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第202回目のラジオ配信。「念珠」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをするラジオです。
今回は、念珠についてお話していきます。
主なテーマは、念珠の選び方についてです。
さて、念珠の選び方について話す前に、念珠と数珠の違いについてちょっと触れておきますね。
結論からいいますと、念珠も数珠も同じものです。
浄土真宗では念珠と表現するのが一般的ですが、おそらく他の仏教宗派では、数珠と表現することが多いと思います。
なぜ浄土真宗では念珠と表現するかというと、念珠は、仏様を念じるとき、手を合わせて合掌する時につかう道具だからです。
仏を念ずる珠だから、念珠だと覚えてください。
一方で、数珠は、数える珠と書くように、お経文や真言、または念仏のとなえた数を数えるために用いるということで、数珠と表現するそうです。
ですが、浄土真宗では、念珠は仏様を念じるために使うだけなので、数珠とは言いません。
そういったわけで、言葉の違いはありますが、念珠と数珠は同じものだと思ってください。
私は浄土真宗のお坊さんなので、今回は、念珠という表現に統一して話していきますね。
それともう一つ大事なお話があって、さきほども言いましたように、念珠というのは、仏様を念じるための・合掌礼拝するときに使う仏具です。
しかし世の中では、念珠や数珠には不思議なパワーがあるとしたり、魔除け・ご利益の効果があると信じている人もいるようです。
それで普段から、手首や足首に巻いたり、首から掛ける人もいるようです。
浄土真宗では、そのような使い方はいっさいしないのが注意点です。
さあそれでは本題に入りましょう。
念珠の選び方です。
何を基準にして、念珠を買えばいいのでしょうか。
これも結論を先に言いますと、自分が気に入った念珠を選ぶのが一番です。
どんな念珠を選んだってOKです。
念珠の珠の色を気にしなくていいです。珠の素材、紐の素材も気にしなくていいです。形もです。
珠は石の方がいい、いやいや木の方がいい。どんな素材でもいいです。
珠の大きさはこの大きさでなくてはならない。そんなことはないです。
仏様を拝むのにこの念珠じゃないとダメと決まってはいません。
念珠の値段も高ければいいわけではないです。安い念珠でも構いません。
念珠選びの一番のポイントは自分の気に入った念珠を選ぶことです。
もっといえば、仏様参りの助けになる念珠、より積極的にご仏縁にであうきっかけになる念珠が一番です。
自分に合わない念珠、お参りするのが難しくなるような念珠はふさわしくなく、この念珠があれば、どこにでもお参りに行くことができると胸を張れる念珠が一番です。
値段とか、色とか、材質とか、紐とか、形とかそんなのは気にする必要はないです。
もっといえば、男性用・女性用も気にしなくていいです。
念珠は仏様を敬い、拝むための道具にすぎないので、そんなことは気にする必要はないです。
念珠は好きに選んでOKです。
例えばですが、お坊さんの私が普段からずっとお参りに使っている念珠は、1000円もしないような念珠です。
サイズとしては私の手の中に納まるくらいの大きさで、分類としては片手念珠と言われる小さいものです。
珠の材質は木製で、ひとつひとつが薄型円盤の形をしています。小さな薄型の平たい円盤の珠が約50珠ほどついている、安価な念珠です。
私にとってこれがベストな念珠だと感じています。
というのも、この念珠一つで、どこにでもお参り行けるからです。
重さも10gちょっとでとっても軽く、お参りしてても全然負担になりません。
軽いですし、大きさもコンパクトで、仏様参りするのにピッタリだと感じています。
もしもこれが、石で作られた念珠で、重たくて大きかったら負担になりますし、固い素材だったら、仏様周りの仏具とか車とか他の貴重品とか、例えば花瓶とか、何か他のものに当たって傷をつけないかとビクビクと不安になるような気がします。
もしも一万円を超えるような念珠だったら、私は怖がって、仏様参りに足が遠のいていくと思います。
壊れてもいいは言い過ぎですが、今のこの念珠は、私にとって一番の念珠です。
お参りに行くとき、さっと手に持って出かけられます。
皆様も念珠選びの基準とするのは、あなた自身が仏様参りしやすいかどうかです。
色や材質や形や男性用女性用とか、また値段とかいろいろ考えて念珠を買ってもいいですが、この念珠なら、仏様参りしやすい、どこでも持っていけるというのを基準にしてください。
世の中には、数万円どころか、数十万、百万をこえるような高級な念珠というのもあります。
それがご自身の仏様参りの助けになるのであれば、よいご仏縁になるのであれば、それでもいいと思います。
以上で今回の主なテーマ、念珠の選び方の短いお話をしました。
それと最後に少し余談の話をしますね。
最初に念珠と数珠の違いについて言いましたよね。
簡単に言えば、念珠は仏を念ずる珠のこと、数珠は数える珠のことです。
では念珠・数珠のはじまりは何だったのでしょうか。
いろんな説がありますが、有名なものだと、お釈迦様が仏様になられたあと、仏教教団に多くの僧侶が入ろうとしました。
その僧侶の人数を数えるために、紐に珠を通して数えたことがはじまりというのがあります。
他には、とある国の王さまが、戦争や病気が流行らないか不安になっていてお釈迦様に相談したところ、お釈迦様はムクロジの実を糸につないで連珠をつくり、これを身に着けて、仏様を念じなさいと勧められたのがはじまりともされます。
ですので、仏様を念じるのも、数を数えるのも、どちらにもいわれがあるということです。
浄土真宗では、本願寺の蓮如上人が書かれたお手紙に、念珠を持たない人は、仏様を手づかみにしているようなもの。宗祖の親鸞聖人も念珠を捨てて、仏様を拝みなさいとはおっしゃていないということを、説かれています。
そんなわけで、浄土真宗では、仏様参りをするとき、つまりお寺にお参りするときや、法事や祥月命日参り、葬儀といった時には、念珠をぜひ手にして下さいとすすめているわけです。
それと念珠はいつごろから、自分専用のものを持ち始めたらいいか悩まれる人もいるかもしれません。
念珠はいつからでも、自分専用のものを手に入れてOKです。
例えば初参式というのがあります。初参り式とも言います。
これは赤ん坊が、ご両親やご家族と一緒にお寺にお参りしたり、お坊さんを家のお仏壇のところにお招きして、仏様に誕生の報告と感謝の思いを表す仏教イベントです。
小さな赤ん坊にとって、初めての仏様参りとなります。
このときにすでにその赤ん坊に念珠を送ってもいいでしょう。そしてこの物心がつく年になって、あなたが初めて仏様参りした時に求めたお念珠ですよとご家族から渡されたらいいと思います。
そんな小さな子どもに念珠はいらないだろうと思うかもしれませんが、意外と、ご家族、親戚の仏事・葬儀というのは小さいころから経験するものです。
また学校生活や旅行などでも仏さまのことやお寺参りというのはあります。
なので、初めてのお参りのとき。初参式のときからすでに自分専用の念珠を持っても、なんらおかしくありません。
それでその子が大きくなるにつれて、他に、自分にはこの念珠があっているなあとかお気に入りのものがあれば、時期タイミングを選ばずに、新しい念珠を求められたらいいと思います。
それと話が長くなってきたので、余談は次で最後にしますが、念珠は常に持っておく必要はないです。
念珠は仏様にお参りして手を合わし念じる時に使う道具です。
それでよく念珠の持ち方は、合掌していないときは、左手に持ちましょう、あるいは左手首にかけましょうといわれますよね。
しかしそれもあまり気にしなくていいです。
例えば、お寺に参ったとしましょう。
車から降りていきなり、左手に持ったり、左手首にかけたりする必要はないです。
移動中はカバンやポケットの中に入れても問題ないです。
それで合掌礼拝のときだけ取り出して、それが終わったらすぐにまた片付けてOKです。
もっといえば、左に持つとはいいますが、絶対に右でもってはいけないというわけでありません。
お寺にいるお坊さんを見てたらわかるように、お坊さんも合掌礼拝が終わると、すぐに袂にしまう人もいますし、お念珠を経机に置く人もいますし、仏具をいらうときには念珠を右手に持ちかえる人もいます。
念珠は常に肌身離さず持ちっぱなしにする必要はなくて、合掌礼拝と必要な時だけ手にするので十分です。
カバンの中でまいまいこするのが心配な方は、念珠入れという袋にいれる方法もあります。
それと念珠はお守りでも魔除けでもなく、仏様参りのときに使う道具なので、念珠をいつも持ち歩く必要はないです。
当然、手首足首に巻き付けたり、首にかける必要もないです。
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