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第167回目のラジオ配信。「お焼香」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
この番組では香川の浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをするラジオです。
2022年12月20日配信の今回は、法事のお焼香はなぜ法事の最後にするのかについて短くお話していきます。
今回のお話をするきっかけは、先日、お寺で法事をしたときに、お参りの人の中で法事の開始時間までに来れなかった人がいたこと、到着が遅れた人がいたことがきっかけです。
本来、法事やお葬式とかに遅れて到着するのはよろしくありませんが、そうは言っても、行かなくちゃと思う気持ち、遅れて申し訳ないという気持ちがあるのであれば、無理にでもお参りに来てくださったのはとても有難いことです。
今回は、その遅れてきたことをきっかけとして、法事のお焼香についてのお話をします。
香川県の浄土真宗の法事は、三部経の法事とか三席の法事とも言ったりします。
これは、浄土真宗の法事では、浄土三部経という、「仏説無量寿経・仏説観無量寿経・仏説阿弥陀経」の阿弥陀如来様に関する3つの大切なお経文を読むことからきています。
これら3つを読んで中休み、読んで中休み、そして読むので、香川県の浄土真宗の法事は、三部経や三席の法事といったりします。
丁寧にお勤めするなら法事の所要時間は2時間前後かかります。
それで今日のお話のテーマですが、香川県では、お参りの人皆さんにしていただくお焼香は法事の三席目、つまり法事の最後の方にする習慣があります。
これはなぜでしょうか。
法事の三席目、最後の方にするので、法事を開始してから早くても一時間はたっていることになります。
なんででしょうかね。
お焼香はお参りの人全員にしていただきますが、昔は、出焼香といって、お参りの人が全員、三席目のおつとめの時に前の方、仏さまの方に出て行ってひとりずつお焼香をしていましたが、今現在では、回し焼香といって、焼香盆に載せられた香炉をお参りの方々の元に順番に回していって、全員にしてもらう形になっています。
もう一度尋ねますが、なぜ法事の最後の方の、三席目にお焼香するのでしょうか?
疑問に感じたことはありませんか。
最初の一席目にお焼香をしてもいいんじゃないのと?
実はこれ、ルールがあるわけではないんですね。
別に最初の一席目にしても、真ん中の2席目にしても、最後の3席目にしても、別にどれでも構わないんです。
最後にしなさいというルール・作法はないんですから。
でも香川県の浄土真宗の法事では、最後の3席目にお焼香するならわしになっているんですね。
理由はとっても単純です。
遅れて到着した人のために、お焼香を最後にする。
これが理由です。
法事やお葬式に参列する気持ちはあるんだけども、なんらかの理由で、ひょっと到着が遅れてしまう可能性がある。
もし法事やお葬式の一席目のとき、開始してすぐに、お焼香をしてしまうと、後から遅れて到着した人は、お焼香ができなくなってしまう。
だからお焼香は最後にするんです。
そりゃ、今の時代は、車といった速い乗り物はありますし、時刻通りに動く電車やバスといった公共の乗り物があるので、遅刻はしにくいです。
ですが、昔のように歩いてきたり、遠方から時間をかけてくるといった場合には、ひょっと遅れるかもしれません。
また現代ならスマートフォンや携帯電話があって、遅刻しそうでも、あと何分で到着するかと細かく伝えられたりしますよね。
でも昔だと、あの人はいつになったら来るのか、それともこの法事やお葬式には来れないのだろうかと、施主や喪主は分かりませんよね。
だったら、ひょっと遅れてきたときのことを考えて、お焼香は法事の最後にしておけば「間違いがない」ということになるんですね。
香川県では法事法要お葬式は、孫子の正月といって、普段会えない人でも、亡き人のご縁で、遠方の人ともであえるということで、大切な出会いの場としてきました。
遅れてくることは決して良いことではありませんが、
でもたとえ遅れたとしても、お参りに行かなくちゃと思うその気持ちは大切です。
お焼香が最後なのは、有縁の皆さん全員がそろってお焼香できるようにという昔からの気遣いというわけです。
以上で、今回のお焼香のタイミングについてのお話しを終了します。
ちなみに、このお焼香には逆のパターンもあって、最初の一席目にするというのもあります。
例えば、お参りの方の中に、どうしてもの理由で、最初の一席目だけ、三十分しかいられないという人もいるでしょう。
そういう途中退席しなければならない人のために、お焼香を繰り上げて一席目や2席目にするといったこともありえます。
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