極楽にいる鳥たち.ラジオ#187

第187回目のラジオ配信。「極楽の鳥」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ「極楽の鳥」内容まとめ
  • 阿弥陀仏のお浄土には鳥たちがいる
  • 阿弥陀経では「白鵠・孔雀・鸚鵡・舎利・迦陵頻伽・共命之鳥」を挙げている
  • 「白鵠・孔雀・鸚鵡・舎利」は現実にいる鳥たち
  • 「迦陵頻伽・共命之鳥」はお浄土の世界にいる想像上の鳥たち
  • 阿弥陀様のお浄土がどんな世界であるのかを表している

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをするラジオです。

ご門徒さんから、お経文の中身、なんて書かれているのか内容について聞かれることがたまにあります。

確かにお経を聞いてても、何て言っているのか分からないですよね。

お経文はお釈迦様がされた説法の記録ですので、仏さまの教え、その伝えたかったことが記されています。

今回は仏説阿弥陀経の一節から、極楽にいる鳥たちについてのお経の内容を紹介していきます。

仏説阿弥陀経は漢字2000文字ほどのお経文で、浄土真宗ではお祥月のご命日といった仏事で、とってもよく読まれているお経です。

この阿弥陀経は、お釈迦様が説いたお経です。阿弥陀という仏さまのお浄土である極楽浄土がどのような姿をしているのかといったことなどが説かれています。

その中で今回は、「彼国常有 種種奇妙 雑色之鳥 白鵠孔雀 鸚鵡舎利 迦陵頻伽 共命之鳥」の極楽のお浄土にいる鳥たちについて話します。

この一節は、「かの阿弥陀仏の極楽浄土には、常に種々の珍しい様々な色の鳥がいること」が書かれています。

私はお浄土にまだ行ったことがないので見たことはないですが、どうやらお浄土には、珍しい様々な色の鳥たちがたくさんいるらしいです。

阿弥陀経では、より具体的に6種類の鳥を紹介しています。

それが「白鵠、孔雀、鸚鵡、舎利、迦陵頻伽、共命之鳥」の鳥たちです。

さてこの6種類の鳥たちですが、前4つの鳥は、私たちの俗世の世界、娑婆の世界にもいる実在する鳥たちで、後2つの鳥は私たちの世界にはいない鳥です。

私はこれは有難いことだなあと思っています。

お浄土というのは、仏さまの世界なので、私たちのいる迷いの世界、濁った世界とはまったく異なる世界のお話です。

お浄土の世界と俗世・娑婆の世界はまったく違うのですが、その俗世にいる私たちにもお浄土がどんな世界であるのかをイメージできるようにと、お浄土の世界の鳥だけでなく、娑婆の世界の鳥も例に挙げて、お釈迦様は説明して下さったんだなあと思います。

お浄土の世界は直接見ることはできませんが、ちょっとでもイメージできるようにと、現実の鳥を例に挙げてくれてるのは有難いことです。

なぜお釈迦様は、これら6種類の鳥を挙げたのでしょうか。

まず、最初は白鵠です。

白鵠は白く大きな水鳥、つまり白鳥をさします。

白鳥は現実世界にもいますよね。水辺にいる白い色をした大型の鳥です。

水辺に浮かぶ白鳥は、お浄土の世界は清らかで美しいところなんですよということを象徴しています。

孔雀も美しい鳥ですよね。

孔雀は美しいだけでなく、いろんな物をきらわず口にする生き物です。

毒をもつ虫や蛇やサソリなども食べます。そのためインドでは現在でも、孔雀は神聖な鳥であり、国を代表する国鳥にもなっています。

人間がもつ様々な悩みといった毒をも払い滅するという仏さまの智慧慈悲のはたらきを象徴します。

続けて鸚鵡についてです。

この鳥も色鮮やかですし、冠を被っているようにも見えます。

また鸚鵡は頭がよくて、人の言葉をまねることができる鳥です。仏さまの教えを大切にたもち、一緒にお念仏やお経をとなえたりと、仏法が説かれ続けていることを象徴します。

続けて舎利です。

舎利は発音は分かりませんが、シャーリーというインドの古い言葉を、そのまま漢字にあてた鳥です。

舎利は現実にいる鳥として、九官鳥あるいは、100の舌の鳥と書くモズ(百舌鳥)のことを指しています。

少し補足すると、九官鳥と百舌鳥は人の声を理解しまねるという点は似ていますが、鳥としては全く別の種類の鳥です。

なぜ舎利は九官鳥と百舌鳥という全く違う種類の鳥をさすのでしょうか。

これには理由があります。

お釈迦様は人びとにお話する時に、当時のインドの人たちが想像しやすい物、身の回りに関係することに例えてお話していました。

しかし今私たちが読んでいるお経は、インドから離れた中国で訳されたものであり、インドの言葉から漢字に変換されています。

おそらくお釈迦様はその時インドにいた鳥、九官鳥を選んで、舎利を話したんだと思います。

九官鳥は人の言葉のほか、いろんな生き物の音を器用にまねる鳥です。

しかし九官鳥はインドやスリランカ、東南アジア、中国の南の方にしか生息しません。

阿弥陀経が訳されたのは中国の姚秦という国で、長安や洛陽の都があった場所です。

お経が訳された場所には九官鳥がおらず、代わりに人の言葉やいろんな生き物の音を器用にまねる鳥としてモズ(百舌鳥)をイメージして訳したとされます。

モズという鳥は、ロシアや中国北部、朝鮮半島の方にいる鳥です。

ちょっと話はそれましたが、舎利という鳥は、九官鳥・モズのことで、いろんな生き物の声を器用にまねることができる賢い鳥のことで、仏さまの教えをたくみに説き広めるという象徴です。

残り2種、迦陵頻伽と共命之鳥は現実にはいないお浄土の世界の鳥になります。

私たちからすれば想像上の生き物になりますね。

迦陵頻伽は体は鳥の体で、顔の部分が人の顔をしています。

つまり体は鳥のように自由自在に飛び回り、声からは妙なる何とも言えない飽きのこない音を出すという鳥ということです。

最後は共命之鳥。

一つの体に、2つの頭がある鳥のことです。また顔は鳥ではなく、人の顔をしているようです。

お互いに命を共有し、命は互いにかかわりあっていることを表している鳥です。

これらのように、お経文にでてくるお浄土にいる鳥というのは、迦陵頻伽や共命之鳥のようにお浄土の不思議さ・神秘性を表わすだけじゃなくて、私たちにお浄土が、「こんなすばらしい世界なんですよ」とイメージしやすくなるように現実の世界にいる白鵠や孔雀や鸚鵡や舎利を例に挙げて、お浄土が清らかで、仏さまの智慧慈悲があふれ、仏さまの教えが説かれ続けていることを表しているというわけです。

今回は、阿弥陀経の中の極楽の世界の鳥たちという本のごく一部のお話でしたが、お経ってこういうことを言っているんだなあって少しでも感じていただけたら幸いです。

阿弥陀経はこんな風に、阿弥陀様のお浄土の世界がどんな姿をしているのか、私たちに説明して、そして南無阿弥陀仏のお念仏がなぜ大切なのかということを説いているお経というわけです。

以上で今回の極楽にいる鳥についてのお話を終えます。

現代語訳した阿弥陀経を紹介します。下のリンク先よりどうぞ。

また阿弥陀経の読経音声もリンクしています。

なぜ極楽に鳥がいるのか

阿弥陀仏のお浄土には、三悪趣(地獄・餓鬼・畜生)の生き物はいません。

ではなぜ、極楽にこれらの鳥がいるのだろうか。

理由は、阿弥陀経の中に示されています。

舎利弗 汝勿謂此鳥 実是罪報所生 所以者何 彼仏国土 無三悪趣 舎利弗 其仏国土 尚無三悪道之名 何況有実 是諸衆鳥 皆是阿弥陀仏 欲令法音宣流 変化所作

仏説阿弥陀経より

鳥たちがいるのは、阿弥陀仏が姿をかえて仏法を説き広めている阿弥陀仏のはたらきだからです。

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