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第44回目のラジオ配信。「数え年と満年齢」がテーマの雑談です。(BGM:音楽素材MusMus)
少し前にとある町の町内会会長になった人から「享年って、年齢に1年を足したらいいんですよね」と聞かれました。町内で亡くなった人のお知らせをする時に年齢を書かないといけないんだそうです。
「数え年のつもりで享年を言っているのですか」と聞くと、「そうです」と答えたので、「年齢に数字の1を足しても享年にならないこともありますよ」って私は答えました。
するとその人が言うことには、前の町内会長から「満年齢に1を足したらいいんだよ」と言われたそうです。
わかっていそうで、うっかり忘れやすい言葉。満年齢と数え年。そして享年・行年について説明します。
結論を先に言うと、数え年と享年行年は同じ年齢の数え方で、満年齢だけ数え方が違います。ふだん日常的に使われているのは満年齢ですが、亡くなった時には数え年・享年・行年で年齢を数えることもよくあります。
数え年・享年行年は、満年齢に対して、1年多いパターンと2年多いパターンの2つがあります。数え年・享年行年が満年齢と同じ年になることはありません。
続けて、数え年とは何か。数え年の計算方法。満年齢とは何か・数え方を実際の日にちを例に挙げて紹介します。
数え年とは、生まれた年が何回きているのかを数えていく年齢のことです。誕生日ではなく、誕生した年からを数えているのです。
例えば、2020年1月15日生まれの人も、2020年6月15日生まれも、2020年12月15日も、すべて2020年の年に生まれているので数え年だと1歳になります。
この子たちが2021年になると、1月生まれも6月生まれも12月生まれも、2回目の年を数えるので2021年1月1日からすぐに数え年2歳になります。
一方で、満年齢だとどうなるでしょうか。これは誕生日が数え方の出発地点になる年の取り方です。
例えば2020年1月15日生まれの赤ちゃんに対して何歳ですかと尋ねると、今0歳ですっと答えるでしょう。まだ翌年の誕生日がきていないから0歳ですね。
同じように2020年6月15日生まれの子は、6月15日に歳を数えていって、2020年12月15日の子は毎年12月15日に歳を数えていくことになります。
この子どもたちが翌年2021年にそれぞれの誕生日を迎えるまでは0歳であって、誕生日がくれば年齢が満ちたということで1歳に数えられるのです。
するとどうでしょうか。
生まれた歳を数える数え年の場合は、2020年生まれの子は、2020年の1年目に生まれたから数え年1歳であり2、021年は2回目の歳なので数え年2歳になります。
一方で誕生日が数え方の境となっている満年齢だと、2020年の子どもが2021年になっても、しばらくは0歳のままですよね。誕生日がくるまで年齢が満ちたことにならないので、年齢をとらなくなってしまいます。
すると2020年生まれの2021年は数え年2歳なのに、誕生日を迎えるまではその子は満年齢0歳と、満年齢と数え年の間に2年の差があるということになります。
だから数え年は満年齢に数字の1をプラスしたらいいんでしょうとは単純に言えないのです。2を足すことだってあります。
誕生日がきているのかきていないのか。それをきちんと知っておかなければなりません。
そういう意味では、数え年は日にちが関係なく生まれた年だけがわかればいいので、数えやすい年齢の数え方だと言えるでしょうね。明治より昔は数え年の方が一般的だったそうです。
さきほど質問があった町内会長の話をもう少し詳しく言うと、町内で2020年3月に亡くなった人がいたそうで、その人は1960年の5月に生まれたそうです。
町内会長の考えだと、1960年5月生まれで亡くなったのは2020年3月だから、満年齢は59歳でしょう。だから数え年は1年プラスの60歳でしょうとのことです。
いやいや確かに誕生日がきていない満年齢だと59歳なのはあっていますが、1960年に数え年1歳のその人は、2020年は61回目の歳を数えているでしょう。だから2020年は2020年1月1日から12月31日まで、その人はずっと数え年61歳ですよになります。満年齢プラス2歳ですね。
ちょっと数字ばっかりしゃべってごちゃごちゃしてきたので、まとめてもう一回説明しますね。
1960年5月生まれの人が2020年3月に亡くなった場合は、誕生日を迎えていないので満年齢59歳。でも2020年は1960年から61回年を数えているので、2020年1月1日から2020年12月31日まで数え年61歳。
もしこの1960年5月生まれの人が2020年5月の誕生日よりも後に亡くなっていたなら、満年齢60歳の数え年61歳になります。
単純に数え年と満年齢の関係を覚えるなら、誕生日がきていない場合は満年齢プラス2歳、誕生日をすぎている場合は、満年齢プラス1歳になります。
さて数え年と同じ年齢の数え方に享年と行年があります。
お葬式やお位牌には数え年ではなく、享年や行年で表現されることも多々ありますが、なぜでしょうかね。数え年だと文字にひらがなが混じるからでしょうか?
位牌に書くのは数字と漢字で統一したいといった理由があったんですかね。
それはさておき、享年も行年も数え年も言葉の表現は違えど、年齢の数え方は同じで年を数えます。
享年の享の漢字は身に受ける・授かるという意味があり、この世にいのちを授かった年の数を数えています。
行年はこの世に生まれてきて、どれだけの年数を歩んで行ったのかを数えています。
お母さんのおなかから生まれた時には、数え年も享年も行年も1歳であり、翌年の1月1日には2歳になります。0歳というのはありません。
ちなみに、今でこそ生きているときの年齢の数え方は誕生日を起点とする満年齢が一般的になっていますが、年齢以外では数え年のような数字の数え方が一般的ですよね。
例えば学校だと、小学一年生・中学一年のように数字の1から数えるでしょう。
0は何もない状態ですが、1は物事の出発点として数えられるからですね。
ですので元号でも平成0年や令和0年とはいわずに、出発点を表わす元年を使いますね。
亡くなった先祖のお位牌やお墓とかを見ると、生まれてすぐの子ども、満年齢1歳を迎えていない子どもには、生まれてきたその年を表わす当歳が刻まれていますよね。
私たちは何もないところから何の縁もなく生まれてきたわけではないので、年齢では1歳から数えるのがよろしいのではないでしょうか。そんなわけで満年齢が当たり前になった現代ですが、葬儀の時は、1から数える数え年・享年行年を用いているのではないでしょうか。
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