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第90回目のラジオ配信。「衣替え」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
2021年6月8日の今回は、お坊さんの服装の変化「衣替え」をテーマにしてお話ししていきます。
一般的によく見るお坊さんの服装って、全身黒色と足元の白色と、それと草履の履き物をしていますよね。一年中、街中や家にお参りにくるお坊さんを見ても、黒と白で代わり映えのしない格好に感じるでしょうが、実はお坊さんも夏用と冬用に衣替えをします。
それで私の所属する浄土真宗宗派では、6月から冬から夏用に衣替えをします。ですのでよくよくこの時期のお坊さんを見ますと、黒い衣が透けていると気がつくと思います。
それに実は黒い衣の内側に着る白い衣の白衣や襦袢といったものも夏用に、生地が少し薄い感じのものになります。冬用はその薄手の逆で、厚めの生地になって温かくなっています。白い足袋も冬用の厚めの生地になっているものもありますね。
2021年の今年は関西地方では、例年と比べて季節の変化が速いように感じます。桜のソメイヨシノは例年よりも2週間3週間も早く、5月上旬に見頃の藤の花も4月中旬ですし、バラもチューリップもいろんな植物がはやく咲いています。
関西は梅雨入りもかなり早かったですね。九州や中国近畿東海では統計史上2番目に早く、私の住む四国香川だと2021年は5月15日頃に梅雨入りをして、今まで一番早く、3週間も早く梅雨入りしました。
このラジオ音声を収録している6月7日は雨もしばらく降らず、風の涼しい気持ちいい時になっていますが、5月の終わりごろは雨が続いて気温も高くてジメジメして、ちょっと不快な気分のする時でした。
お坊さんの衣替えは私の宗派では6月1日からということになっていますが、実際は1日からスパッと衣を全部変えるわけではなく、洗濯とか収納とかの事情もあって、数週間かけて少しずつ少しずつ衣を変えていくのですが、今年の衣替えは梅雨入りも早かったので、割とスパッと夏用に涼しい服装に変えることができました。
この衣替えはお坊さんの黒い衣だけでなく、法事とかで着ているきれいなカラフルな衣や大きな袈裟(五条袈裟や七条袈裟)も夏服に変化しています。
話のついでにお話しますが、衣替えの時期は衣を変えるだけでなくて、衣の点検をする時期にもなります。
お坊さんの衣ってお金がかかって、高そうなイメージがあるでしょう。実際に法要で使うきれいな衣はけっこうそれなりの金額がするんですが、ずっと使いまわすので考え方によってはコスパの良い着物だったりします。
例えば私の場合は、黒い衣や下に着る白衣や襦袢は、祖父や祖母が使っていたのを着まわしています。それに法事法要用の色のついた衣も、祖母や祖父のを使っています。
衣は高価なものですが大切なものなので、一度手に入れますと桐のタンス等に保管して、1つのものを長い間ボロボロになるまで使い続けますので、20年30年単位で見れば、お坊さんの着ている服はとってもお得な服だと言えると思います。
お坊さんの着るきれいな衣は、呉服店ではなくて専門の法衣店で取り扱われるのですが、私の寺では新しく買うことはほとんどなく、穴あきや金襴のほつれなどの修繕をお願いすることが多いです。
衣替えの時期は新しい衣に変えていくときでもあり、古い衣を点検する時にもなりますので、法衣店にお世話になる時期でもあります。
それで言うとさらに別の雑談ですが、以前、法衣店に新しい衣の依頼をしたときのお話のことで、お坊さんの法要法事用で使われるきれいな衣って、けっこうなお値段がするんですね。
でお坊さんの着る衣ってサイズが大きい気がするので、なんとかお値段を下げられないかと、「足元の裾を短くしてほしい」とお願いしましたら、「短くはできますが、白い衣の白衣とのバランスがあるので、あんまり短くはできませんよ」と言われました。
それだったら、手を通す「袖を短くできませんか」と尋ねますと、「この袖は短くできません」とはっきり言われました。
あんまり気がつかれないでしょうが、お坊さんが法事法要用に着ているきれいな衣は、袖の部分が長く大きく作られているんですね。手がすっぽり隠れるくらい。
普段多く使われている黒い衣だと、袖はそんなに長くないのに、どうして法事法要用の衣だと袖が長くなっているのでしょうか?
これは私も法衣店の人に教えられて知ったのですが、真言密教といった密教系の仏教では、手で印を結ぶでしょう。で、印を結ぶときには、他の人に見られないように衣の中で結ぶことがあるので、お坊さんの法要法事用の衣は袖が長くなっているんですって。
私のところは浄土真宗ですから、仏さまを拝むときに印を結ぶことはしないんですが、通仏教、仏教全般にならって、袖は長く作ることになっていると、法衣店の人に言われました。
以上、衣の余談でした。
お坊さんの衣に関する内部記事
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