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お寺には本堂とは別に納骨堂がある理由。真宗の場合。

投稿日:2017年6月11日 更新日:

こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。

最近では「墓じまい」という言葉が流行ってきていますね。
(お坊さんの私は墓じまいという最近の造語は使いたくなく、昔ながらの「廃墓(はいぼ)」という表現の方がしっくりくるのですが。)

お墓を廃止にする・閉じられたら、中に納められているお骨はどうしますか。

散骨というのも言葉として時々耳にしますが、まだまだ難度は高いでしょう。現在では許可を受けた場所や団体でないと散骨できないはずです。個人で勝手に散骨をしますと『遺骨遺棄罪』に該当する恐れがありますからね。他にも『墓地、埋葬等に関する法律』という法律もあり、なかなか個人が勝手な判断でお骨を扱うのは難しいのが現状です。

また仏教的な考え方からも家のお仏壇にいつまでもお骨を置いておくのは望ましくありません。

そこでしばしば解決策として、頼りにしている檀那寺や菩提寺、もしくは納骨堂に預けるという方法がとられています。



例えば私は真宗興正派末寺のお坊さんです。

自坊のお寺には納骨堂(名称:偲朋堂)があり、ご門徒さんであればこの納骨堂に納めることができます。

また京都にあるご本山興正寺にも納骨堂(名称:浄華堂)が用意されており、本山でも納めることができますし、各別院でも納骨堂が用意されており求めれば納めることができます。



このようにどこかの宗派に属しておれば、檀那寺やその上の別院・本山で用意されている納骨壇に納めることがまず考えられます。

しかし最近では特定の宗派・宗教に属していない家庭や宗派が分からなくなった家庭も増えており、その場合は民間が運営している納骨堂(納骨施設)に納めるケースも出ています。

前置きが長くなりましたが、今回はお寺に納骨しに行った時の疑問。

お寺にはなぜ本堂とは別に納骨堂が建てられているのか。


本堂の役割。

本堂とはご本尊を安置するためのお堂です。

そのためそのお寺を代表する建物・中心となる建物です。

本堂の中は内陣(ないじん)と外陣(げじん)と大まかに2つに分けられます。

外陣とはお参りの方、僧侶でない人が立ち入れる空間であり、内陣とは仏様の空間となっています。

別の表現をすれば内陣とはお浄土を表しているとも言えます。
(浄土の様子を表していることから、真宗の本堂内陣はきらびやかな金色の彩色を施していることが多いのです。)

本堂とはお参りに来た人が仏様のお姿を目にし、仏法を聞き頂いていく役割があります。

納骨堂の役割。

納骨堂とは、お骨を納めるためのお堂です。

別の表現をすれば、お墓の屋内版だと思っていただけたらわかりやすいと思います。

つまり納骨堂とはお浄土に還られた故人をおまつりし、偲んでいく中で仏法をいただくご縁に与るのです。

なぜお寺には本堂と納骨堂があるのか。

寺院にお参りしていきなりお墓が正面に見えることはありませんよね。

お寺は第一に仏様(ご本尊)を安置している建物。すなわち本堂が境内の正面に建てられています。

お墓または納骨堂とは本堂とは別の場所にあるはずです。

それはお寺の役割とは異なっているからです。

繰り返しますが、お寺とは仏様をおまつりし、仏法を聞き頂いていく場であります。

まずはそのご本尊を安置する建物が肝心となり、そのために本堂が必要なのです。

特に真宗ではお骨を礼拝の対象としていません。お骨にご先祖が宿っているわけではないからです。

お寺には納骨堂という建物は本来必要でなく、仏様を安置する本堂が必要なのです。

またお骨は拝むものではないので、仏様と同じ空間に納めるということは基本しないのです。

仏様を安置するのは本堂。お骨を納めるのはお墓また納骨堂と明確に分けるのです。

例えばのケース。

例えばご本山に納骨しに行ったご門徒さんがいます。するとよくある間違いが、本山興正寺に行ってしまうことです。

本山に納骨するといっても本山興正寺では納骨いたしません。真宗興正派ならば、親鸞聖人のお骨が納められている霊山本廟にある納骨堂(浄華堂)に行かなければなりません。下京区ではなく東山区に行きましょうね。

本願寺派本願寺でも西本願寺に行っても駄目ですよ。納骨堂は別の場所に建てられており、親鸞聖人のお骨が納められている大谷本廟に行きましょう。

大谷派東本願寺でも同じこと。東本願寺ではなく、大谷祖廟に行きましょう。

興正派末寺の当寺でもお骨を納めるのは本堂ではなく、その隣に建てられた納骨堂で納めます。

例外のケース。末寺に多く見られるパターン。

といってもなかなか本堂の他に納骨堂を設けるのは難しいのです。

金銭的にも場所的にも。

特に末寺は本山と違って、本堂という建物で境内の多くが占められており、別に納骨堂を建てるだけのスペースがありません。

そのため納骨堂が用意できないお寺は本堂の中に納骨をするための空間を設けるのです。

例えば真宗寺院では内陣には余間と呼ばれる左右に畳の間があり、ここに納骨するスペースを設けたり、本堂の裏の通路などに納骨するためのスペースを設けたりします。

しかしこれらは納骨堂というよりかは、納骨壇と表現する方が相応しいと思います。

例外のケース。須弥壇納骨。

基本的に真宗ではお骨は拝む対象ではないので、仏様とは別の場所に納めます。

家のお仏壇に納められないのはこのためです。

家のお仏壇とは本堂の内陣の様子を各仏壇屋がオリジナルに表現したものです。仏壇とは仏様を安置する場所・お浄土の様子を表した空間ですので、お骨を置いておけないのです。

しかしお寺にお骨を納めるときに例外として須弥壇納骨と呼ばれる納骨方法があります。

須弥壇とは仏様がまつられている場所の事です。

ご本尊は少し高い位置に安置されているでしょう。

その壇とは仏様の世界である須弥山を表していることから須弥壇と言われているのです。(お坊さんは祭壇とは言いません)

本当なら仏様とお骨は別々の場所でそれぞれにお参りするのですが、少しでも仏様に近くの場所へという思いから仏様の足元、すなわち須弥壇下に納骨する場合があるのです。

似たような納骨方法に、宗祖の廟に納めるパターンもあります。

 

さいごに。まとめ。

檀那寺・菩提寺が末寺であるならば、納骨堂が用意できておらず本堂内に納骨壇を設けて納骨を承っているのですが、いざ本山などの大きな寺院・正式な寺院に行きますと本堂とは別の場所に納骨堂や墓地が用意されています。

それはお寺とはご本尊をおまつりする本堂が何よりも大切であり、故人のお骨は拝む対象ではないからです。故人を納めた墓地や納骨壇に合掌礼拝をするのは、故人のお骨を通して仏様のお浄土に思いをはせているのです。

もし寺院に納めたお骨にお参りをするときは必ず本堂にも立ち寄ってくださいね。

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