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第136回目のラジオ配信。「お参り」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
この番組では香川の浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをするラジオです。
先日の5月5日は暖かい一日で、大きなトラブルもなく、自坊円龍寺の春の永代経法要が無事に勤まりました。
新型コロナ3年目となる2022年の今年は、移動制限・行動制限がない大型連休で、全国各地では観光客・人手が去年の2倍以上、場所によっては3倍以上ととっても多かったらしいです。
香川県丸亀に住む私のところでも、5月3・4日は3年ぶりに丸亀お城まつりが開催されたようです。また私も5月4日に76番札所の金蔵寺の北側の道路を、朝9時半過ぎに車で走っていたら、近くにある長田うどんが大混雑の状態で、ビックリしました。
臨時駐車場にも車が一杯で、誘導員は4人もいて、歩道もずら~と人が歩いていて、私の前を走る車も「なにわ」ナンバーで、こんな朝の早い時間から、おうどんを食べに、県外からたくさんの人が来ているんだなあと思いました。
さてそんな中で、私の寺では5月5日に春の法要をつとめたのですが、最後まで法要に参加された人は例年の8割ぐらいでしょうか。コロナ前の状態に少しずつ戻りつつあるように感じます。
コロナ前と比べて半分ほどに椅子を減らして、椅子を余裕をもって間隔を広く開けて並べ、50ほどの椅子を用意してました。
こんなに街には人の流れが大幅に増えたのに、椅子が全部埋まらなかったのは残念ですが、それでもお参りに来られる人たちが戻りつつあるのは嬉しいことです。
寺のお堂一杯に人が入ることを「ご満堂」と表現するのですが、私の生きている間に、円龍寺のご満堂の景色が見られることが私の夢の一つです。
さて、今回は寺にお参りする時の作法といいますか、たしなみといいますか、心構えと言いますか、寺にお参りに行くときに、どんなことを気をつけたらいいのかについて短く雑談していきます。
寺の法要に行ってみたいのに、どんな風にお参りしたらいいんだろう・服装はどうしたらいいんだろうといったように、お参りする仕方が分からなくて、もし気おくれしてお参りをやめられては、とっても悲しいので、お参りする時の作法・たしなみについてお話しますね。
ちなみに地域や宗派、寺によって少しずつ違いがあるかもしれません。今回のお話は、香川県丸亀市にある浄土真宗の寺円龍寺のお坊さん私かっけいがお話する内容です。
寺での定期法要へのお参りを想定してお話しますが、寺でする法事や、観光などでフラッと寺に立ち寄る場合にも通じますので、お聞きくださいませ。
まずは服装からお話しますね。
仏様参りでは、正装でのお参りがベストなんですが、実は服装についてはそれほど気にする必要はありません。
もちろん着物とかスーツとか、きっちり正装していただけたら何よりなんですが、乱れすぎた服、カジュアルすぎる服、周りの人に恐怖を抱かせるといったような服でなければ何でもいいです。
寺は仏様をまつり敬う場所ですので、仏様の話を聞く場所にふさわしくないだろうなあと思える服装でなければ、だいたいどんな服でもOKです。
ただし短パンや丈の短すぎるスカートは避けた方が無難です。それと裸足もです。仏様に参る最低限のマナーであることと、最近は寺も椅子が当たり前なので、生足がちらちら見えると周り人の気が散る可能性もあるので、短パンや丈の極端に短いスカートは避けましょうね。
服装についてもう一点補足すると、門徒式章(式章)を首から掛けていただけたら、なおベストです。
式章はお坊さんでいうところの、袈裟のようなもので、式章を首からかけていただけたら、だいたいどんな服装でもお寺にお参りするのに相応しい格好になります。
式章はお持ちでない方もかなり多く、寺はまったく強制しないので、あんまり見かけることもないですが、式章をされてお参りされたら、きっと仏様参りに身が引き締まると私は思います。
続けて、持っていくものについてです。
極端なことを言えば、何も持たずに手ぶらで寺にお参りしていただいても大丈夫です。
ただできることなら、数珠・念珠を持ってお参りくださいませ。
64回目のラジオでも数珠・念珠についてお話しましたが、数珠・念珠は仏様を敬うとき、合掌礼拝する時に使われる仏具です。
なくても寺に参り、仏様に手を合わすことはもちろんできます。
ただ浄土真宗の本願寺の蓮如が言ったように、数珠・念珠なしで、仏様に参ることは仏様を手づかみするようなもので、失礼なこととされます。
手に持ちっぱなしじゃなくて、カバンの中に入れてお参りしていただいても構いません。手を合わせる時のために、数珠・念珠をできれば持って来てください。
服装・持ち物に続いて、寺にお参りする時の作法・たしなみについてお話しますね。
まず大事なことですが、寺の正門をくぐってお参りしましょう。
正門とは寺の本堂にお参りするための正式な門のことで、山門や王門や表門などいろんな呼び方がされます。
寺の敷地内に入れたらいいんでしょと、ちょっと近道して、裏門・勝手口・横からお参りされる方もいるでしょうが、正門をくぐりましょう。
で正門のくぐり方ですが、できれば軽く正門で一礼してほしいです。踏み出す足は左足からでも右足からでもどちらからでも気にする必要はないです。帽子とかも被ったままでも構いません。
門の敷居は踏まないでといわれることもありますが、これもあまり気にしなくていいです。
おみ足の悪い方もいらっしゃるでしょうし、むしろ転ばれないように足元を注意して歩いていただけたらと思います。
くぐる場所も、門の真ん中でも右側でも左でもどこでもOKです。
寺に参る時は、正門で一礼することだけ覚えておきましょう。
あと補足ですが、寺に参った時に、寺の大鐘・梵鐘を鳴らされる方がいますが、浄土真宗の場合、鳴らす必要はまったくありません。
むしろ正しい使い方でないので、鳴らさないで欲しいところです。
門をくぐりましたら、本堂の方へそのままお進みください。
続けて本堂に入る時ですが、本堂の中に入る時も門をくぐる時と同じように、一礼してください。敷居を踏まない方がいいとも言われますが、踏んでもまったく問題ありません。転んで怪我しないようにだけ注意してください。
本堂に入ったらまず一番にすることは、仏様の正面に行って手を合わすことです。数珠・念珠があれば手にかけて手を合わしてくださいませ。
お焼香もこのときにぜひどうぞ。
その後、受付の方に立ち寄ってください。
寺が永代にわたって伝わっていくための護持として、1000円でも2000円でも、金額はお任せなので、ロウソク料や冥加料として、懇志・お布施を納めてくださいませ。もちろん懇志や布施はお金だけでなく、例えば円龍寺の法要の場合では、お花やお酒や果物箱などを重ねてお供えされる方もいらっしゃいますが、こういった大きなお供え物は、あらかじめ寺に連絡して届けていただいた方がスムーズで助かります。
本堂に入り仏様に手を合わし、受付が終わりますと、どこかに座り法要が始まるのを待ちましょう。法要とはお経を読むことと、お話をきくことです。今は椅子席が当たり前になりましたので、昔よりもずっと楽にお参りすることができるようになりましたが、読経の時や法話をされているときは、足や腕を組むのはやめましょうね。
読経やお話など、椅子に腰かけて過ごしていただけたらOKなんですけど、途中で、お焼香の道具が運ばれてくることがあります。その時は、最初に正面でお焼香をされていても、重ねてお焼香をしてください。
また寺の法要は長いので、途中で中休みの休憩が10分ほどとられることもあります。
寺によって違うでしょうが、お茶やお茶菓子などが出てくる寺もあるでしょうから、そこはその場の雰囲気に従ってください。基本は出されたものはそのまま受け取ったらOKです。
地方のお寺の永代経などの法要は、読経からお話の終わりまで2時間弱ぐらいだと思います。
お話が終わりましたら、後は自由解散です。
寺に納骨されていたら、先祖参りをされてもいいと思います。
お堂から外に出るときは入った時のように仏様に向かって一礼して、大鐘は鳴らさず、門を出る時もまた向きなおして一礼してくぐって出ます。
さてどうでしょうか。
寺の参り方がなんとなく分かりましたでしょうか。
以上で2022年5月10日のかっけいのラジオはここで終了します。他にもなにか寺のお参りの仕方で、気になることがありましたら、またメールなどで、ご質問くださいませ。
iTunesなどのアプリで「レビュー・評価・登録」してくれたら嬉しいです。
さいごによくいただく質問で、門徒・檀家以外でも、初めての人でも黙って、お寺にお参りしてもいいですかについてのご質問もお答えします。
はい、寺はだれでもご自由に気にせずお参りできます。
けっこう円龍寺のご門徒の方も他のお寺の法要に参加されていますし、他のお寺の門徒さんも円龍寺にお参りされている方もいらっしゃいます。
寺は誰もがお参りできるところです。他のお寺の法要にもぜひ参加してください。
また、お寺参りのたしなみとして、他の方に対して「一緒にお参りに行きませんか」と声掛けされることを心がけてください。
仏様とのご縁を大切なものとするため、縁を広げるために、ご家族や知り合いとお誘いあわせの上、寺に行かれるのがお寺参りの重要なたしなみです。
誘っても断られるかもと不安になる方も多いでしょうが、お誘いを断るのはお相手のご都合によるものです。仏様のもとにお参りされる方は、仏縁を大切にし、仏様と人をつなぐお取次ぎをしていただけたらと思います。
「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。