お坊さんが書く文章.#150

第150回目のラジオ配信。「お坊さんの文章」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

お坊さんが文章を書くときに気をつけること
  • 書きたいことをまず決める
  • すぐに書く。何度も書き直す
  • 話すように書く
  • 読む相手を想定する
  • やさしい言葉で語りかけるように
  • 説明しすぎない
  • コンパクトに書く

かっけいの円龍寺ラジオ

この番組では香川に住むお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをするラジオです。

2022年8月23日配信の今回は「お坊さんが書く文章」について話していきます。

お坊さんの私が文章を書くとき、どんなことに注意しているのかが伝わればと思います。

8月の頭に、久しぶりに、文章を書いてくれ、という依頼が来ました。

といっても同じ地区の寺仲間からの依頼で、秋の彼岸会の法要のときに配布するコラム記事なので、お金をいただいて書くものではありません。

ですが、お参りの方々が読まれるものなので、なんでもいいからテキトーに文章を書けばいいというわけでもありません。

それで今回のお話のテーマ、文章を書いてほしいと言われた時、寄稿するとき、何に注意して書けばいいのでしょうか。

まず最初に大事なのは、何について書くのか、何を伝えたいのかを決めることではないでしょうか。

今回は急に文を書いてくれ、1000文字程度と、書くテーマも無ければ、書き方も自由と、非常にとっかかりがないものでした。

急な寄稿であり、特に今すぐに伝えたいこと・書きたいことがない状態でしたので、戸惑いました。

何でもいいから書いてくれというのは、自由なようで不自由です。テーマがある方がずっと書きやすいです。

書くこと・伝えたいことが決まれば、普段のお参りや生活の中から、文章を書くネタが集まり、文章の構成が練られていくので、だいぶ楽になります。

書きたいことを決めることがまず最初のステップだと私は思います。

続けて二つ目は、すぐに書くことです。

最終的に、私は二十日で、コラム文章を書きあげて送りました

ですがその間、文章を3度あたらしく書き換えました。

一発で、納得する文章を書き上げるのは、とても難しいことです。

ですので、まずは書きます。そしてできあがった文章を読み直し、分かりにくいところはどんどん改めていきます。

また別の人に、読んでもらうのも大事なことです。

私の場合は住職がいますので、できあがったものを読んでもらいました。客観的に見てもらうことも、文章の完成度を高めるのに役立ちます。

ちなみに私が一番最初に書きあげた文章は10点の評価でした。

とっても低い評価ですが、確かに改めて読み直してみますと、自分でも酷い出来だと感じるものでした。

一発で素晴らしい文章を書くのはよほどのセンスがないと無理でしょうから、何度も書くことを前提にして、まずとにかく書くこと。

いいものが出来るまで、どんどん書いていけばいいと思います。

3つ目のポイントは、話すように書くことです。

住職から10点の低評価をいただいた私ですが、何が駄目だったのかアドバイスをもらうと、説明がとにかく多いこと、「なになにである」や「なになにだ」といった文章だったということです。

読んでみて、頭でっかちというか、教えてやるぞ、といった上から目線の話ばっかりで、とても読んでみてください、共感を得るような、温かみや親しみのあるような文章ではありませんでした。

学術論文や小論とは違うのですから、万人が読む文章は砕けて書くのがいいくらいです。

4つ目のポイントは、読む相手をある程度想定して書くことです。

ついさっき、万人が読む文章と言いましたが、そうは言ってもお坊さんが書いた文章を読む人はある程度、読む層が限定されてきますよね。

今回の執筆依頼を改めて確認すると、別院の秋の法要に来られた方に配る文章ですから、読む人を、お寺の法要にわざわざ足を運んで来られる方、それとお爺さんお婆さんとご年配を想定しました。

どんな人が読んでくれるかとイメージすれば、その方に向かって伝えるように書けばいいので、さらに書きやすくなります。

とくにまとめの文章、伝えたいことが絞りやすくなるので、文字数制限のある文章のときには、文章が引き締まりやすくなるので、おすすめです。

5つ目のポイントはやさしい言葉で語りかけるようにすることです。

学者や仏教を学ぶ学生を相手にしているのでなければ、仏教の話は、とにかくわかりやすく、簡単な言葉で伝えるべきです。

それこそ小学生の子供に話しかけるように、伝わるようにと、簡単な言葉や表現、難しい漢字を使わない、とスラっと読める文章を心がけるのが大切です。

私の場合は、この音声配信をしてるので、わりと話しかけるように文章を書くことに慣れていたので、こう語りかけるように文章を書くのはスラスラと進み助かりました。

また何度も書き直しているので、改めて、子どもに話しかけるように文章をつくるのは、スムーズなものでした。

もしもこれが、一番最初にいきなり書く文章であれば、簡単な言葉、簡単な表現を使うといっても、元の文章構成がなければなかなか書くことができません。

ついつい難しい言葉、ありきたりな紋切り型の言葉を使ってしまいがちですが、そうではなく、とにかく読みやすい文章を心がけることが大事です。

専門的な言葉を使うのもなるべく避けます。

ただし小学生にも伝わるようにとは言いましたが、小学生相手では言葉の表現が狭まってしまうので、私は中学生ぐらいなら知ってそうな言葉を、文章を校正をするときに書き直しています。

6つ目のポイントは、説明しすぎないことです。

これもありがちなポイントですが、文章中の説明がとにかく多くなりがちです。

説明文が多くなると、文字数も稼げますし、書いている側も説明している・伝えている気分になりますが、読んでいる側からすれば、文章量が多いと、理解するのに苦労しますし、読むテンポも悪くなります。

説明しすぎない、書きすぎないのが良いと私は思います。

言い方を変えると、あえてちょっと抜けた文章にするということです。

特に仏教では「ご縁」の話をすることが多くなるでしょう。縁の話、さまざまな要因の話をすると、どうも話が膨らみ過ぎてしまうので、書きすぎないのがいいでしょう。

最後のポイントは、コンパクトに書くことです。

今回の依頼は、1000文字程度でした。

1000文字って実はとっても短い文章です。

毎週配信しているこの音声ラジオを例に挙げると、10分に満たない時間でも、3000文字程度のお話をしています。

1000文字だと、長い説明があると、それだけで文章の大半を占めてしまい、読む人もつまらないですし、書く人もまとめしか伝えることがなく、相手に共感を覚えてもらう事は難しいでしょう。

今回、私が書いた文章は14段落ありました。

1000文字で14段落ですので、平均1段落70文字程度ということになります。

70文字だと大した文章が書けないと思うでしょう。

それで良いと思います。

相手に教えるんだ、分かってもらうんだと書くんじゃなく、寺にお参りに来られた方に読んでもらう文章と決めているんだから、語りかけるように、一文一文をコンパクトにしめていけばいいんです。

私たちがふだん会話で話すときも、そんなに長い一言は言わないでしょう。

一文が長いと、相手に伝わりにくいと無意識にわかっているんですから、それに従って、ちょっと話してちょっと話してを文章に取り入れたら、書く人も書きやすい、読む人も読みやすい文章ができると思います。

お坊さんが書く文章は、カチコチな事実や説明の話ばかりでなく、読む人に呼びかけるような・問いかけるような文章にすることも読む人を惹きつけるコツだと思います。

以上、お坊さんがコラム記事を書くときに気をつけることについてお話しました。

また後日しばらくしてから、私が依頼を受け、書いて送った文章を、この音声をのせている円龍寺かっけいブログの方にも、掲載しておきます。

どんな文章に仕上がっているのか読んでいただけたら幸いです。

タイトルは「つながり」です。

1000文字には入りきらなかった、補足の内容なども、ブログ記事では説明しようと考えてます。

没になった文章は恥ずかしいので、載せられませんのでご了承ください。

かっけい
かっけい

寄稿した文章を掲載したブログページは、下にリンクしました。

私、克啓(かっけい)が書きました。

「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。



    メール内容は暗号化され、安全に送信されます。

    タイトルとURLをコピーしました