お布施はなぜ「お預かりします」なのか.#251

第251回目のラジオ配信。「お預かりします」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオ内容まとめ
  • お布施をいただくときは「お預かりします」という
  • 「ありがとうございます」や「申し訳ありません」はあまり言わない
  • お布施はお経を読むお坊さんへの対価・報酬ではない
  • お布施は仏さまに対してしている
  • お坊さんは一時的にお預かりしているだけ
  • お布施はお坊さんが自由に使っていいお金ではない
  • お布施はお寺に納められ、宗教活動に使われる

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。

今回はお布施についてのお話を一つしていきます。

お布施といったら、皆さんお経を読んだお坊さんに対して渡しているあのお金のことですよね。

お布施について聞きたいことはたくさんあるでしょうが、今回は、お布施をいただいたときのお坊さんの答え方「お預かりします」について短く話します。

なぜ「お預かりします」ってお坊さんは言うんでしょうかね。

もっと言えば、どうしてお金をいただいているのに「ありがとうございました」と言わないのでしょうかね。

人によったらお坊さんはお礼も言えないのか、とムッとするかもしれませんが、お坊さんが「お預かりします」というのには訳があります。

もちろん「ありがとうございます」や「申し訳ありません」と口にするお坊さんもいるかもしれませんが、やっぱりお坊さんの心持ちとしては「お預かりします」という気持ちになっているでしょう。

結論から言いますと、お坊さんがいただいているお金・お布施というのは、お寺の仏さまに対してのお供えだからです。

多くの人が誤解しているかもしれませんが、お坊さんはお経読み屋ではありません。

お経を読んで、それに対する見返り・報酬としてお金をいただいているのではありません。

もっと言えば、お布施はお坊さんへの対価ではないんですね。

対価ではないので、お布施が千円・二千円・三千円・五千円・一万円などと、定価として定まっているものではありません。

人によって、家によって、お布施の額というのは違っています。

お布施は対価ではありません。

それじゃあ、お坊さんにお渡ししているお布施ってなんなんでしょうかね。

あれは簡単に言うと、お寺の仏さまに対してのお供えです。

ちょっと難しく言えば、お坊さんがお参りして、お経を読みお話をして、供養や法話をするのもお布施です。

そして皆様が仏さまに対してされているのもお布施です。

お布施というのは仏法がお互いに行き来している状態のことであり、仏さまがメインです。

皆様がお坊さんに渡しているお布施というのは、お坊さんではなく、仏さまに対して行われています。

お坊さんは仏さまに代わって、お金を預かっているにすぎません。

お布施をお預かりし、お寺の仏さまにお供えし、そしてそのお金を仏さま・ご本尊様をまつるお寺の護持運営に使わさせていただいています。

皆様がされているお布施というのは、私たちが大切にしている敬っている仏さまやご先祖様、そして仏法を伝え聞いていく場所であるお寺・宗教施設を、これからも守っていくために使われています。

これも誤解があってはいけないので簡単にお話しますと、お坊さんに渡されているお布施というのは、お坊さんの懐に入るお金ではないんですね。

お布施はお坊さんが自由に使えるお金ではありません。

お布施は仏さまへのお金であり、それはお寺に収まります。

いただいたお布施は、お寺を守り仏法を伝えていくための宗教活動に使われます。

なので、お坊さんは皆様からお預かりしたお布施は一円たりとも私的に使いません。

きちんと、お寺の会計にどこそこの人から、何年の何月何日に、これこれの金額のお布施をお預かりしましたという記録をつけています。

税務署から確認させてくれと言われたら、皆様からお預かりした大切な仏さまのお金に一円も手を付けていないことを示すことができます。

お坊さんも多くの人と同じで、お給料制です。

お坊さんはお寺からお給料をいただいて生活しています。もちろん税金も納めています。

そういうわけで、お布施はお坊さんの懐に入る不明瞭なお金ではなく、きちんとお寺の会計に記録され続けています。

お布施の金額が多かろうが少なかろうが、お坊さんが使えるお金というのはそれぞれに決まっています。

ちょっと話がそれましたが、今日お話したいのは、お坊さんがいただくお布施というのは、仏さまへのお布施・お供えだということです。

そしてお坊さんはそれを仏さまに代わってお預かりし、お寺に持ち帰りお寺に納め、お寺を護持し、仏法を伝えていくという宗教活動のために使わさせていただいています。

皆様がされている気持ちとしてのお布施のお金が積もり積もっていくことで、今日まで、ご本尊様をおまつりするお寺が守られ、仏法が伝え続けられてきたわけです。

お坊さんがお布施をいただくときに、「お預かりします」というのはこのためです。

「お寺のご本尊様にお供えするために、私が一時的に、お預かりします」ということです。

対価・報酬として貰っているのではないので、お礼を申す「ありがとうございました」やへりくだる「申し訳ありません」といわないのはこのためです。

以上で、今回のお布施についてのお話を終えますね。

それとちょっと余談で、私のお寺では年末ごろの報恩講のお参りのときに、合わせて本山冥加金をお願いしていますよね。

本山冥加金は宗派をまとめる本山に納めるお金をそれぞれの末寺が本山に代わって預かっているのであって、今日お参りに来ている檀那寺へのお布施ではありません。

本山冥加金は本山の仏さま・護持のためであり、お布施とは別包みにしてくださいませ。

「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。



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