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第190回目のラジオ配信。「コンポスト」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川に住むお坊さん、私かっけいが、短い雑談をするラジオです。
2023年6月に配信する今回は、屋外に設置するコンポストについてお話していきます。
お話の結論は、屋外設置のコンポストは生ごみが減るし、手間もそんなにかからないし、設置できる環境なら設置することをおすすめしたいという内容です。
仏教やお寺とは関係のないお話になります。
さてコンポストとは食べ物や落ち葉といった有機物を発酵・分解させて堆肥化し、再利用できる状態にした土のことです。
コンポストによって捨てられる食品・有機物を減らすことができます。
そのコンポストについて話す前に、少し食品ロスについて話しますね。
ここ数年、SDGs「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の言葉が広く使われるようになってきましたよね。
SDGsでは17種類に大きく目標が分けられていますが、その中でも昔からよく耳にするのが、食品ロス・フードロス問題です。
食品ロスとは、食べられずに廃棄されてしまった食品という意味です。
つい最近、広島であったG7広島サミットでも食品ロスが話し合われたそうですし、まもなく7月に香川で行われるG7香川・高松都市大臣会合でもロスについて議論されることでしょう。
意外に思われるかもしれませんが、食品ロスが地球温暖化の原因になっています。その理由は、捨てられた食べ物を焼いて処分するときにCO2が大量に出され、そのCO2が温室効果ガス全体の約8%を占めているからです。
そんなわけで、捨てられる食べ物、燃やされる食べ物を少しでも減らすのが環境に優しいというわけです。
それで使われるのがコンポストです。
コンポストにもいろんな種類がありますが、今回私がお話するのは、屋外に設置する緑色のコンポストについてです。
屋外に設置する緑色のコンポストは、おそらく皆さんも一番よく目にすると思います。
我が家でも30年以上昔から、外に4つ置いて、これまでずっと使い続けてきています。
屋内に設置するタイプや、雨のあたらないところに置くミミズをいれた段ボールコンポストなどもありますが、なんだかんだ屋外設置タイプの緑色のコンポストが一番使いやすく長持ちすると思います。
ちなみに緑色とわざわざ言っているのは、一番よく目にする色だから言っているのであり、色に特に意味はないです。
黒色や青色といったコンポスト容器もあるようですが、あまり一般的な色ではないので、緑色のコンポスト容器とあえていっています。
さて屋外設置のコンポストはとにかく使いやすいのが魅力的なポイントです。
家庭で出る捨てられる食品をそのままコンポスト容器に入れたらOKです。
それでときどき、乾燥した葉っぱや土を入れたらもう完璧です。
台所でも使うことができる屋内設置タイプも手軽にいれられるので便利ですが、一日に入れられる量が数百グラムほどであり制限がありますし、発酵分解ではなくてたんに乾燥させて水分を減らして捨てるごみの量を減らしているだけなので、私は後の再利用の面も踏まえて、屋外に設置するコンポストがいいと思います。
またミミズをいれた段ボールコンポストも、生ごみを入れる量に制限があったり、生ごみを減らすことよりもミミズを減らさないことの方に神経がいって疲れてしまうのでおすすめできません。
その点、屋外設置のあの緑色のコンポストは本当に楽です。
ただ、その日に出た生ごみをそのまま容器の中に入れたらいいだけですから。
貝の殻や卵の殻、動物・魚の骨、タケノコの皮といった物は入れたらダメとも言われますが、気にしなくてOKです。分解が遅く形が残りやすいだけなので、コンポストに入れても大丈夫です。
ただし醤油100%とか油100%といった調味料をそのまま全部いれるのは、さすがにやめてください。
私はしたことがないので分からないですが、きっと発酵が上手くいかなくなったり、出来上がった土は環境に悪くて使えないと思います。
屋外設置のコンポストにはなんでも入れられますが、あくまで食べられなかった廃棄される食品・有機物に限ってください。
当然、分解されないビニール、プラスチック・ガラス・金属類も入れないでください。
屋外設置のコンポスト容器は素材がポリエチレンで、一応耐用年数が5年とされているようですが、我が家では30年以上ずっと使い続けられているので、丁寧に扱えば相当長く使い続けられると思います。
それと生ごみの水分量についてですが、一応発酵分解には50~60%の水分量がベストとされていますが、水分量は気にしなくていいです。
というのも台所で出る廃棄される食品・有機物の約80%が水分とされますが、屋外設置のコンポストの場合、水分はある程度地面に吸われていくので、自然と良い感じに水分が抜けます。
なのでコンポストに入れる生ごみをあらかじめ乾燥させるような面倒なことはしなくていいです。
気にせずそのまま入れてOKなのが、屋外設置のコンポストの魅力です。
続けて使い方について話しますね。
屋外設置のコンポストは食品ロスの生ごみであればなんでも入れられるんですが、そのままではただ腐ってしまいます。
腐った生ごみというのは嫌なにおいがしたり、ドロドロだったりととても再利用できる土ではありません。
なので腐らないようにちょっと手を加える必要があります。
一つはたまに乾燥した土や枯れ葉・わらといったものをコンポストにいれてあげること
もう一つは、たまにかき混ぜてあげることです。
どうしても食品の生ごみだけだと水分と窒素分が多くなりすぎます。水分と窒素分だけに偏ると腐りやすくなるので、そこに炭素分も足してあげると、腐りにくく程よく分解しやすくなります。
なので乾燥した土や枯れ葉やわら、もみ殻なんかを入れてあげるのがポイントです。入れるのは時々で良いです。
それともう一つのポイントがときどきかき混ぜてあげることです。
かき混ぜることによって中まで空気が送られて、発酵が進みますし、分解をすすめる微生物の活動も活発になります。
私の場合は気が向いたときに混ぜていますが、だいたい1ヵ月に一遍でも十分発酵分解していきます。私の経験上。
乾燥した土や枯れ葉・わらといったものをコンポストにいれてあげることと、たまにかき混ぜてあげることの2つが、屋外設置のコンポストの使い方です。
それと上手に発酵させるポイントも紹介します。
ポイントは、コンポスト容器を複数持つことと、微生物による分解を意識することです。
屋外設置コンポストは一つじゃなくて、最低でも二つはあった方がいいです。私の場合は4つ並べて置いています。
複数設置するのは、生ごみを発酵分解するのには時間がかかるからです。
屋外コンポストはいつでも気軽に生ごみをいれられる一方、入れたら入れた分順次、すぐに生ごみが分解していくわけではありません。
ときどきかき混ぜ、ときどき炭素分の枯れ草などを補充し、容器一杯になれば、入れるのを止めて発酵分解をすすめるようにしていきます。
私の場合は、生ごみをたい肥化するにあたり、未熟な発酵分解では使いたくないので、最低でも半年、できれば一年は容器の中で寝かせておきたいので、コンポスト容器を4つ並べています。
生ゴミ・有機物を入れるコンポスト容器と、入れるのをやめて発酵分解をしていくコンポスト容器を複数持っておくことがポイントです。
多くの自治体がコンポストの設置に補助金の制度を用意してますが、屋外設置のコンポスト容器の補助対象数が2つであることが多いのも、屋外設置のコンポストは複数用意するのが基本なんだと思います。
もう一つのポイントは微生物による発酵分解を意識することです。
正直なところ食品生ごみだけでは発酵分解することは難しいです。
生ごみをキレイに堆肥化、土にするには微生物のはたらきによって、発酵分解を進めていく必要があります。
なので、もしも本当にこれから一から屋外コンポストを使うのであれば、最初だけは市販の微生物分解資材を適宜入れて、発酵分解を促した方がいいです。
それと微生物の活動を高めるために、ときどきかき混ぜて空気を送ってあげたり、微生物の餌になる米ぬかを入れてあげるといいです。
一度生ごみのたい肥化に成功すれば、後はもう市販の微生物分解資材を買う必要はないです。
前にコンポストで作った土の中に、しっかりと生ごみ・有機物を分解する微生物がいるので、その土を生ごみを入れている容器や、発酵分解過程の容器に継ぎ足してあげると、微生物のいい補充になります。
そんな風に微生物の分解を意識することと、適度に空気を送ってあげること、微生物の入っているすでに出来上がっているコンポストの土を継ぎ足してあげること、これが上手に発酵させるポイントです。
最後に、デメリットについてのお話です。
デメリットを3つほど紹介します。
多くの自治体ではコンポスト設置の補助金の制度を用意しています。
例えば、私の住む香川県丸亀市だと、屋外設置のコンポストは、一世帯につき2基までで、購入価格の2分の1以内、1基につき上限額3,000円までとなっています。なので、仮に2基で一万円のコンポスト容器なら5,000円が補助されますし、2基で12000円なら6000円の補助です。
そんな風にけっこう補助してくれるんですが、中には補助の制度のない市区町村もあります。
香川県の場合、17の市町がありますが、そのうち、高松市・三豊市・宇多津町の3つにはコンポスト設置の助成制度がありません。
補助金の額も市区町村によって違うので、すべての地域で、お安くコンポスト容器が買えるわけでないことが注意です。
購入前にかならずお住まいの役場で、助成金制度があるのか、どれくらい補助してくれるのか確認しておく必要があります。
また屋外設置のコンポストは必ずコバエといった不快な虫が発生します。後、少なからず匂いもします。
冬の間は虫も匂いもほとんどなく気になりませんが、春から秋にかけては虫・匂いが発生するので、一戸建ての敷地内あるいは畑と、お隣さんの生活空間に近くないところにコンポスト容器を設置する必要があります。
もちろん、キレイに発酵分解が進めば、匂いはいうほどひどくなく、蓋をしていれば全く匂いが漏れないので、一メートルほどの距離があれば、十分にコンポストを設置できます。
ただそれでも、コンポストを設置するところは、ある程度風通しのよいところ、そして下が土のところと場所に制約がでてきます。
なので、マンションやアパートではどだい無理ですし、むき出しの土がない一軒家でも難しいかもしれません。
そんな風にそもそも設置できないところもあるというのがデメリットです。
最後のデメリットは、発酵分解された土は、そのまま使ってはいけないというお話です。
生ごみを発酵分解させて作った土はとっても栄養豊富です。そして同時に生ごみを分解させる微生物も豊富にいます。
なので、屋外コンポストで作った土だけで植物を育てるのは止めた方がいいです。
作った土をプランターに入れて種まきしても、発芽成長が難しいです。
プランターで使いたい場合は、市販の培養土の上に数センチ足してあげるとか、あるいは市販の培養土に対して2割くらいブレンドして使うといった方法をとります。
けっして屋外コンポストでできた土だけで育てないのが注意点です。匂いがまったくなくて、黒っぽい見事な土であっても、コンポストの土だけで植物を育てるのは止めてください。
それがデメリットというか注意点です。
以上で、今回の屋外に設置する緑色のコンポストのお話を終えます。
手間もそんなにかからないので、設置できる環境なら設置することをおすすめします。
我が家ではこれまでに生ごみをすべてコンポストに入れて土にかえしているので、可燃ごみとして出したことは一度もありません。
そして出来上がった土は、畑やプランターに再利用しています。
食品ロスを減らし、SDGsに取り組むのに、屋外コンポストはとってもお手軽なのでおすすめです。
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