こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。
最近では法事を勤めてもお参りの人が少なかったり、ご高齢な方ばかりでだんだんと寂しいお勤めになってきております。
そして僧侶の私にとって意味不明なこととして、33回忌や25回忌が最後の年忌法要だと勝手にとらえられていたり、もっと言えば、3回忌も勤めない家庭も出てきています。
まあ今日はそのような話はおいといて、年忌法要を勤めるにあたって、参列者を案内する文章について紹介します。
年忌法要の案内状とはそれほど難しいものではないのですが、
参列者が減ったりしていることから、ついつい電話で済ませがちになっているそうです。
しかし丁寧にするならやはりお手紙・案内状・はがきでの連絡と出欠確認でしょう。
実際に私が先代住職の年忌法要を勤めるにあたって送った案内状を交えて紹介します。
実際に送った年忌法要案内状
法要のご案内
謹啓
刻下、皆様におかれましては、益々ご清栄の段お慶び申し上げます。
さて、次の通り亡き父、○○の□□年忌法要を営みたくご多用とは存じますが、ご出席賜りますようご案内申し上げます。
記
一. 法要 円龍寺第二十二世、□□年忌法要
法名 釋△△
一. 日時 平成 年 月 日(曜日)
午前十時半 集合―――庫裏
午前十一時より 読経開始―本堂
昼十二時 読経終了 のち会食
以上
特記
(一)前泊をご希望の方は、簡素なビジネスホテルで申し訳ありませんが、よろしければ当方にてご用意致します。ハガキにてお知らせ下さい。
(二)法要開始前に讃岐うどんの準備を致しております。
合掌
円龍寺
御案内者各位
文章の構成
案内状の文章構成には特別な決まりはありませんが、人に内容をお知らせするために分かりやすく、伝えたい要点を簡潔にまとめてあげた方が親切ではあります。
- 案内状のタイトル
- 手紙の冒頭の挨拶
- 時候の挨拶など
- 年忌法要のご案内本文
- 誰のいつの年忌法要か
- 日時・場所・進行は
- 前泊の有無の確認やその他注意事項
- 結びの一言
- (施主)誰それが送ったのか
文章構成の解説
1.案内状のタイトル。
お手紙なら何でも当てはまりますが、まず初めにこのお手紙の内容を表すタイトル(題)を書きます。
今回は「法要のご案内」としました。
これぐらいシンプルなものでよく、少し長くするなら「○○年忌法要のご案内」でいいでしょう。
2.次に手紙の冒頭の挨拶を書きます。頭語。
よほど親しい人でない限りは必ず挨拶をつけるべきです。
しかし親しい人であっても礼儀を尽くすのが当然でもあるので、最初にきっちり挨拶しましょう。
使われる言葉の種類はたくさんありますが、基本的には「謹啓」か「拝啓」を使うのが無難ですね。
3.冒頭の挨拶が終われば、次は時候の挨拶などをします。
時候の挨拶もいろいろありますが、今回は年中いつでも使える言葉として「刻下(こっか)」を使いました。ビジネスで使う「時下」と同じ意味で、「今現在」や「このところ」という意味です。
時候のあいさつの後は、手紙の相手の安否を気遣うのがマナーですね。
これも使われる文章が多いのですが、今回は「皆様におかれましては、益々ご清栄の段」にしました。これでないといけないものはありません。「ご健勝」も多いかな。
状況によってはもっと挨拶してもいいんですよ。
特に一周忌や49日法要などの直近でいろいろと顔を合わして手伝ってくださった方々には、より丁寧に挨拶をした方がいいでしょう。
その場合は感謝の気持ちを示すために、「ご指導をいただき熱く御礼申し上げます」などのお礼の挨拶をしましょう。
私が以前送った年忌法要の案内状では、「日頃、ご無沙汰ばかりし、失礼の段お詫びいたします」とお詫びの挨拶をしました。
4.さて、挨拶も終わったので本文に入りましょう。
さて、今回は挨拶を簡潔に終わらせました。時候の挨拶と安否を気遣う言葉でした。
この案内状の本題に入ります。
伝えたいことは明確に簡潔に。
- 誰の何年忌法要を勤めたいのか。
- 出席していただきたいことを示す。
今回は後の文章で日時・場所を別記したので本文では省略しました。
またこの本文の最後で「敬具」とお手紙の内容を締めくくることもできます。
私の場合は、まだ後ろに特記として文章が続くので締めくくってはいません。
5.【本文の補足事項】故人の法名と何年忌法要か。
本文の中で紹介されている場合は、重ねて説明する必要はありません。
ただ私は本文の中で説明すると読んだ人の見落としがあってはいけないので、このように左記として説明するのが好みです。
- 年忌法要する故人の俗名や法名を紹介
- 何回忌の年忌法要なのか
6.法要の日時・場所・進行を説明。
これも5で説明したことと同じで、本文で説明してあれば、繰り返し説明する必要はありません。
平成何年何月何日(何曜日)の何時から法要が開始されるのか。
法要場所はいったいどこなのか。
お寺なのか、自宅なのか、会館なのか。
参列者が知らない場所であるなら住所も記してあげるべきです。
そしてもしも施主がわかっているのなら法要の進行を説明したら親切です。
- お勤めの開始時間
- 参列者が集合する目安の時間
- 法要が終了するであろう時間
他にもお墓や食事処など立ち寄るところがあれば、その場所や移動方法を案内しましょう。
7.法要の案内が終われば、その他注意事項の紹介。
これは無理に書くことではないですよ。
その他の注意事項があれば記すことです。「特記」や「追記」と書けばよろしいでしょう。
ここに書く内容は色々です。
今回私が書いたことは、
- 施主が代わりにホテルや乗り物を手配する内容。
- 法要開始前には讃岐うどんの軽食があること。
法要をする場合には、参列者のことも考えないといけません。
遠方にお住まいの方やご高齢の方で、こちら香川県の宿泊場所の確保や移動が困難な場合には、施主が代わりにホテルや乗り物を手配する必要もあります。
また法事の後は会食をするのが一般的ですが、開始前にも食事を振舞ったりします。
軽食の内容は地域によって違いますが、ここ香川ではうどんを振舞うことが多いです。同じ香川県でもお寿司やお赤飯もしくはサンドウィッチなどを出すこともあります。
宿泊場所・移動手段の手配や軽食の案内以外に記すことは、例えば、法事の後で立ち寄る場所への乗り物の手配や、何月何日までに出欠はがきの返信をお願いするかなどがあります。
8.結びの一言。結語
私はお寺の人間なので、最後は「合掌」で締めくくりました。
一般的には冒頭の挨拶(頭語)が「拝啓」や「謹啓」で始まれば、結びの言葉(結語)は「敬具」や「敬白」が無難です。
他にもいろいろな言葉がありますが、正しく使い分けができていなければ相手に違和感を受けさせてしまいますので、無難にいきましょう。
9.誰(施主)が送ったのか記す。その他。
手紙の最後には差出人(施主)の名前を書きましょう。
今回はいつごろにどのような内容のお手紙を送るのかを口頭で伝えていましたので、一言「円龍寺」とだけ記しました。前回はフルネームで記していました。
初めての年忌法要の場合はフルネーム・連絡先(電話番号)・住所・送付時期を記すのが丁寧です。
送付時期は「平成何年何月」と日単位まで記す必要はありません。
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さいごに、手紙の構成は単純。
どうでしたか。
案外案内状の構成自体は単純なものでしょう。
普段送るお手紙と一緒で、
- 冒頭に挨拶をすること。
- 最後は締めくくること。(結語)
- 本文をわかりやすく伝えること。
- 場所や日時、何の法要かを記すこと。
- 注意事項
- 送り主・連絡先
とこれだけです。
文章の言葉遣いは、各人各様がそれぞれの判断で決めればよろしいことです。
補足として今回送った年忌法要の案内状は、案内状を送る前から何度もいつ頃に誰それの何回忌の法要をお勤めすることを口頭で案内していたので、文章自体も簡潔なものにしました。
またこの案内状とは別に出欠確認はがきを添えており、ハガキの方に出席者の人数や何月何日までに送り返すのかを記していますので、案内状の方はよりシンプルな形で仕上げることができました。
お寺さんが実際に送った年忌法事の案内状ですので、ぜひ参考にしてください。