お仏壇のご飯にラップ.#211

第211回目のラジオ配信。「お仏飯とラップ(食品用ラップフィルム)」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ内容まとめ
  • お仏飯は仏さまにお供えする炊いたお米のこと
  • いのちの恵みへの感謝の気もちからお供えする
  • 浄土真宗では仏さまや亡き人が食べるためという理由でお供えしない
  • お仏飯をラップに包む必要はない
  • いつまでもお供えしっぱなしにしない
  • 長い時間お供えしなくていい
  • お参りが終わるとすぐに下げていい

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをする音声配信です。

今回はお仏飯とラップについて雑談していきます。

お坊さんの私は、ご門徒さんのお仏壇にお参りに行きます。

お仏壇の仏様参りする時には、お荘厳といって、お花やおロウソクやお香をお供えすることはよく知られていることですが、ご飯さんをお供えすることはあまり知られていないように思います。

ご飯さんのお供えとは、お仏飯のことで、たいたお米を仏さまにお供えすることを言います。

お花やお香や果物やお菓子ももちろん大事なお供えですが、中でもお仏飯は特に大事です。

私たちが生きていくためには、お肉やお魚やお野菜などのいろんな動植物のいのちをいただかなければなりません。

また私の元に届くためにも数えきれないほどのご縁があります。

その中で、日々いただくいのちの糧の中から、私たち日本人が古くから食べてきた主食としてきたお米を感謝の気持ちで仏さまにお供えするのがお仏飯というわけです。

浄土真宗の考え方にはなりますが、お仏飯とは、亡き人が食べるものではありません。また仏さまに召し上がっていただくためのものでもありません。

私たちがいただいているいのちの恵みへの感謝のこころからお供えしています。

それがお仏飯です。

さて、そんな感謝の気持ちを表わすご飯さんのお供え、お仏飯についてのお話で、今回は、お仏飯にラップを巻くことを少し雑談していきますね。

お参りをしていてときどきお仏飯にラップをまいているのを見ることがあります。

その理由を聞きますと、ラップをまくのは、ご飯の乾燥防止のためだとか、虫とかが寄ってこないようにという衛生面の理由があるようです。

お坊さんの私は、お仏飯にラップなんてしたこともないので、珍しい光景だなあという顔をしてしまうのか、ラップはしない方がいいんですかと質問を受けることがあります。

仏さま、ご先祖さまのことを思ってお供えされていることなのですから、ラップをしてはダメとは思いませんが、わざわざするものでもないと思います。

なので、私はどちらでもいいですよという微妙な答えをいつもしていますが、この音声配信ではもう少し深堀してお話していきます。

私は気になって、ご飯のお供えでなぜラップをするのか、インターネットで調べてみました。

すると、ヤフー知恵袋なんかでは、仏さまや亡き人は、食べ物の匂いや湯気を召し上がっているという解答がありました。匂いや湯気を届ける、召し上がってもらう、そんな理由で、果物のラップやお酒のカップの蓋も少し開けておくのがいいらしいです。

確かにお仏飯は炊きたてのもの、湯気が出ている状態でお供えするのが望ましいというのは、私の寺、浄土真宗でも言われていることです。

しかしそれは決して仏さまが、ご飯さんを召し上がっているからだとか、湯気や香りを届けるためにしているわけではありません。

私たちの生きていく糧となる大切なご飯さんを、なによりもまず最初に仏さまにお供えするためです。

自分たちに配膳してからだとか、自分たちが食べてからだとかではなくて、まずは仏さまにお供えして感謝のこころを表します。

そういったわけで、浄土真宗でもお仏飯は湯気が立つようなものが望ましいといわれているわけです。

仏さまや亡き人が召し上がるためではなくて、まず一番に仏さまにお供えするという姿勢があるから、湯気のあるお仏飯をお供えするということです。

このいのちの恵み・ご縁に感謝するお仏飯は、いつまでも仏さまのところ、お仏壇にお供えしっぱなしではありません。

一応正しい作法としては、朝にお供えしたお仏飯は、お昼前にお下げするのが正式とされています。

理由は仏教開祖のお釈迦如来がいたときは、午前中のみが食事の時間だったことに由来しています。

そういったわけで、お仏飯はずっと長いことお供えし続けるのではなくて、朝お供えしたら昼前には下げるのが正式な作法となっています。

しかし、実際問題、朝にいつもご飯を炊いている家は少ないでしょう。

そういった場合は、朝にこだわる必要はなくて、お昼でも、夕方でも夜でも、ご飯を炊いたときにお供えすればいいようになっています。

生活のスタイルが多様化している現代なのですから、朝にお供えしなくちゃとこだわる必要はありません。

感謝のこころからお供えするのが大事なので、ご飯を炊いたときに、まず一番に仏さまにお供えしましょう。

そしてまたお仏飯をお下げするタイミングも、お仏飯をお供えして、手を合わせてお勤めをしたら、すぐにお下げしても大丈夫です。

仏さまや亡き人が召し上がるためにお供えしているわけではなくて、感謝の気持ち、もっといえば敬いのこころでお供えしているものなので、仏様参りがすんだらそのままの流れでお仏飯のお供えを下げてOKです。

このお供えしたお仏飯は、仏さまからのお下がりとして、捨てて粗末にならないようありがたく食べて下さい。

そういったわけで、ラップを巻く理由として、ご飯の乾燥防止や衛生面といったことを聞くこともありますが、お供えしてお勤めしてすぐに下げて食べることから、そんなわざわざラップをしなくてもいいんじゃないのかなあと浄土真宗のお坊さんの私は思うわけです。

それと仏さまや亡き人が匂いや湯気を食べるというインターネット上での説明もありますが、浄土真宗ではそんな考えはありません。

繰り返しますが、ご飯さんは、私たちがいただいているいのちの恵みに感謝するためにお供えされています。

湯気がたっているようなご飯さんをお供えするという格言も、自分たちが食べるよりもまず仏さまにお供えすることを戒めるために言われてきた言葉です。

以上で、今回のお仏飯とラップのお話を終えます。

ラップをしてもいいですが、わざわざする必要もありません。

お仏飯のお供えはそんなに長い時間するものでもないですしね。

むしろ仏さまからのお下がりとして、仏様参りの後はお早めにお下げして粗末にならないように食べていただけたらと思います。

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