墓じまいと納骨.ラジオ#100

第100回目のラジオ配信。「墓じまいと納骨」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ「墓じまいと納骨」の内容まとめ
  • お墓参り・先祖参りするのが難しくなっている
  • お参りの人がいなくなった墓は、無縁墓・無縁仏という
  • お参りのない墓は周りの人にも迷惑をかける
  • お墓参りできないのであれば、墓じまいすることをおすすめ
  • 取り出したお骨は、寺(檀那寺・菩提寺)に納骨することをおすすめ
  • 全国的に有名な寺や、宗教不問・宗旨宗派不問の寺への納骨はおすすめしない

かっけいの円龍寺ラジオ

この番組では香川に住む浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをするラジオです。

2021年の夏は、新型コロナウイルス感染が昨年よりも増加傾向となっています。

菅内閣総理大臣はお盆は「帰省や旅行は極力避けて、不要不急の外出をできるだけ控えるようお願いしたい」、西村経済再生担当大臣は「帰省や旅行は、ぜひ中止や延期を考えてほしい」と呼びかけています。

それはさておき、先週月曜日は台風の風がすごかったですね。

香川県から本州の岡山に向かうには瀬戸大橋を利用しないといけないのですが、先週の月曜日は大風のため、朝から通行止めとなっていました。

ちょうど月曜日は私は高松にお参りの用事があって、午前は丸亀から高松自動車道の高速道路を通って行って、午後に高速下の国道11号線の道を通って帰ってきました。

私が高松から帰ってくるときも瀬戸大橋はずっと通行止めの状態で、ちょうど高速道路の入り口に20台くらいでしょうか、ハザードランプを焚いた車がずら~と並んでいました。近くのガソリンスタンドにも、道路にはみ出るほどたくさん並んでいました。

ちらっとしか見ませんでしたが、名古屋ナンバーや大阪の和泉ナンバー、京都・佐賀・大分などなど県外ナンバーだらけでした。

あれを見ると、けっこう県外からこっちに来ているんだなあと思いました。

あと面白いなあと思ったのが、高知ナンバーの車もそこそこ見えたことです。高知に帰るなら瀬戸大橋が止まっていても関係ないのに、なんで高速道路の入り口で待っているんでしょうか。

まあ皆さんそれぞれに用事があって、必要火急のお出かけがあるのでしょう。

香川県では8月はお盆参りの時期で、各地でお墓参りやお盆の法要があるんですが、今年はコロナ感染予防で、お参りの人たちも少人数でまばらな感じです。

私の寺にもお墓や納骨施設があるので、お盆には毎日お参りの人が絶えないのですが、県外からの人はお参りを自粛しているのが現状です。

これは香川県にある私の寺だけではなく、全国各地の墓地や納骨堂・納骨施設、寺院も同じことで、遠く離れたところにお住まいの方は昨年からお墓参り、先祖参りをするのが難しい状況となっていることでしょう。

そんななか、昨年の夏からチラシで、墓参り代行サービス・墓掃除代行サービスというのが見られるようになりました。さすがにお寺のポストには入らないだろうなあと思っていたら、家事代行サービスのチラシの中に、お墓にお花をお供えしますよという項目がありました。

コロナ禍の今はなかなかお墓参りしたくてもいけない事情があるので、そういったお墓のこと・お墓が粗末にならないようにといった需要があるんでしょう。

ここ最近、墓じまいというのが増えています。

墓じまいというのは、お墓からお骨を取り出して、墓石を撤去して更地にして、土地の所有者・管理者にお墓のあった場所を返還するといった意味です。

昔からの言い方をしますと、お墓を廃止にする「廃墓」、遺骨を取り出して改めてどこかで供養とむらう「改葬」とも表現します。

墓じまい・廃墓・改葬が進むのは仕方ない流れで、お墓から離れたところに住むようになると、お墓を見ていくこと・お参りする事がだんだん難しくなっていきます。草が生えたり枯れた花が刺さったままで、管理不十分な状態だと粗末な感じがして、先祖にも申し訳ない気持ちになってしまいます。

そんなわけで、お墓を維持するの守っていくのをやめていくケースが徐々に増えてきています。

実際、お坊さんの立場からしても、お参りするのが難しく、維持が困難な場合は、墓じまいをして、お骨が粗末にならないように、寺などに納骨することをすすめたいところです。

もちろんお墓参りできる家族がいるのであれば、墓じまいをする必要はないのですが、今後お墓参りするのが難しくなるのであれば、墓じまいしていくことを私はおすすめします。

住む人が減った地方ではお参りする人がいなくなった無縁墓・無縁仏というのが、どんどん増えています。

お墓の区画は墓地の管理者から借りた場所であり、墓石は場所を借りた人が立てたものです。草が生えたり墓石が倒れたとしても墓地の管理者は手出しできないので、草は伸び放題、墓石は傷み放題です。他の墓地利用者の迷惑になっても、周りの人はどうすることもできません。

2016年の熊本地震では数多くの墓石が倒れましたが、5割近くが無縁墓だったそうです。墓地の管理人であっても、お貸しした場所に建てられた墓石に無断で手出しすることはできないため、お参りするの人のいなくなった無縁墓はお骨が粗末になるだけでなく、他の人の供養の場もメチャクチャにしてしまいます。

お墓にお参りしないこと・できないことは、自分の問題だけでなく、周りの人たちにも迷惑をかけてしまいます。

そんなわけでお坊さんの私は、お参りが難しくなるのであれば墓じまいをし、納骨堂などに納めることをおすすめします。

墓じまいをしてお骨を取り出しますと、そのお骨をどこかに納めて供養しなければなりません。その時の私のおすすめは、寺が管理する納骨堂・納骨壇に納めることをおすすめします。

特に、普段からお付き合いがある檀那寺・菩提寺に納骨することをおすすめします。

その理由は、お付き合いのある檀那寺の場合、お骨を大切におまつりしてくれますし、合祀もだまってはされません。寺によって違うでしょうが、毎日拝む日牌や毎月拝む月牌というのもしてくれるでしょう。

檀那寺ならご縁のある限りいつまでもお骨を大切にしてくれるので、墓じまいした後は、檀那寺の納骨施設に納めることを私はおすすめします。

一方で同じ寺でも、全国的に有名なお寺や、宗教不問・宗旨宗派不問と募集しているお寺への納骨は私はおすすめしません。

というのも、お骨を預けるところがロッカータイプで狭かったりすることや、1年間くらいお参りが無ければ無縁になったとして合祀されたりするからです。全国各地からたくさんのお骨が届くから仕方のないことです。

これがお付き合いのある檀那寺の納骨場所だと、久しぶりにお参りしても大切な先祖のお骨を前に手を合わすこともできますし、遺族に黙って他のお骨と合わせることもないですし、合祀をしていないのだから後からお骨を取り出すことだってできます。

全国的に有名なお寺とかに納骨しようとされる人は多いですが、私は、檀那寺の納骨施設に納めることをおすすめします。

自坊の円龍寺にも納骨施設があります。

個別納骨壇と表現していますが、家族単位で納めることができる納骨壇で、骨壺を20以上置くことができます。都会で使われる特大サイズの7寸以上の骨壺も収まります。また仏さまも安置しています。

ですので、お墓のように先祖代々を一か所におまつりし、仏壇のように拝むことができる納骨スペースです。当然、個別納骨壇を借りている人は自由にお参りでき、お坊さんも毎日手を合わします。

全国的に有名なお寺・大きな寺でなくても、全国各地域の寺、檀那寺というのは、ご門信徒の信仰の場所・供養の場所をご用意する努力をしています。

これから墓じまいを考えられている方は、まずは自分のお世話になっている檀那寺・菩提寺に納骨されることを検討されてはいかがでしょうか?

2021年8月17日のかっけいの円龍寺ラジオは、「墓じまい・檀那寺への納骨」をテーマにお話しました。来週もまた聞いてくださいな。

ちなみに私の寺の納骨施設は、宗旨宗派不問ではありません。基本的に円龍寺のご門信徒のみに、個別納骨壇の使用権を許可しています。ご了承くださいませ。

広告 - Sponsored Links

広告 - Sponsored Links

墓じまいにかかる費用

墓じまいの流れ
  1. 墓地の管理人や檀那寺に墓じまいをしたい旨を伝える
  2. 親戚や子や孫にも墓じまいをしたい旨を伝える
  3. 管理人や檀那寺、子や孫から了承を得たら墓じまいを進める
  4. 石材屋とともに墓の現状を確認する
  5. 石材屋に墓石撤去の見積もりをとってもらう
  6. 墓じまいをすることを決めれば、墓の閉眼のお勤め(性根抜き)をする
  7. お骨を墓から取り出す
  8. 墓石を撤去し、更地に戻す
  9. お墓の区画を墓地の管理人に返還する
  10. 取り出したお骨を、改めてどこか供養にふさわしい場所に納める

お墓を建てるときは「開眼のお勤め」、お墓を廃止にするときは「閉眼のお勤め」があります

お墓を移動するときも、同様のお勤めをします。

墓地の管理人や檀那寺、親族に相談せずに墓じまいをしますと、後々トラブルの元になったりします。

墓じまいにかかる費用
  • お墓を閉じるお勤めでの僧侶への布施
  • 墓の撤去費用
  • お骨のクリーニング費用
  • 新しい供養場所に納める費用
かっけい
かっけい

意外に思われるかもしれませんが、「お骨のクリーニング」というのがあります

墓石の中に納められた遺骨・骨壺は、水がたまっていたり、土に触れていたり、虫の死骸があったりと、意外と汚れているものです。

新しい供養場所に納骨するとき、遺骨や骨壺がきれいな状態でないと納められないことがあります。

そのため遺骨のクリーニング作業、洗骨というのが必要になってきます。

墓石の撤去費用よりはお安いですが、それでも2~3万ほどは費用に入ってくるでしょう


広告 - Sponsored Links

墓じまいの後は、永代の供養

墓じまいの後

墓じまいとは、お骨をお墓から取り出し、墓石を撤去して更地に戻し、墓地の管理者に使用権や土地をお返しすることです。

墓じまいは、お墓を廃止にする「廃墓」、遺骨を取り出して改めてどこかでとむらう「改葬」とも表現します。

墓じまいは墓石を撤去するだけでなく、取り出したお骨をお参りしやすい場所・供養しやすい場所に納めなおすことも意味します。

ラジオでもお話したように、檀那寺や菩提寺の納骨堂に納め、永代供養することをおすすめします。檀那寺や菩提寺の場合、ご縁の続く限りいつまでも永代にわたって、お骨をおまもりしてくれます。

あるいは、お住まいの近くに新たにお墓を建てて、お参りしやすい供養しやすい場所に改めてお骨を納めてもいいでしょう。ただし私のおすすめは、寺に納骨することです。

「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。



    メール内容は暗号化され、安全に送信されます。

    タイトルとURLをコピーしました