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第264回目のラジオ配信。「香炉の灰」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。
ご門徒さんのお仏壇のところでお参りをしていて、お香がたかれている香炉をみて、ときどきどうしてかなあ〜と気になることがあります。
なんで香炉の中に灰をあんなにたくさんいっぱいいっぱい入れているのか気になります。
今回は、香炉の灰の高さ、入れる量についてのお話です。
香炉とはお香、お線香を焚く入れ物のことですよね。香炉の中には灰が入っています。
その香炉の灰をすりきり一杯ぐらいまで、大量にいれていることがごくまれにあります。なかにはあふれるほど山盛りにしている人もいます。
あれって、なんでなんでしょうかね。不思議です。
すりきり一杯・10割はいかなくても、灰が香炉の9割くらい入っているのをご門徒さんとこのお仏壇で見かけます。
浄土真宗のお坊さんの私からすると、香炉の灰はもっと少なくてもいいのになあと感じます。
ただしですね。逆に香炉に灰が全く入っていないのもダメですよ。
最低でも香炉の底が見えなくなるくらいは灰をいれましょうね。
さてそれで香炉の灰はなんのためにあるのでしょうか。
これは火鉢に入れる灰と用途的には同じだと思います。
火鉢の灰の役割は、炭の熱が火鉢に伝わるのを和らげる断熱のためです。
もし灰が入っていないと、香炉にお香・炭(香炭)の熱がダイレクトに伝わり、手で持てないほど高温になるだけでなく、香炉が割れるといった危険性もでてきます。
そういう理由で香炉に灰をいれます。
香炉の灰は清潔な灰であればなんでもいいです。
昔だと、お風呂場の焚口やかまどの灰を使っていたと聞きます。ここの灰は、毎日木を燃やすところだから、灰が清潔できれいだからお仏壇の灰にぴったりだったそうです。
今ではお仏壇屋さんにいけば、家庭のお仏壇サイズなら数百円で手に入ると思います。
それで私の思う灰の量は、香炉の中の深さの半分くらいで十分だと思います。5割くらいですね。
正直、底が隠れるくらいであればいいので、3割でも十分香炉の灰として効果的だと思います。
さて、それで私の疑問、なぜ香炉の中に、灰をたっぷりと、山盛り一杯入れる人がいるのでしょうか?
考えてみました。
おそらくお線香を立てるためではないでしょうか。
お線香を立てる人は、線香を灰の中にぐっと押し込んでいるように見えます。
だから灰の高さをしっかりと確保して、深く挿さなければならないのでしょう。
だたしですね。浄土真宗ではお線香は立てません。香炉の中で寝かせてお供えします。
だから、浄土真宗のご門徒さんは、線香を立てるといった理由で、灰をたくさん入れる必要はまったくないです。
それと最後に、香炉の中の灰は時々掃除することを心がけましょうね。
掃除の仕方は簡単です。
香炉の中の灰をすくってふるいに掛けるだけです。
灰の中に混じった残りかすなどをふるいで取り除き、ふるいから落ちた灰はまた香炉に戻していただいてOKです。
もちろん新しい灰と入れ替えるのもいいですが、ふるいにかけて再利用する方がエコですよね。
香炉の灰をふるいにかけて新しくしますと、寝かせたお線香も安定して燃えますし、お線香や炭がついているときに、異物が焦げるような変なにおいが発生しなくなります。
年に一回くらい、あるいは法事のときには、香炉の灰をお掃除してみてくださいね。
ふるいの目はできるだけ細かいタイプの方が、灰の中の異物が取り除けるのでおすすめです。
それと香炉の中の灰を全部、灰の奥深くまでふるう必要はないですよ。
灰の表面付近、燃えカスや異物がたまっている表面あたりだけを、スプーンのようなもので軽くすくってふるっていただけたら大丈夫です。
最後に繰り返しますが、香炉の中の灰は入れ過ぎる必要はないです。
香炉の中の深さの半分も入れば十分です。
以上で今回のお話を終えますね。
またお寺にお参りされましたら、お寺の香炉にはどれくらい灰が入っているか観察してみてください。
浄土真宗の場合、半分くらい、あるいは半分とすこしくらいしか入れていないと思いますよ。
あふれそうなほど灰を入れる必要はまったくないです。
それと今回のお話と直接関係ないですが、香炉の中の灰はできるだけ平らにならしていただけたらと思います。
時々中央が盛り上がった山型に灰を入れてらっしゃることがあります。
お線香を挿す分には山型の方が便利なのかもしれませんが、浄土真宗の場合はお線香を横に寝かせます。
山型に灰を盛ると、寝かせたお線香が香炉の中でコロコロと転がることもあります。そういったわけで、浄土真宗の場合、香炉の灰は平らにならしてくださいませ。