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第224回目のラジオ配信。「高野山の入山税」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県丸亀市にいるお坊さん、私かっけいの音声配信です。
この音声を録音する今日、和歌山県高野町で入山税というものを検討しているというニュースがありました。
和歌山県高野町といえば、世界遺産に登録されている高野山が有名な場所で、高野山と言えば、弘法大師空海が今からおよそ1200年前に開いた真言密教の聖地ともいえる場所ですよね。
そんな場所で入山税、山に入るお金の徴収を今後、お願いするようになるかもしれないとのことです。
そのニュースを聞いて香川の浄土真宗のお坊さんの私が思ったことを短くお話していきます。
まず最初に思ったのは、必要であるなら入山税はお願いした方がいいと思います。導入に賛成の立場です。
高野山は真言密教の聖地でもあり、年間およそ150万人が訪れる観光地でもあります。
一方で、高野山のある高野町の人口は3000人もいないので、そこの町やお寺のお金だけでは、観光客を受け入れる維持費運営費を賄うのもそうとう難しいことでしょう。
ニュースによると、入山税の金額は書かれていませんが、似ている例として、同じく世界遺産のひとつ、広島県の宮島、厳島神社のあるところですね。あの宮島に入る時の訪問税100円を紹介しています。
仮に100万人に100円のお金をいただいても1億円です。もし、それで高野山の駐車問題、トイレ問題、警備問題、環境美化問題の解決の助けになるなら、金額はどうなるかわかりませんが、入山のお金を集めてもいいと私は思うところです。
でも500円や1000円のような金額だと、ちょっと考えてしまいますね。宮島のような100円なら、ワンコインで協力しやすいと思います。
それで仮に入山税を徴収するようになったら、観光客が減るんじゃないのかという問題も考えられますよね。
それはやっぱり金額とのバランスではないでしょうか。
広島にある世界遺産の宮島は昨年2023年の10月から訪問税100円を徴収するようになりましたよね。島に行くための往復のフェリー代金400円に100円をプラスした500円を払います。
それで私は昨年の10月に、訪問税をとるようになってすぐの宮島に行ってきましたが、やっぱりすごい数の観光客でした。日本人だけでなく外国人もたくさんいました。
実際に観光客の数が減ったのか、変わらないのか、それとも増えたのかは、詳しいことはのちのちのデータでわかるんでしょうが、私の体感では、100円のプラス料金でも、観光に来られる人数はそう変わらないのではないかと思います。
その100円で、観光客のための駐車場やトイレや環境美化などに役立つのであれば、これは世界遺産の高野山を維持継続していくためにも導入したほうがいいんじゃないと思うところです。
ちなみに沖縄県のとある町でも訪問税2000円を検討しているところがありますが、これは高すぎるんじゃないのかと、けっこう反発があるようですね。
東京都の宿泊税が100円や200円、温泉に入る入湯税が150円と、100円ほどの金額設定が観光客にとってご理解頂きやすい金額じゃないかなあと思います。
なので、高野山の入山税がどれくらいの金額になるのかはまだ不明ですが、仮に100円であるなら宮島のように多くの人に納得していただけると思います。
ただし高野山の入山税を導入する点について、私はひとつ懸念点があります。
それはいったいどこでどのような形で入山税の徴収をするのかということです。
宮島の場合はフェリーに乗らないと島に行けないので、訪問税の集め方は、フェリー料金に100円を追加するだけなので手続きも支払いもシンプルで簡単です。
一方で、今まで高野山は入山にお金をとっていません。
車だと高野山の中まです~と入れます。
今までとっていなかったのに入山税を徴収するためだけのゲートを設けるとなると手間もかかり不便に感じますし、そのための余計な経費もかかるでしょう。
入山税の徴収の仕方がけっこう難しいように私は感じます。
手続きを面倒にすると、観光する気分もそがれると思うので注意してほしいところです。
ちなみにこの宮島の訪問税や高野山の入山税というのは、宗教法人のお寺や神社がしているものではありませんよ。
これは法定外税といって、地方の自治体が条例で定めて独自に集めるお金のことです。
なので宮島の訪問税は、宮島のある廿日市市が制度として行っているものであり、高野山の入山税も高野町の自治体が独自にするものです。
なのでお寺がする宗教活動とはまったくの別の話です。
そういうわけで、高野山にあるどこか特定のお寺の拝観料や駐車料金に入山税分を上乗せするとか、そんなことはできないでしょう。
だから高野山の入山税の徴収はいったいどういった形で実現するのか気になるところですし、私の中での懸念点です。
さいごにまとめに入ります。
あまり全国的に見ても、観光客に対してこれまでのお金にプラスしてお金を徴収することはなかったと思います。
もちろん東京や大阪の宿泊税や京都市の古都税など、50円や100円や200円ほどと、あまり意識していなくてもすでにお金を追加で払ってきていることもあります。
地方は人口が減少しているなかで、インバウンドの観光事業も頑張らないといけません。
観光に来られる方が気持ちよく過ごしていただけるように、またその場所が持続可能な場所であるために、100円でもお願いできるのであれば、導入していく方がいいのではないかなあと思います。
もちろん金額の大きさや集め方によって、賛成反対どちらの声もある難しい問題だと思います。
世界遺産の富士山も入山料1000円を任意で集めていますが、どうやらこの夏から一部のルートでは、2000円の支払いを義務化するようです。
急に2000円は高すぎるような気もしますが、観光や自然やその他いろんなバランスを考慮してでの金額なのでしょう。
高野山の入山税は2028年までの導入を目指しているようですが、徴収の仕方や金額など、将来を見据えて慎重にすすめてほしいところです。
浄土真宗のお坊さんの私は、真言宗の聖地である高野山にはまだ行ったことがありません。
今年か来年にでも行こうと考えています。
新型コロナウイルスも収まってきたことですし、観光客であふれる前にお参りしたいですね。
古都税は現在ありません。
古都税は昭和の終わりごろの数年間だけ、京都市であった法定外税です。
一部の神社仏閣の拝観料に、大人50円・子ども30円がプラスされていました。
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