第29回目のラジオ配信。「ゲーム規制」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
2020年1月10日に香川県議会が「ゲーム・ネット依存症対策条例素案」という条例案を出したところ、全国的な話題になりましたね。特にインターネット上では否定的な意見がかなりを占めているように感じます。
そりゃ、ゲームをしている人は多いですし、スマホやネットまで、規制されたらたまったもんじゃないないですよね。
いろいろ意見を取り入れて、1月20日に「ネット・ゲーム依存症対策条例」という素案をまとめ、インターネット上に配布し、意見公募を募集していますね。興味のある人は、ぜひ香川県のパブリックコメントに意見を送ってください。
素案の内容を次の4つに簡単にまとめてみました。
- 18歳未満の子供に対して、コンピューターゲームやスマートフォンのゲーム時間を平日1日1時間、土日祝日などの休業日に1時間半を上限とすることを基準とすること。
- 義務教育終了の15歳までは、午後9時までにゲームを止めることを基準とすること。
- 利用時間や制限は基準であり、各家庭の実情を考慮に入れ、子供と話し合い、ゲームやスマホの使用に関するルール作りに役立てること。
- ネット・ゲームの依存症を対策するための条例案であり、罰則のある制限ではないこと。
用紙4枚ほどの条例案なので、15分もあれば目を通せます。細かい中身はぜひ確認してみてください。
さて、話をもどすと、インターネット上では結構、否定的な意見が多いですね。
著名なゲーム業界の人や芸人も、否定するコメントを出していますね。
例えばヤフーニュース記事で、e-sports促進機構代表理事だった高橋名人が『条例で決めたからといって、香川の子どもたちが本当に1時間でゲームをやめるでしょうか。「こうしなさい」と上から押し付けることには、あまり意味がない気がします』といったコメントをのせています。
他にもネット上では、「10時間以上ゲームして、東大にはいったり、起業したりする人は山ほどいる」、「ゲームのやりすぎと依存症には科学的根拠がない」、「罰則がないのに規制をつくっても意味がない」などが挙げられています。
で私の立場ですけども、私はこの条例素案に賛成の立場です。
ですからここからは、割とこの条例素案に肩をもつ意見になるかもです。
まず、第一に「なぜ60分なのか?なぜ90分なのか?という時間の基準がわからない」ということですが、これは香川県の県教育委員会が行ってきたスマートフォンなどの利用時間と学力テストの平均正答率の関係データが目安とされます。
利用時間が1時間より少ない子供と比べて、1時間を越えるたびに子供の正答率が下がっていきます。1時間より少ない子供の正答率が75%なのに対して、3時間をこえる子供は正答率が65%よりも下回っています。
また文部科学省が2017年に行った全国学力・学習状況調査でも似たような結果がでています。子供のゲームプレイ平均時間が、小学生で1.55時間、中学生では1.69時間に及ぶことや、ゲームをする時間の短さと、学力テストの平均正答率との間には、相関関係があることを明らかにしています。
次に、ゲームのしすぎと依存症には科学的根拠がない・合理的な理由が無いということです。しかしWHO世界保健機関は2019年に、生活に支障をきたすほどゲームに熱中することを「ゲーム障害」という病気に認めました。日本国も2019年にゲーム依存症に対する実態調査を行い、結果、ゲームに費やす時間が長いほど仕事や健康に影響を及ぼす実態を報告しました。
報告の内容の一部を挙げると、ゲーム利用者の7%が「本来してはいけない状況(授業中や仕事中など)でもよくゲームをする」。10.9%が「腰痛、目の痛み、頭痛、関節や筋肉痛など体の問題を引き起こしても続けた」といったようなことです。
ゲームを長くするから勉強ができないとか、依存症になるとかは一概に言えません。しかしゲームの利用時間が長くなるにしたがって、症状が出る人が増える傾向はあきらかになっています。
ゲーム時間とゲーム依存症には因果関係があるかはまだ分かっていません。しかし相関関係はあるとされているのです。
それは、朝食を食べない子供は学力が低くなるというデータと似ています。朝食を食べないとなぜ、学力が下がるのかは不明です。
朝食を食べる子供は、睡眠をしっかりとり、ご飯を食べるという余裕のある生活習慣だからではないかとされます。朝食を食べるような規則正しい生活ができる子は、自然と勉強にも取り組めて成績がよいのだろうと、因果関係はなくても、朝食と学力には相関関係があるとされるのです。
朝食を食べなくても、勉強ができたりスポーツができる子供もいます。同じことがゲームの話でも言えるのです。
次に罰則のない規制についてです。
罰則が無いほうが緩くてよくないですか。罰則があると、反発する気持ちが強く、不満が蓄積しますし、ゲーム依存とは別にギスギスした世の中になると思いませんか。
それこそ今から6年前の2014年に、岡山県では中学生までの子供のゲーム・スマートフォンの利用を夜の9時までにというガイドラインがつくられました。
あれも罰則がないから緩~く、今も続けられていると思いませんか。
スマートフォンやゲームは、便利な道具であり、娯楽であり、つながる世界や見聞を広げることにも役立つでしょう。
罰則を作って、「9時以降は禁止だ。1日1時間までだ。」と禁止するのではなく、緩~く利用制限を決めてあげて、後は家庭内で、そして子供の意見を聞いて、各家庭にあったルールを作れたらよくないでしょうか?
ゲームやスマホにのめりこんでしまう子供に対して、それ以外のことにも、手を伸ばすことができる口実というかきっかけづくりになると思いませんか。
なんで私が、ネット・ゲーム依存症対策条例に賛成かと言えば、私自身がゲームにのめりこんでしまう人だからです。
1月10日に香川県の条例案が出た時に、約3年ぶりにゲームをプレイしてみました。するとやっぱりゲームは面白いですし、熱中するように作られているので、1時間2時間とあっという間にやってしまうんですね。
3時間を過ぎたころに、ゲーム機の電源が切れたので強制的にやめられたのが幸いでした。3DSでよかったです。
大人でさえゲームをやめられなくなる人もいるのに、子供ではどうなるでしょうか。
ゲームを止めるという意志を強く持てない子供もいるでしょうし、親のアドバイスを素直に聞けない子供もいるでしょう。
そんな時、「ゲームのプレイ時間の基準にこんな条例があるんだよ。やりすぎは健康や学校生活に悪い影響があるかもしれないよ」と、後押ししてくれる存在がいることは大きなことだと私は感じます。
高橋名人は「上からの押し付け」とコメントしましたが、私は押しつけには感じませんでした。本当に押し付けたいなら、罰則を設けると思いませんか。
この条例は、一見すると県がゲーム時間の基準を決めたと抑圧的な感じを受けるかもしれませんが、見方を変えれば、親の代わりに、子供からの嫌われ役をかってくれてるように感じます。
私が嫌われ役になるから、家庭の中で、ゲームの利用に関して話し合ってくださいよと、ありがたく感じませんか。
ちなみに余談ですが、私が一番好きだったゲームは、株式会社GAEが開発した『クロニクル オブ ダンジョンメーカー』のシリーズが最高でした。10年以上前のゲームソフトです。
マイナーなゲームで出荷本数も2万本もなかったそうですが、私にとっては一番楽しいゲームでした。プレイ時間も2000時間を越えるほどはまりました。
後にも先にも『クロニクル オブ ダンジョンメーカー』のようなゲームが出てないのですが、もしも似たゲームがでたら、私も依存症になるんじゃないかなあと不安になります。
そんときに、ゲームのやりすぎはダメだよと忠告してくれる、悪者役の行政や親がいてくれたらありがたいことだろうなあと思います。