Podcast: Play in new window | Download
第168回目のラジオ配信。「香川の言葉」がテーマ。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
この番組では、香川県讃岐に住むお坊さん、私かっけいが、短い雑談をするラジオです。
12月27日配信の今回は2022年最後の配信になると思います。
新型コロナウイルスが流行して3年目の今年の年末は、香川県も一日に1000人2000人と新規感染者が出ていますが、人の流れを見ると、もう以前のような賑やかな街の様子になっています。
ニュースを聞きますと、今年の年末年始の国内旅行者数は2000万人以上、外国に旅行に行く人も15万人ほどと、かなりの人数のようです。
香川県もホテルがよく埋まっているようですし、道路もあっちこっちで渋滞が発生しています。
これまで香川に戻ってくることを控えていた人たちも、3年目の今年は久しぶりにふるさとの香川に戻ってくる人たちもいることでしょう。
そこで今回は、香川県・讃岐で使われている言葉について紹介していきます。
ちなみに香川・讃岐の言葉を紹介するのは、この音声ラジオで3回目になります。
68回目、122回目のラジオ配信でも、香川で使われている言葉を紹介しているので、そちらもまた聞いていただけたら幸いです。
さてそれと、一つ前置きですが、私が紹介する香川の言葉、讃岐の言葉というのは、香川県オリジナルの方言を紹介しているわけではありません。
あくまで香川県生まれの私が今まで聞いてきた、今も香川の人に使われている言葉を取りあげて紹介しています。
ですので、例えば前回紹介した香川の言葉の「なんしんな」は愛媛県の方でも使うようですし、「どちらえか」は徳島県でも使うようです。
それと、話し言葉で使っているのを聞いたことがない言葉もあまり紹介しないようにとも考えています。
たとえば、「まんでがん」という讃岐の方言があります。
まんでがん祭りやまんでがん広場とイベントの名前や、お店・会社の名前に使われることはありますが、まんでがんという言葉を会話の中で使っている人を私は聞いた覚えがありません。
ちなみに讃岐の方言の「まんでがん」とは、「あるもの全部・すべて」という意味です。
他にも私の住む丸亀には「ごんな」という方言があります。
5月にある丸亀お城まつりのときに流れる「丸亀おどり」の歌詞で、踊ってごんな見てごんなというフレーズが出てきますが、おそらくほとんど人が丸亀おどりの歌詞でしか、「ごんな」を聞いたことがないと思います。
30年ほどしか生きていませんが、私はまだ、会話の中で「ごんな」を使っているのを聞いた覚えはないです。
ちなみに意味としては、「何々してみようよ」といった人に誘うとき、勧める時に使う言葉です。
さて前置きが長くなりましたが、さっそく香川県で耳にする言葉についていくつか紹介していきます。
まずは「どればも」です。
意味は「ほとんどない」「全然」といった感じです。
例えば、調子はいかがですかと聞いたときに、「どればもよくない」と言われたら、ああ調子が全然よろしくないんだなと分かります。
他にも畑でお野菜のできを聞いたときに、「どればも」と言われたら、満足したものがあんまり取れなかったんだなあと推測できます。
どればもは、とっても使い勝手のいい言葉で、問題なく帰ってこれた?「どればも混んでなかったよ」「どればもかからなかったよ」、他にも「テストがどればもできなかった」、「どればも分からなかった」、「どればも眠たくない」などと、標準語の全然と同じような使い方ができるので、どればもはいろんな所で耳にする言葉です。
続けての言葉は「あけなんこ」です。
あけなんこに話すといった形で使う言葉で、「包み隠さず話す、説明する」といった意味です。
学校の先生やお坊さんなど、人にお話をする人がよく使う印象の言葉です。私の祖父母や父もよく使っている言葉です。
「あけなんこ」を使う人はあんまり多くないと思いますが、使う人はしょっちゅう使っている印象です。
包み隠さない、明らかにするというのが、あけなんこの言葉です。
次の言葉は「よいよ」です。
「あまりよろしくない、本当に、とても」と言った意味です。
さっきの「どればも」が全然といった意味でしたが、こちらは、「本当に・とても」といった感じです。
道路がよいよ混んでたと使えば、道路がかなり混んでて困った。という感じです。
どればもの時は、後に否定をあらわす「どればも~ない」、「~ない」といった言葉がついてきますが、よいよの場合は、「よいよ疲れた」、「よいよ失敗した」といった感じで、否定の言葉がこないんですね。
なので、例えばこれからの時期で、「すっごく寒いね」とちょっとしたことを言うときに、「よいよ寒いですよね」と言うことはできますが、「どればも寒いですよね」と言うことはできません。
意味合いは似ているんですが、使い方は全然違う言葉なんですね。
次の言葉は「いかさま」という言葉を紹介します。
詐欺や偽物やインチキといった意味の「いかさま」ではありませんよ。
さっき使った寒い時のことを表わす場面なら、「いかさま寒いよね」といった感じで使います。
いかさまは「すごい」といった意味です。
いかさま道路が混んどった、いかさま眠い、いかさま足が速いなあといったように、先ほどの「よいよ」とほぼ同じ感じで使われる言葉です。
どっちを使うかは人それぞれです。
私の周りでは「いかさま」よりかは「よいよ」を使っている人が多い印象です。
さて、さいごにもう一つだけ、紹介します。
香川では「行きよい」「話しよい」、「食べよい」、「飲みよい」「洗いよい」といったように語尾に「よい」という言葉がつくことがあります。
意味は簡単だったよ、楽だったよを表すときに使います。
行きよかったよと言えば、行きやすかったよということですし、話しよいでしたら話しやすいということになります。
泊まりやすいホテルなら泊まりよいホテルとかと言えたりします。
よいという言葉は日常いろんなところで使われるので、今日紹介した言葉の中で一番耳にする言葉かもしれませんね。
さて今回紹介するのはこれぐらいにしておきます。
香川の言葉はもっともっとたくさんありますが、3回目の今回は比較的耳にしそうな言葉をチョイスしたつもりです。
評判がよかったらまたそのうち4回目のお話をするやもしれません。
それと余談ですが、香川の言葉の中で、不思議だなあと思っている言葉を最後に紹介しておきます。
私のところでは、東らの田んぼ、東らの家、西らの田んぼ、西らの家といったように、東側にある何々というときには東ら、西側の時には西らという言葉を使います。
でも不思議なことに、東か西の時にしか使わないんですね。
北の方にあっても「北ら」や「南ら」といった言い方は使いません。
他にも「表ら」や「裏ら」といった言い方もしません。
「隣ら」という言い方もないことはないでしょうが、違和感を少し覚えます。
どういうわけか東と西だけ、東ら、西らという言い方をします。
もちろんこれは私のとこの感覚なので、所によっては北ら・南らという言い方をする人もいるかもしれません。
でも私のとこでは、北らの田んぼとか、北らで待ち合わせとかそんな言い方はなんか変な感じです。
以上、香川の不思議な言葉でした。
「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。