしたいというのは、もちろんOKなのですが、はたして本当にごはんさんのように、私たち日本人にだいだい受け継がれてきた大切な食べ物という思いがあるのでしょうか。

今、私がメインに食べているのがパンだから、ご飯を炊かずにパンをお供えするというのではなく、仏さまにお参りするときは、これまで私につながるいのちとして供えられてきたお米を私もお供えしていくのが、「お仏飯」だと思います。

今後100年後、200年後では、パンの方が日本人の主食になっていて、時代を先取りするつもりでパンのお仏飯にされてもそれはそれでいいですが、まだ時期尚早な気もしますので、ご飯の方が相応しいとお坊さんの私は思います。

今回は日本でのお話をしましたが、仮に外国人からお仏飯の代わりに「○○」をお供えしてもいいですかと、質問されたら、今回と同じような返答を私はすると思います。

あなたの国で、だいだい受け継がれてきた大切な食べ物であり、いのちのめぐみ、ご縁に感謝する食べ物なら、ご飯でなくてももちろんいいと思います。

豆なら豆でいいですし、芋なら芋でいいですし、モロコシならモロコシでいいと思います。

以上で、今回のお仏飯のお話を終えます。

お仏飯に関すること
  1. 浄土真宗では仏前に一対(2つ)のお仏飯をお供えする
  2. 浄土真宗のお仏飯の盛り方・飾り方
  3. お仏飯とパンラジオ39

リンク先の記事では次のことが書かれています。

  1. 浄土真宗ではお仏飯を2つお飾りする。その理由は、阿弥陀仏と釈迦仏の2尊に対して供えているから
  2. お仏飯には、蓮莟形(ハスのつぼみ)と蓮実形(ハスの実)の2つの盛り方がある
  3. 同じテーマでお話した前回のラジオ配信。
お寺でお供えするご飯の量

おそらく一般ご家庭でお供えするご飯の量は、一口サイズぐらいのほんの少量だと思います。

ですが、お寺でお供えするお仏飯の量はとっても多いです。私の寺では一度に3合のお米をお供えします。

宗派によって作法は違うでしょうが、私のところでは、「口」のついた像にお供えすることとなっています。ですので一か所だけでなく、複数個所にお供えします。

当然、ご本尊の阿弥陀如来だけでなく、宗祖親鸞聖人像の前にもお供えします。

その3合のお米は、春や秋の寺での法要のときに「御仏飯米」として、ご門信徒の皆様のお供えによって支えられています。

私の宗派では、位牌にお仏飯は供えません。「口」がついていないからです。

「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。



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