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第160回目のラジオ配信。「懇志」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
この番組では香川の浄土真宗の寺、円龍寺のお坊さん、私かっけいが、短いお話をするラジオです。
前回は、納骨と永代がテーマでした。
お納骨をされる時に、永代供養や永代経、永代懇志というものがついてきますよね。誤解があるかもしれませんが、永代というのは、永遠や永久という意味ではないんですね。
浄土真宗のいう永代とは、末永く代々にわたっていくという意味です。
寺の僧侶は末永く代々にわたって、皆さまからお預りしたお骨を守り、また皆さまの信仰の場であり仏法を伝える寺の空間を残そうとします。
そして寺にご縁のある皆さまも懇志をつけることによって、その寺という空間が後々の代まで伝わっていくようにサポートします。
それが浄土真宗のいう永代です。
永代にわたるように寺が維持されるように、皆さまがサポートして下さるのを、浄土真宗では、永代経や永代懇志という言葉を使ってお願いしているんですね。
さてそれで今回は前回に引き続いて、懇志とは何か、寺をサポートするとはどういったことをするのかについてお話していきます。
皆さまは、懇志をつけると言われると、お金を寺に出すことをイメージされると思います。
ですが、寺をサポートするのは、何もお金だけではありません。
寺という空間や、お坊さんの活動を支えるものすべてが懇志であり応援の形です。
そもそも今回この懇志のお話、寺を応援することについて話そうと思ったのは、2週続けて、円龍寺の私の元に、アマゾンほしい物リストから、おロウソクが贈られてきたことがきっかけです。
円龍寺ウェブサイトでは、ほしい物リストを公開しています。それはお寺へのお供え、宗教活動への力添えのために誰もが気軽にサポートできるようにという思いで公開しているものです。
それで先先週、60号の大きな赤ロウソクと踏み台が届きました。ひょっとしたら同じ人からかもしれませんが、この前また60号の大きな赤ロウソクと白蝋燭、30号の白蝋燭が届きました。
住所が分かればお礼のお手紙を返すのですが、送り主の住所やお名前が不明でしたので、この場をもってお礼させていただきます。
ありがとうございます。
さっそく、60号の立派なロウソクは次の法要で使わさせていただきます。また踏み台も本堂に設置しました。本堂に上がりやすくなったと、お参りの人が喜んでいました。
お金だけでなく、仏さまにお供えする物や、皆さんが寺に参りやすくなるもの、手を合わしやすくなるものを用意するのも、寺を応援する方法、懇志になります。
思えば、円龍寺という寺は、これまでにいろんな懇志を頂いています。
例えば、寺にお参りして一番に見える山門には、一対の石灯籠があります。今から250年ほど前に、大塚さんから寄進された石灯籠で、今では夜間数時間灯りをともして、お参りの人を照らします。
他にも、本堂の前の一対の樫の木は、100年ほど前に伊達さんが寄進してくださったものです。
他にも本堂外陣にあるお参りの人がお焼香される大きな外陣香炉、結界、天井に吊られている六角菱燈籠なども寄進によるものです。
座布団や椅子の一部も、寄進によるものです。
鐘撞堂にある梵鐘も、戦争で失われた梵鐘を復活させようというご門信徒の皆さまによってできたものです。
最近では、令和2年に、本堂にお参りしやすいようにと、本堂前の石段に手すりと、石段の下に浄財箱が東京にお住まいの方のご懇志によって設置されました。
これまで円龍寺には浄財箱がなく、寺にお参りに来た人が手を合わせにくかったのですが、浄財箱のおかげで、寺の本堂が開いていない時でも、手を合わせやすくなりました。
またおよそ130年前に円龍寺では火事がありました。お坊さんが住む庫裏という場所が焼けた時には、多度津にすむ木谷さんという方が、自分の家を解体して、その木材を流用して、円龍寺の庫裏を立て直しました。
そんな風に、寺を永代に、末永く代々にわたって維持されていくようにお参りの場であるようにと、これまで多くの人がお金だけでなく、さまざまな応援の形で、寺の活動をサポートしてくださっています。
ここで改めて、寺を応援するにはどんな形があるのかを紹介します。
一番分かりやすい形は、懇志金や冥加金といったお金という形です。
納骨の時にされる永代経懇志もそうですし、寺の法要のときにつけて下さるローソク料といったものも寺を支えるお金となります。
また法事や祥月参りとかで、お坊さんに渡すお布施も寺に納められ、寺の護持に使われます。
他、お金以外にも寺を支える方法はたくさんあります。
大きなものでしたら、先ほどの円龍寺への寄進の例にあったように、手すりや浄財箱のようなものをおくる方法です。
つい先日アマゾンほしい物リストから贈られてきた踏み台も、お参りの人たちがお堂に上がりやすくなるといった、ありがたい応援の形です。
寺の法要で、仏さまにお供えするロウソクや果物、お香といったお供え物をおくるのも、寺を応援する方法です。
形や金額に差はあるにしても、仏さまへのお供えや、お参りをしやすい空間へと手助けして下さるものは全て、お寺を応援する懇志です。
またご門信徒の中には、家でとれた収穫物をお供えされる方もいらっしゃいます。
お野菜であったり、果物であったり、調理したものであったりといろんなものがありますが、召し上がってくださいと不定期に持ってくださる方たちがいます。
円龍寺ではそれをありがたく、まず仏さまに誰それさんからのお供えですと、仏さまにお供えし、私たちお坊さんも仏さまからのお下がりとして頂いています。
他にも寺の掃除を手伝ってくださるのも寺を応援する形の一つです。寺によっては、奉仕団という形があって何名もグループになって定期的に寺の掃除をするのがあるようです。
円龍寺ではそういったグループはないのですが、5年ほど前から、お一人、冬に庭木の剪定を手伝いに来てくださるようになりました。
円龍寺の境内の木は、私かっけいが自分でできる範囲は剪定しているのですが、そこに一緒に剪定をして下さるようになりました。
お願いしたわけではないのですが、私かっけいがひとりでお寺の庭木を切っていることを聞いて、自主的に、寺の庭木の剪定に来てくれるようになりました。
元々、多度津町の日本庭園の中津万象園で、何十年も専属庭師としてお仕事されてきた方なので、私よりもずっと丁寧な手入れをされます。
おそらく私が不甲斐ないから、指導もかねて一緒に作業して下さっているのだと思います。とっても助かります。
いろいろ例をあげましたが、懇志金やお布施といったお金でお寺を支える方法がありますが、その他にも仏さまへのお供えや、お参りをしやすい空間へと手助けして下さるものも懇志です。
また家でできたものを仏さまへのお供えとして届けることや、寺の清掃活動といったことも寺が永代にわたって護持されていく立派な懇志です。
そして何よりも大事なことは、これまで挙げたように、寺にお金や物をお供えするだけでなく、皆さまひとりひとりが仏さまにお参りしていくことも大事な永代の護持になります。
寺がお骨や寺の空間を永代にわたって守っていこうとするのも、その目的は、皆さまの信仰の場であり、先祖を偲ぶ場であり、仏法・仏の教えを受け継いでいく場を後に残していくことにあります。
ですので、寺や納骨場所がただあるのでは意味がありません。
皆さま1人ひとりが、寺にお参りして、お勤め・読経に参加して、仏さまのお話を聞いていくことが寺を永代にわたって守っていく懇志となります。
また仮に寺にお参りできなくても、家でのお仏壇やお墓にお参りしていくことも、永代にわたって代々と仏さまのお参りの場を残していくことにつながっていきます。
お金や物を寺に納めることが直接的な寺を応援する懇志ではありますが、それだけでなく皆様一人ひとりがお仏壇やお墓に参り手を合わし、また仏さまのお話を聞いていくことが、永代につながっていきます。またそれが間接的に寺を応援することにもなるでしょう。
最近では、お葬式にしても、法事にしても、家代表と親戚から一名しかお参りが来ないこともよくあります。
そうではなく、永代に渡るつながりができるようにと、夫婦や親子や孫、兄弟姉妹など、ご縁のある方は、いろんな仏事に参加していただきたいものです。
寺の法要へのお参りも、家からお爺さんお婆さん一名だけではなく、できるだけご家族そろってお参りし、お勤めし、最後までお話を聞いていただけたらと思います。
これで11月1日配信の、今回の「寺を応援する方法、永代について」のお話を終えます。
この前、アマゾンほしい物リストより贈って下さった蝋燭は、また法要時の写真をとって、円龍寺のウェブサイトでお礼をしようと考えています。
蝋燭と踏み台、ありがとうございました。
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